【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』

【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』

※この記事は1990年代に雑誌用に書かれたものを再編集して収録したものです。

『セガラリー2』は、アーケードやドリームキャストで大ヒットしたレースゲームをPCに移植した作品である。当初PCでオリジナルのラリーゲームを作りたいというところからスタートした企画だ。結果的に後発となってしまったが、その間の経験を活かして『セガラリー2』の最終形へと進化を遂げている。

ラリー自体は、特設の専用コースを利用してレースが行われているかのように思われがちだが、実際には一般公道が使われている。綺麗に舗装された道路だけではなく、悪路の砂漠や雨道、雪が舞い散る雪原地帯などを走るため、そういった印象が持たれているのであろう。このゲームに用意されているコースも、本物のラリー同様に全16コースのバラエティに富んだレースを楽しむことができる。

カーブの多いコースでは、ドリフトやカウンターステアなど実際のラリーで使われているドライビングテクニックを駆使しながら攻略していく必要がある。特にドリフト時の車の挙動は快感に感じるほどで、まるでホバークラフトにでも乗っているかのような浮遊感を得ることができるのだ。

近頃のレースゲームにありがちだが、データを重視したためにシミュレーション的要素が強くなってしまい、ゲームとしての根本的な面白さに欠ける作品になってしまうことがある。『セガラリー2』はこの「ドリフトをしながら突き進む」という部分をうまくフィーチャーし、ゲームとしての面白さを引き出しているといえよう。

【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』
▲コースの状況は、ナビゲーターであるコ・ドライバーの音声による指示と、アイコンで表示される。初めて走るコースでも、これにより大まかなイメージを掴むことができる。

PC版『セガラリー2』のみの特別仕様も満載

PC版『セガラリー2』では、’99年度WRC最新データに基づき車種やカラーリング等の変更が行われている。これにより、三菱ランサーエボリューションVI、トヨタカローラWRC99、スバルインプレッサWRC99の3種類が新たに使えるようになった。これに伴い、各マシンの特徴をナレーション付きで解説してくれるカープロフィールモードも最新のものに更新。カーグラフィックTVなどでおなじみ、声優の古谷徹氏による追加レコーディングが行われているのである。

視覚的な面での大きな特徴として上げられるのが、ゲーム中の時間経過に伴う画面の変化であろう。これはレース開始からの経過時間に伴い、ゲーム内の景色が朝から昼間、そして夜へとリアルタイムに変化していくのだ。コースの特定の場所へ行くと変わるという物ではないので、毎回違った時間帯の景色を見られる。

ちなみに、時間の概念が取り入れられているのは10イヤーチャンピオンシップモードのみだ。残念ながら、他のモードでは時間の変化はおきない。

PCゲームをインストールすると、たいていの場合簡素なヘルプファイルが付属している。『セガラリー2』では、そのヘルプファイルにも力を入れられている。ラリーに関する用語やゲームの操作方法、カーププロフールが見られるのはもちろんのこと、市販されている攻略本にも負けないぐらい充実したドライビングテクニックやセッティングの解説が読めるのだ。このドライビングテクニックの解説などは、もはやゲームというより、実車でも使えるぐらいの内容である。

【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』
▲レース終了後には、自分の走りをリプレーで確認することができる。綺麗に曲がったコーナーだけではなく、思いっきりラインをはずした走りまで再現されてしまうのは、やや気恥ずかしいものだ。

最高スペックマシンのデモンストレーションにも最適

『セガラリー2』では、当時の最高スペックマシンで最良のパフォーマンスが得られるように、いくつかの工夫がなされている。まずはCPU。インテルの最新プロセッサであるPentiumⅢが採用したストリーミングSIMD拡張命令に対応。CPUに不可が掛かりがちなジオメオリ演算やライティングのパフォーマンスが向上するように最適化されている。また、マシンの挙動計算を統括して行え、アーケードとほぼ同様のフレームレートを実現しているのだ。

このPentiumⅢのパワーで処理の余裕が出来た部分を、画面描写に割り当てている。コーナーを曲がったときのテールランプの残像や土煙、路面に刻み込まれるブレーキラインを表現できるなど、より細かいデティールを楽しめるのである。

映像の次に重要なファクトリーとなるのがサウンドである。このゲームでは、レースの迫力がダイレクトに伝わるよう、最新の3Dサウンド機能を備えている。これにより、トンネル内での残響音や後方から迫りくるマシンの音、上空を飛び回るヘリコプターのサウンドなどを立体的に体感できるのだ。まるで自分がドライバーズシートに座って、その場にいるかのような気分を味わえてしまう。グラフィックにこだわる人は多いが、こうして
迫力あるサウンドを1度体感してしまうと、改めて音の重要性を認識させられた。ちなみに、これらの3Dサウンド機能を楽しむには、クリエイティブメディア社のSoundBlaster Live!シリーズまたはEAXに対応したサウンドカードが必要となる。

【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』
▲レース開始前にはコースの情報も見ることが可能。雨天か晴天か、カーブのポイントはどこらへんにあるかなど、ポイントをチェックしておきたい。

『セガラリー2』のアーケード版では、車の挙動に併せてハンドルが振動する仕掛けが施されていた。PC版ではこれに対応するために、振動機能を持ったマイクロソフトのハンドルコントローラ「Microsoft Side Winder Force Feedback Wheel」に対応している。カーブを曲がるときに感じるハンドルの重みや振動、路肩に乗り上げたときの衝撃などを感じることが可能だ。この部分のプログラムは、アーケードのものをほぼそのまま利用している。自宅にいながらゲームセンター気分が味わえるという、なんとも贅沢な仕様だ。

マルチプレーにも対応した豊富なゲームモード

このゲームで遊べるゲームモードは全部で5種類。ゲームセンター同様、CPUの操る15台のマシンと順位を争い、制限時間内にゴールを目差すアーケードモード。10年間連続でチャンピオンシップを争う10イヤーチャンピオンシップモード。全16コースの中から好きなものを選び、クリアタイムを競うタイムアタックモード。画面を上下に分割して対戦する2プレイヤー対戦。そして最後が、LANやインターネットを利用した通信対戦モードである。

残念ながら通信対戦は、ドリームキャスト版のように専用サーバーは設けられていない。その代わりといってはなんだが、環境によってはほとんどストレスを感じることなくマルチプレーを楽しめる。また、http://www.segarally.comにアクセスすることにより、自分のタイムレコードを他人と競うことも可能であった。ネットの向こうに、未知なるライバル達が新たなる挑戦を待っているのだ。

【90年代PCゲーム男】PCの実力を余すことなく体感できるラリーゲーム『セガラリー2』

ゲーム概要

タイトル:セガラリー2
価格:7800円
メーガー:セガ・エンタープライゼス

ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。