【新作ゲームも遊ぼう!】『DEATH STRANDING』は昔のゲームが新作よりも面白く感じる事に対してのアンサーだ

昔会社の同僚が、3ヵ月ぐらい前に出た曲を「懐メロ」と呼んでいて驚いた事がありますが、よくよく考えてみればどれもこれもそのうちそうなるので、早めに呼んでてもいいんじゃないかと思うようになりました。

・・・・・・ってことで、このサイトで最新ゲームを扱うのは避けてきたのですが、まぁどうせそのうちどれもこれもレトロゲームになるのでいいんじゃないかな~と(笑)。そこで、その第1弾として取り上げるのが小島監督率いるコジマプロダクションが開発した『DEATH STRANDING』(以下デススト)です。

古いゲームが最新ゲームより面白かったように感じるのは体験の差だ

ちょっと話しが横道にそれますが、先日とあるまとめサイトで最新ゲームのほうが昔のゲームよりも技術力が高いのに、なんで昔のゲームの方が面白かったという人がいるんだ的な記事を見かけました。多くは「思い出補正」という言葉で済ましているようでしたが、筆者が個人的に思うのは「体験の差」だと思っています。

今のゲームは、基本的には過去に出た作品の中から最も良いエッセンスを抜き出してレイヤーを重ねて作られていったものといっても過言ではありません。そのため、それがたとえ無料で遊べるスマホ向けゲームであっても、そこそこのクォリティで作られていることがほとんどです。むしろ、ユーザーが面白い感じるハードルもそれによりどんどん上がってきているといえるかもしれません。

当然のことながら、その上がり上がりきったハードルで昔のゲームを遊んでも、あまり面白いと感じることはないかもしれません。昔遊んだゲームも、今プレイするとそうでもないな・・・・・・と思うこともしばしばです。しかし、「昔のゲームの方が面白かった」というのは、それらとはまったく別のベクトルの話しだと考えています。

たとえば、『スーパーマリオブラザーズ』は、それまでの見たこともないようなダイナミックな動きでキャラクターのアクションが楽しめただけではなく、隠しアイテムやワープなどギミックも信じられないレベルで凝っていました。

『ドラゴンクエスト』では、アクションゲームしかプレイしたことがなかった時代に、ゲーム機で自分が主人公になり敵を倒し、最後はまるで映画のようなスタッフロールまで流れる感動を与えてくれました。

はたまた『シムシティ』や『ポピュラス』といった、いわゆる箱庭系ゲームというものも登場し、ドラえもんの地球セットのように小さな世界に干渉することでゲームの世界に様々な変化を与えることの面白さを教えてもらいました。

これらに共通することは、それが人類が初めて体験したイノベーティブな作品だったということです。厳密的には正しい表現ではありませんが、特に家庭用ゲーム機はパソコンやそれ以外の環境と比較して、より一般的にそうした作品がリーチしやすくなっていたといえそうです(まぁ、箱庭系ゲームはパソコンで遊んでましたが笑)。

そこで登場するのが、今回のテーマでもある『デススト』です。

あえてストレス要素ばかりを詰め込んだ謎のゲーム性=新たな体験に!?

普通、ゲームといえばユーザーが爽快感が得られるなど、何かしら気持ちよく作られているものがほとんどだと思います。たとえば、『モンスターハンター』の卵運ぶいらいらミッションみないたのが大好きって人は少数派だと思うんですよね。しか~し! この『デススト』には、そんな爽快感はほとんどなし! ぜ~ぜんぜんありませーん!! むしろ、荷物を積めば左右によろけ、転んで台無しにしてしまったり、乗り物に乗ったところででこぼこ道やとんでもない崖に山といった悪路だらけで快適に走ることはできません。せっかく時間をかけて整備した国道も、時雨という要素のおかげで時間が経つと壊れていってしまいます。

ユーザーに襲いかかるのはそれだけではありません。荷物の配達中、ただ他人の荷物を奪うことしか考えてない頭のおかしい連中に襲われたり、そもそも人間でもない幽霊のようなBTに襲われるなど、邪魔要素が満載です。挙げ句の果てには、スタッフロールのようなものが流れてから、まさか2時間以上もプレイさせられるハメになるなど、後半は衝撃のゲーム構成になっています。

つまり、爽快勘どころかストレス要素の塊ってわけですね! しかし、このあえて逆張りで作られたところが、今のゲームではかなり新鮮な体験として捉えることができるのもたしかと言えるでしょう。先ほどのスタッフロールが流れた後も延々と遊ばされているのは、もはや釈迦の手のひらから逃れられない孫悟空のように、小島監督の手のひらの上で遊ばれている状態なのかもしれません。

ユーザーがゲームを遊ぶのではなく、遊ばれる立場になったというのもイノベーティブな体験なのかもしれないですね!

近未来的な世界観でありながら、江戸時代の飛脚のように自らの足で荷物を積んで運ぶというゲーム性も斬新です。最初は宅配業者同士の縄張り争いの話しかと思いきや、ゲームが進んでいくうちにその全貌が明らかになり、壮大な物語だったことがわかってきます。

FPSやRPGなど散々遊びきり、新鮮な体験がしてみたいと思っているならば、ぜひご自身でプレイしてみて、この独特な体験を味わってみてください。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。