PS5より高い超高級ファミコン互換機Analogue『Nt mini Noir』レビュー。所有感を満たしてくれる極上の逸品

PS5より高い超高級ファミコン互換機Analogue『Nt mini Noir』レビュー。所有感を満たしてくれる極上の逸品

Analogueより、FPGAベースのファミコン互換機『Nt mini Noir』がついに発売されました。こちらは、以前同社から発売されていた『Nt mini』の2ndエディションとして、数量限定で発売されたものです。

本体の価格は499ドルと米国で発売されたPS5と同じですが、それに送料を加えた金額は548.99ドル(約5万7000円)となっています。さらに、別途関税(4000円)もかかるため、その料金は希望小売価格で売られているPS5よりも高くなってしまいます。まさに、超高級ファミコン互換機といえますね。

そもそも高価な理由はどこにあるのでしょうか? 住所の手続きで、ちょっとほかの人より到着が遅くなりましたが、ようやく届いたため、今回はそのレビューをお届けします。

Analogueのゲーム機すべてに共通したものですが、『レトロフリーク』や『POLYMEGA』といったエミュレーターベースの互換機とは異なり、オリジナルのハードをFPGAと呼ばれるチップ上で再現しているのが、最大の特徴です。

また、ラグがまったくないだけではなく、フルHDの映像をHDMIで出力することができます。

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Analogueのサイトには、「One Final Run(最後の1回の実行)」というメッセージが備えられていますが、元々販売されていた『Nt mini』は製作に非常に手間が掛かる製品であったため、販売が中止されていた経緯があります。また、同社は現在携帯ゲーム機の『Analogue Pocket』とPCエンジン互換機の『Analogue Duo』という、ふたつの新しいラインアップを準備中です。そのため、こちらの製品が今後入手できる可能性はかなり引くそうです。

パッケージの中身

まずは、パッケージの中身をチェックしてみましょう。同梱されているものは、『Nt mini Noir』本体のほか、HDIMIケーブルにUSBケーブル、8bitdoのコントローラー、電源にクイックスターターガイドの冊子です。

電源アダプターはそれぞれの国に対応したモノが用意されているので、日本向けのものを選んで取り付けていきます。ちなみに、『Mega Sg』ではUSBによる電源供給でしたが、『Nt mini Noir』ではより多くの電源を消費するためか、外部アダプターが採用されています。

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▲こちらがパッケージの中身。これに加えて、アダプターの形状に合わせたコネクターと簡易マニュアルが付属しています。

高級感漂うアルマイト加工のガンメタルボディ

『Nt mini Noir』は、基本的には『Nt mini』の持つ機能を引き継いでいます。ボディは、アルミニウムを陽極で電解処理し人工的に酸化皮膜を作り上げてコーティングするアルマイト(陽極酸化処理)で処理された、ガンメタルに仕上げられています。上面には、手前にNES、奥側にファミコン用のゲームカートリッジスロットが備えられています。側面片側にはSDカードスロットがあり、主にファームウェアのアップデートで使用します。

前面には、4つのコントローラーポートを搭載。付属のワイヤレスコントローラーが接続できるほか、ニューファミコンやNESで使用されている既存のコントローラーもそのまま接続することができます。

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▲『Nt mini Noir』自体は両方のスロットに同時にカセットを指して利用出来ないようになっています。

背面側には主に出力ポートが設置されています。HDMIにRGBなどのアナログ出力用のポート、オーディオ出力、ヘッドセット用入出力、日本のファミコン周辺機器用のエキスパンダ、電源、USBポートなどです。

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底面側はクリアなパーツになっており、金メッキされたI/Oポートとコントローラーポートが見えます。しっとりとした手触りも素晴らしく、ずっしりとした重さからは重厚感さえ漂ってきます。

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▲背面はクリアパーツで中が見える仕様。
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▲コントローラーの差し込み口にもクリアパーツを採用。

付属のコントローラーは、レシーバー側を本体に接続してペアリングして使用できます。実際にゲームを遊んでみましたが、ラグを感じることもなく操作感もかなりいい方だといえます。

ファームウェアのアップデート

メガドラ互換機の『Mega Sg』を買ったときにやらかしていましたが、まず最初にファームウェアのアップデートをしておく必要があります。公式サイトからファイルをダウンロードし、SDカードスロットに入れてアップデートすることが可能です。

・・・・・・ですが、この記事を書いている時点では、Version 1.0のみがリリースされているようなので、とくにアップデートする必要はなさそうです。

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かゆいところに手が届くシステムメニュー

『Nt mini Noir』に内蔵されたメニューからは、様々な設定を行うことができます。すべてを紹介することはできないため、こちらでは、その一部をご紹介していきます。まずは起動時のトップメニューですが、こちらでは4つの項目が選択できます。

このうち、基本的な設定を行うのは「Settings」です。「Run Cartridge」は、指したカセットを起動します。「Power Off System」は、本体の電源をオフにします。「Tools」はチートコードを使用したいときと、SDカードに入れたNSFファイルの再生が行えます。

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Settings>Videoでは、解像度やスキャンラインに関する設定が行えます。ここで「Advanced Mode」にチェックを入れると、カラーパターンなどさらに細かい設定も行えるようになります。

