MiSTer FPGA用のPC互換コア『z486』の最初のリリースが、2026年8月14日に公開されました。
●z486_MiSTer公式GitHub
https://github.com/nand2mario/z486_MiSTer
●20260813リリース
https://github.com/nand2mario/z486_MiSTer/releases/tag/20260813
本コアはこれまで『z386x』『z386_MiSTer』という名称で開発されてきたものです。パイプライン化されたCPU設計や、命令をハードウェアで直接処理する仕組み、実験的なx87コプロセッサーなど、実際の性能が486クラスに到達してきたことから、今回『z486』へと改名されています。
486DX2-66クラスの性能を目標にしたPC互換コア
『z486』は、SystemVerilogで開発された80486クラスのFPGA CPUを採用した、MiSTer FPGA用の実験的なPC互換コアです。頻繁に使用される命令はハードウェアに組み込まれた専用の経路で高速に処理し、複雑なx86命令についてはマイクロコードで制御する設計が採用されています。
開発者によると、現時点での性能は、おおよそ486DX2-66クラスに相当するとのことです。同じMiSTer環境で実行した『Doom』のtimedemoでは、『z486』が29.1fpsを記録。既存のPC互換コア『ao486』の21.0fpsと比較して、約39パーセント高い結果となっています。
システムメモリーにはMiSTerのSDRAMを使用し、16MB、32MB、64MB、128MBの構成に対応。映像機能については、VGAとET4000互換のSVGAモードをサポートしています。
実験的なx87を搭載。『Quake』が6.6fpsで動作
今回のリリースで特に注目したいのが、実験的なx87浮動小数点演算機能が統合されたことです。x87は、浮動小数点演算を処理するためのコプロセッサーです。かつてのPCでは、複雑な計算や3Dグラフィックスを扱うソフトウェアの性能に大きく影響していました。
『z486』のx87機能はまだ未完成ですが、すでに『Quake』を動かせる段階まで実装されています。
『Quake 1.0.6』を使ったテストでは、x87の初期実装時に2.7fpsだったものが、算術演算やメモリー操作の高速化によって6.6fpsまで向上しました。快適に遊べるフレームレートとはいえないものの、MiSTer FPGA上で486世代の3Dゲームが実際に動作していること自体が興味深いところです。
CPU速度の変更にも対応
すべての古いPCゲームが、高速なCPUで正常に動作するとは限りません。CPUが速すぎることで、ゲームの進行速度がおかしくなったり、起動できなくなったりする場合があります。そこで『z486』には、ソフトウェアに合わせてCPU速度を変更する機能も用意されています。
『ao486』で使用されている「sysctl.exe」との互換性もあり、ゲームやディスクイメージ側からCPU速度を切り替えることが可能です。
リリースノートでは、CPU速度を正しく検出できない『Lemmings 1』の「0MHz」ディスクイメージについても、高性能モードのまま30MHzに設定することで正常に動作すると説明されています。
導入には同梱のMiSTerバイナリが必要
『z486』は、通常のMiSTerコアと同じようにrbfファイルを追加するだけでは動作しません。コアの識別名が「Z386」から「Z486」へ変更されたことに伴い、今回のリリースに同梱されている更新版の「MiSTer」バイナリが必要です。
導入時のファイル配置は、以下のようになっています。
- 「MiSTer」ファイルを「/media/fat」へコピー
- 「z486_20260813.rbf」を「/media/fat/_Computer」へコピー
- 「boot0.rom」「boot1.rom」とディスクイメージを「/media/fat/games/Z486」へコピー
既存のMiSTerバイナリを上書きするため、作業前に元のファイルを必ずバックアップしておく必要があります。
また、旧『z386』で使用していたディスクイメージは、「/media/fat/games/Z386」から「/media/fat/games/Z486」へ移動またはコピーする必要があります。コアの動作にはSDRAMモジュールも必須です。
現時点ではx87を含めて実験段階のコアですが、『Doom』でao486を上回る性能を発揮し、『Quake』も動作するところまで開発が進んでいます。MiSTer FPGAで再現できるPCゲーム環境が、486世代の後期タイトルへどこまで近付いていくのか。今後の高速化や互換性向上にも注目したいところです。















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