Dart/Flutterで開発されているクロスプラットフォーム対応のファミコンエミュレーター『NESd』で、2026年9月3日にnightly版の更新が公開されました。今回のアップデートでは、Mapper 30「UNROM 512」への対応をはじめ、xBR風のアップスケーリングフィルターや音声チャンネルごとの音量を調整できるミキサーなど、複数の新機能が追加されています。
このほかCPUやPPUのOpen Bus対応やカラーパレットの追加に加えて、MMC3 IRQやPPU、OAM、PAL環境でのカラー表示、ZIPファイルの読み込みなど、エミュレーション精度や使い勝手に関係する不具合もまとめて修正されています。なお、今回公開されたものは正式なstable版ではなく、開発途中の変更を取り込んだnightly版です。
●NESd nightly Release
https://github.com/jpjonte/NESd/releases/tag/nightly
●NESd GitHubリポジトリ
https://github.com/jpjonte/NESd
●NESd Web版
https://nesd.jpj.dev/play/
Mapper 30「UNROM 512」に対応
今回の更新では、新たにMapper 30「UNROM 512」への対応が追加されました。ファミコンではカートリッジによってROMやメモリーの構成が異なるため、それらを切り替えてCPUから利用できるようにする仕組みが「Mapper」と呼ばれています。
NESdのREADMEによると、現在Mapper 30には39作品が対応ゲームとして登録されています。ただし、これはプロジェクトが利用しているデータベース上での集計であり、39作品すべてについて完全な動作を保証するという意味ではありません。
xBR風フィルターとチャンネル別音量ミキサーを追加
グラフィック関連では、ドット絵を滑らかに拡大表示するための「xBR風アップスケーリングフィルター」が新たに追加されました。これまで用意されていたCRTやスムージングといった映像フィルターに加えて、好みに応じた画面表示を選べる幅がさらに広がった形です。
音声面では、各チャンネルのボリュームを個別に変更できるオーディオミキサーも追加されました。ファミコンの内蔵音源に加えて、NESdはMMC5やNamco 163の拡張音源にも対応しているため、音のバランスを好みに合わせて細かく調整したい場合にも役立ちそうです。
CPUとPPUのOpen Busにも対応
エミュレーション精度に関係する変更として、CPUとPPUの「Open Bus」も実装されています。Open Busとは、ハードウェア上で明確な値が出力されていない場所を読み込んだ際などに、データバス上に残っている値が見えることがある実機特有の挙動です。
こうした細かなハードウェアの挙動は、多くのゲームを普通に遊ぶだけなら違いが分かりにくい部分です。しかし、実機の挙動に依存したソフトやテストプログラムなどでは互換性に影響することがあり、サイクル精度を重視して開発されているNESdらしい改善といえます。
MMC3 IRQやPPU、ZIP読み込みなども修正
不具合修正も多数行われています。MMC3を使用するゲームでIRQがスキップされる問題やスキャンラインカウンターが1ずれる問題のほか、描画を停止している状態でPPUが奇数フレームのサイクルを飛ばしてしまう問題などが修正されました。
さらに、OAMデータレジスターへ256バイトを書き込んだ際のクラッシュ、PAL環境でのカラー強調表示、ZIP内のROMをWindowsで開く際の問題なども修正されています。ROMやZIPの拡張子についても大文字と小文字を区別せず認識するようになり、「GAME.NES」や「COLLECTION.ZIP」といったファイルも正常に開けるようになりました。
WindowsやmacOS、Linux、Android、Webに対応
NESdはDartとFlutterで開発された、サイクル精度を重視したファミコンエミュレーターです。Windows、macOS、Linux、Androidに加えてWebにも対応しており、公式サイトにはブラウザーから起動できるWeb版も用意されています。
そのほか、セーブステートや巻き戻し、早送り、Game Genie、ゲームパッド、タッチ操作、ZIPからのROM読み込みなどにも対応しています。今回のnightly版についても各OS向けの開発ビルドに加えてWeb用ビルドが配布されていますが、nightly版は開発途中の変更が含まれるPre-releaseという位置付けである点には注意が必要です。ROMデータもNESdには付属していません。
今回の更新は、対応ゲームを広げるMapper追加だけではなく、映像フィルターや音量調整といった分かりやすい機能から、Open BusやMMC3周辺の精度改善まで幅広い内容となっています。stable版への正式採用を待つ必要はありますが、NESdをすでに利用している人にとっては試してみる価値のあるnightly更新といえそうです。















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