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Settings>Audioでは、ヘッドフォンやカートリッジ、マイクのボリュームなど、主にサウンド面に関する設定が行えます。

Settings>System>Startup Optionsでは、本体の電源を入れたときの挙動についても設定が可能です。デフォルトではAnalogueのロゴが出た後にシステムメニューが表示されますが、直接ゲームを起動させることも設定で可能です。

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Settings>System>Hotkeys & Controllers>Menu Hotkeyを設定しておくことで、ゲームプレイ中にメニューを呼び出すコントローラーのショートカットも設定可能です。直接ゲームを起動する設定にしてある場合でも、これでいつでも本体のシステムメニュー画面に切り替えられます。

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▲デフォルトでは、下キーとセレクトボタンでメニュー画面が呼び出せます。

デフォルトの状態では、選択がBボタンでキャンセルがAボタンになっており、日本人的には非常にややこしい操作性となっています。そこでSettings>System>Hotkeys & Controllers>Swap Confirm/Cancelにチェックを入れて、AボタンとBボタンのメニュー操作での役割を入れ替えておくこともおすすめします。

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Settings>Videoの「Advanced Mode」にチェックを入れた状態で、「Extra Features」の中にある「16 Sprites per Scanline」にチェックを入れると、スプライトの数を16まで増やすことができます。

通常、ファミコンでは8個までのスプライトしか表示できず、横方向にキャラクターが5個以上並ぶとちらつきが発生します。こちらにチェックを入れておくことで、スプライトの数を増やしてちらつきを無くすことができます。

ただし、『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』など一部のゲームではフリッカーが発生しないように描画されているものもあり、このオプションを入れても改善されません。

PS5より高い超高級ファミコン互換機Analogue『Nt mini Noir』レビュー。所有感を満たしてくれる極上の逸品
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▲通常はキャラクターが5つ以上並ぶと、ちらつきが発生します(写真左)。スプライトを増やすことで、これを抑えることができます(写真右)。

オリジナルの実機と変わらない互換性の高さ

『Nt mini Noir』の特徴のひとつとして、オリジナルのハードウェア同様、周辺機器もそのまま使える互換性の高さが上げられます。ディスクシステムもそのまま接続して、使用することが可能です。NES側のスロットが手前にあり、ファミコン用が後ろにあるため、AVSのようにRAMアダプターが干渉するということもなく、スムーズに取付けが可能です。

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光線銃も利用することができますが、HDMIでは使用することができず、ブラウン管のアナログディスプレイに映像出力しているときのみ遊ぶことが可能です。ちなみにアナログ出力するときは、15KHzに対応したもののみ利用することができます。残念ながらそれらを所有していないため、検証を行っていません。また、同じ構造を利用したロボットも使えるのはないかと推測できます。

利用可能なカートリッジは、公式で発売されたもの以外にも、アクションリプレイやEverDriveなどのマルチカートリッジも問題なく遊ぶことができます。

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▲光線銃はアナログディスプレイ使用時のみ遊べます。

ファミコン拡張音源にも対応

『Nt mini Noir』は、ファミコン拡張音源に対応しています。ただし、対応しているのはファミコン側のカートリッジコネクターだけで、NES側のスロットではこれらには対応していません。ファミコン拡張音源を利用したソフトの多くが、日本で発売されたものがほとんどだったのが理由だと思われます。

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▲サン電子のファミコン拡張音源「SUNSOFT 5B」を搭載した『ギミック!』。

ちなみに、デフォルトの状態では本体側の音源が鳴るようになっています。そのため、ファミコン拡張音源のゲームを遊ぶ場合は、それぞれの拡張音源のチップも指定する必要があります。ただし、カセット側の音源や『燃えろ!!プロ野球』などのスピーチチップを利用したい場合は、「Enable Cartride Audio」にチェックを入れておく必要があるので注意しましょう。

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▲『燃えろ!!プロ野球』の音声を再生したいときは、システム側の設定も必要。

ヘッドセットでⅡコンのマイクにも対応

『Nt mini Noir』の特徴のひとつに、初期型のファミコンに採用されていたⅡコンのマイクにも対応しているところが挙げられます。ヘッドセット端子にマイクを接続するか、あるいはヘッドセットをそのまま差し込んで遊ぶことができます。

厳密には音声を拾っているというよりも、音が鳴っている間をトリガーにしているだけのような気もしますが、それでも一部のゲームでマイクを使って遊べるのは嬉しい仕様ですね。

PS5より高い超高級ファミコン互換機Analogue『Nt mini Noir』レビュー。所有感を満たしてくれる極上の逸品
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▲ヘッドセットで『たけしの挑戦状』のカラオケにも成功! ちなみに、HDMIからもゲームの音は出ます(※マイクの音は出ない)。

細かなチューニングも可能! まさに究極の1台

まずは一通りの機能をチェックして見ました。個々で紹介している以上の細かなチューニングも行うことができ、まさに究極の1台といえるのではないでしょうか。さらなる個々の細かい機能の比較なども、今後調査していく予定ですのでお楽しみに。

■Nt Mini Noir – Analogue
https://www.analogue.co/editions/nt-mini-noir

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ABOUT US
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。