つい先日、最終出荷版のSuper Ntにも対応したジェイルブレイクがリリースされました。このジェイルブレイクとは、Super Ntのファームウェアを改造したようなバージョンで、本体に挿入したSDカードからゲームのROMを起動できるようにするというものです。
●Super Ntのジェイルブレイクの入手先
https://github.com/SmokeMonsterPacks/Super-NT-Jailbreak
Analogueのハードウェアのほとんどは、こうしたジェイルブレイクに対応していることも有名ですが、ぶっちゃけ『EverDrive』などのマルチカートリッジがあればこうした改造は基本的に不要です。ということで、これまでは存在自体は知っていたものの、基本的にはそれらを実施することはありませんでした。
しかしながら、ちょっとだけどれぐらいの感じでゲームを動かすことができるのか? と気になったため、実際に試してみることにしました。
Super Ntのジェイルブレイクの導入方法
まずは上記のリンクから、最新のリビジョンをダウンロードします。具体的には下記の画像の赤枠の部分をクリックして、最新バージョンのページに移動します。2023年7月17日時点での最新バージョンはv7.2なので、「Super Nt Jailbreak v7.2」のページに移動しましょう。
ページの下部に「Asset」と書かれたところがあり、その一番上にある「snt_firmware_verJB7.2.zip」をクリックしてダウンロードします。
ファイルをダウンロードしたら、解凍しておきましょう。
SDカードの用意
ジェイルブレイクで利用できるSDカードは32GBまでのものです。そちらをFAT32でフォーマットしておきましょう。
SDカードをフォーマットしたら、先ほど解凍したフォルダの中身をコピーします。下記のファイルとフォルダーが、SDカードのルートに入っているような形でコピーしてください。
特殊チップを動かすにはBIOSファイルが必要だが入手は非常に困難
特殊チップのゲームを遊ぶには、それに対応したBIOSファイルをBIOSフォルダの中に入れておく必要があります。……が、これらを合法的に入手する方法は、今のところまったく不明です。通常の吸い出しツールなどでは取得することはできません。
cx4.bin(CRC32: B6E76A6A )
dsp1.bin(CRC32: 27124599)
dsp1b.bin(CRC32: 588279B4)
dsp2.bin(CRC32:F0221C90)
dsp3.bin(CRC32: E3B54E6A)
dsp4.bin(CRC32:CA09E176)
st0010.bin(CRC32: 8D136190)
st0011.bin(CRC32:750C6012)
ちなみにひとつだけ注目したいポイントは、セタの開発したST011に対応しているところ。こちらはMiSTer FPGAでも対応していないもので、『早指し二段森田将棋』のAI機能に採用されている特殊チップです。これらをエミュレーターやFPGAで再現するのは難しいといわれていたので、正直驚きでした。ただし、本当に動くかどうかは確認できていません。
上記のBIOSファイルから対応しているのはCX4の『ロックマンX2』と『ロックマンX3』とDPS、『早指し二段森田将棋2』(ST018)を除く、セタの『エキゾースト・ヒートII』と『早指し二段森田将棋』です。
それ以外のSA-1やS-DD1、S-RTC / X-RTC、SPC7110、SuperFXなど対応していません。たとえばPLGシステム(RTC)を使用する『大貝獣物語II』の場合、ゲーム自体は起動するものの時間の記憶ができないためPLGシステムのチェックでコケてしまいます(ゲームそのものはプレイ可能)。
SDカードに入れたゲームの起動
ジェイルブレイクを導入後、メニューに「BROWSE SD CARD」という項目が追加されているので、そちらを選択します。今回はSDカードに「ROM」というフォルダを作ってゲームのROMを入れておいたので、そちらからゲームを選択すると起動することができます。
筆者の場合は下キーとセレクトボタンの同時押しでシステムメニューを表示出来るようにしていますが、そうしたショートカットキーを設定しておくことでメニューを呼び出し、別のゲームに切り替えることもできます。
ゲームの吸い出しが行える「CopySNES」
ジェイルブレイクを導入するメリットのひとつに、ゲームのROMを吸い出すことができる「CopySNES」の機能が使えるようになるところがあげられます。この「CopySNES」を利用するときは、Super Ntにカセットを差し込み、メニューから「TOOLS」を選択します。その中に「COPY SNES」という項目があるので、そちらを選びましょう。
この「Copy SNES」は読み込み専用であるという胸の注意書きが表示されるので、コンティニューボタン(自分で設定した決定ボタン)を押して先に進めましょう。
セットしたカセットからゲームの情報が呼び出されます。このままで良ければ「ACCEPT」(決定ボタン)を押しましょう。
ゲームタイトルのエディット画面になりますが、このままでイイ場合はスタートボタンを押せばOKです。
ROMの吸い出しが始まります。
最後に決定ボタンを押して完了です。
ちなみにこの「Copy SNES」では、特殊チップのゲームも吸い出すことができます。そこで期待したのはBIOSも吸い出すことができるのか? ということでしたが、残念ながらそちらは対応していませんでした。
ためしに『スーパーマリオカート』を吸い出してROMチェッカーで調べてみましたが、問題なく吸い出せたことがわかります。