30年以上の月日を積み重ねて新たに創造されたこのハイラルでは何が変わったのか?『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』レビュー【新作ゲームも遊ぼう!】

ひたすら雪山の中を走り続けていた。

地図で見たときは、なんてことはなさそうなエリアだったが、実際に足を運んでみると、そこは高低差の多い山と崖に囲まれた過酷な世界である。

――目的はヘブラ地方にあるという「古代クジラの骨」だ。

当初、見当違いな場所を探していたが、偶然にも祠を発見するなどラッキーな状況もあった。それでも険しい崖を登ったり、あるいはその先に何があるのか分からない場所へパラセールで下りていくのはなかなか勇気のいることだ。

しかし、行った先では必ずなにかがあり、その都度新しい冒険の記憶が生まれていく。それが、この『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイする醍醐味である。

オープンワールド化により常識外のプレイも楽しめる作品へと進化

1986年2月11日に、ディスクシステムのローンチタイトルとして発売されシリーズ第1作の「ゼルダの伝説」から、31年の月日を経て生まれた本作。開発が本格的に始まったのは2013年の1月。ディレクターの藤林秀麿氏によると、その当時から、すでに「ゼルダの当たり前を変えていく」というコンセプトで作られていったという。

30年以上の月日を積み重ねて新たに創造されたこのハイラルでは何が変わったのか?『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』レビュー【新作ゲームも遊ぼう!】

『ゼルダの伝説』といえば、主人公のリンクがゼルダ姫を救うために大魔王ガノンドロフ(ガノン)に立ち向かっていくというのが基本ストーリーである。こうしたいくつかのテンプレートは残しつつも、例えば宝箱を開けたときのアクションを無くしたり、本シリーズの象徴とも言えるトライフォースをレリーフとして登場させる程度に抑えているなど、当たりまでだった部分も変更が加えられている。

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最も大きな変更が加えられたのが、オープンワールドで作られているところだろう。一般的なオープンワールのゲームといえば、「メインクエスト」と「サブクエスト」が用意されており、基本的にどの順番でクリアしていこうが、プレイヤーの自由だ。本作もその当たりは踏襲されており、クエストも本編のストーリーを追っていく「メインチャレンジ」に各地に120もある祠を探し出す「ほこらチャレンジ」、そしてサブクエストにあたる「ミニチャレンジ」の3種類がある。

ただクリアすることだけを考えるなら時間をかけずに終わらすことも可能だが、世界各地を歩き回りこれらすべてをクリアするとなると相当なボリュームの作品となる。そのため、これまでプレイしたどのシリーズよりも奥深い作品となっているように感じた。

ダンジョンの代わりに登場した120もの祠

シリーズの楽しみといえば、毎回用意されているダンジョンだ。雑魚からボスキャラなどが出現するのはもちろんのこと、そのダンジョン内で新たな道具を見つけ出し、それを活用して謎を解きながら攻略していくという、パズル的な要素が盛り込まれている。

だが、本作ではそうした要素は多くない。その代わりに登場したのが、各地に無数に点在している過去の遺跡「祠」だ。

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この祠では、パズル的なものやタイミングを見計らってオブジェクトを動かすもの。あるいは強敵を倒していくものなど、様々な種類がよういされている。また、そもそもその祠を見つけ出したり、探すのもこんなんなものもある。

主人公は「シーカーストーン」と呼ばれるスマートフォンのような古代のデバイスを持っており、そこに搭載された「シーカーセンサー」を利用して「祠」を探し出すことも可能だ。

が、実際はセンサーが反応しても目視できないことが多く、何も情報を入れずにプレイしていると、かなり苦労することになるだろう。

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▲風車を制御していくアコ・ヴァータの祠。
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▲フックショットなど従来までの道具の代わりに登場したのが、「シーカーストーン」で使える様々な機能だ。臨機応変にこれらを切り替えながらクリアしていく。

ちなみに、これらの祠もそうだが、必ずしもこういうふうにクリアしなくてはならないという規制が少ないのも本作の特徴のひとつだ。祠ひとつ取っても、いくつもクリアする方法が存在することがあるのである。既成概念にとらわれずに、思うがままにプレイするというのが正解なのかもしれない。

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できることや機能だけを紹介していっても、これだけではまだまだ収まらない。だが、1度本作を遊び始めると、必ずその世界にはまってしまうことになるだろう。オープンワールド化ということもあり、敬遠している人もいるかもしれない。筆者も当初の情報を耳に入れたときは、正直あまりピンとこなかった。

30年以上の月日を積み重ねて新たに創造されたこのハイラルでは何が変わったのか?『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』レビュー【新作ゲームも遊ぼう!】

だが、多くの人々が賞賛していることに、遊んでみてたしかにうなずかされた。これは間違いなくシリーズ最高のゼルダであると。ときには料理のために素材集めに没頭したり、あるいは各地の祠探しの旅に出るなど、本編のストーリーとはまったく関係ない冒険に出てみるのもいいかもしれない。その自由度こそが、今回プレイヤーに与えられた最高の特典なのだから。

30年以上の月日を積み重ねて新たに創造されたこのハイラルでは何が変わったのか?『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』レビュー【新作ゲームも遊ぼう!】

■「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」公式サイト

© 2017 Nintendo

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。