GitHubユーザーのjavi-ivaj氏が2026年8月22日、AIモデルを主体に開発したという4種類のアーケードFPGAコアのベータ版を公開しました。
●Capcom CP System III beta4
https://github.com/javi-ivaj/cps3-fpga/releases/tag/beta4
●Puzzle & Action: Tant-R beta3
https://github.com/javi-ivaj/puzzle-action-tantr-fpga/releases/tag/beta3
●Momoko 120パーセント beta2
https://github.com/javi-ivaj/momoko120-fpga/releases/tag/beta2
●Splash! beta2
https://github.com/javi-ivaj/splash-fpga/releases/tag/beta2
今回公開されたのは、カプコンのアーケード基板「Capcom CP System III(CPS-3)」、セガの『Puzzle & Action: Tant-R(タントアール)』、ジャレコの『Momoko 120パーセント』、Gaelcoの『Splash!』を対象にしたコアです。
いずれもMiSTer FPGAとArrow SoCKitに対応しており、GitHub Releasesではそれぞれの環境向けパッケージが配布されています。
ただし、今回のプロジェクトで興味深いのは、単に4種類のアーケードコアが追加されたということだけではありません。同じ指示を与えた複数のAIモデルが、異なるアーケードハードウェアのRTL開発にどこまで対応できるのかを試す実験として作られているところが大きな特徴です。
CPS-3など4種類のFPGAコアを一挙公開
今回一般公開されたベータ版は、以下の4種類です。
- Capcom CP System III:beta4
- Puzzle & Action: Tant-R:beta3
- Momoko 120パーセント:beta2
- Splash!:beta2
いずれも2026年8月22日に相次いで公開されています。なお、これらのコアが8月22日にゼロから作られたというわけではありません。READMEによると、『Splash!』は7月10日、『Puzzle & Action: Tant-R』は7月15日、CPS-3は7月17日、『Momoko 120パーセント』は7月21日にそれぞれ開発を開始しています。
つまり、約1カ月にわたって進められてきたプロジェクトのベータ版が、今回GitHub上で一般公開されたという形です。
Claudeが中心となり、CodexやKimi、DeepSeekも開発に参加
4種類のコアでは、いずれも同じAIを利用した開発フローが採用されています。READMEによると、Claudeが全体の作業計画を立てるオーケストレーター兼メインのコード作成役を担当し、主要なRTLの多くを作成。Codex、Kimi、DeepSeekはコードレビューや個別の作業を担当しています。
さらに、4種類すべてのコアに同じ指示を与えることで、異なるアーケードハードウェアを対象にしたとき、AIによるアプローチやコードの構成、品質にどのような違いが出るのかを見ることも、この実験の目的として説明されています。
もっとも、「AIだけですべてを作った」というものではありません。
各コアでは、MAMEのドライバやメモリーマップ、レジスターの記述、出力結果などをハードウェア動作の主要な参考情報として利用。また、既存のCPUコアや音源コアに加えて、Jotego氏が開発しているアーケード用FPGAフレームワーク「JTFRAME」も利用されています。
『ストIII』『タントアール』『Momoko 120パーセント』などに対応
CPS-3コアでは、すべてNO CD版のMAMEセットを対象としており、『Street Fighter III: New Generation』『Street Fighter III 2nd Impact: Giant Attack』『Street Fighter III 3rd Strike: Fight for the Future』のほか、『JoJo’s Venture』『JoJo’s Bizarre Adventure』『Red Earth』など複数のセットが用意されています。
『Puzzle & Action: Tant-R』では、日本版のtantrに加えて4種類のブートレグ版、韓国版のtantrkorを掲載。『Momoko 120パーセント』では、日本語版のmomoko、英語版のmomokoe、ブートレグ版のmomokobの3セットが用意されています。
『Splash!』はWorld版Ver.1.3のsplashが対象です。また、このシリーズで作成されたMRAファイルには、AIを利用したjavi-ivaj氏のプロジェクトであることを示す[JV][AI]というサフィックスが付けられています。
Jotego氏の「JTCPS3」とは別のコア
今回のプロジェクトでは、Jotego氏が開発した「JTFRAME」が利用されています。使用されている上流リビジョンは7d55a29で、そこにArrow SoCKitへ対応するためのローカル変更が加えられています。ただし、ここは少し注意が必要です。
javi-ivaj氏はREADMEで、これらはJotego氏の公式コアではなく、Jotego氏との提携や承認、サポート関係もないと明記しています。また、このコアで見つかった不具合をJotego氏や同氏のコミュニティーへ報告しないよう呼び掛けています。
「レトロゲームで遊ぼう!」では同じ8月22日に、Jotego氏が開発している公式の「JTCPS3」コアが『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』に対応したニュースを紹介しましたが、今回のCPS-3コアはそれとはまったく別系統のプロジェクトです。
同じCPS-3を対象にしているものの、混同しないようにしましょう。
現在はベータ版。再現精度や完全な互換性は未確認
今回公開された4種類はいずれもベータ版です。作者はREADMEでMAMEの出力との照合やコミュニティーによるテストについて説明していますが、現時点では第三者による独立した詳細な互換性検証は確認できていません。
そのため、掲載されているすべてのゲームが最後まで正常にプレイできることや、映像・音声、入力遅延、内部タイミングなどがオリジナルのアーケード基板と完全に一致していることについては、今後の検証が必要です。
各リリースページでも、beta2からbeta4までの具体的な変更内容は詳しく説明されていません。なお、ゲームのROMデータは各リポジトリや配布パッケージには含まれていません。プロジェクトのライセンスはGNU GPL v3.0となっています。
AIがソフトウェアのコードを書くこと自体は珍しくなくなってきましたが、今回はFPGA上でアーケードハードウェアを再現するための低レベルなRTL開発を、同じAI開発フローで複数の異なる基板に適用しているところが面白いポイントです。
実際の再現精度についてはまだ慎重に見る必要がありますが、「AIをFPGAコア開発にどこまで利用できるのか」という実験として、今後の更新も気になるプロジェクトです。















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