2026年10月20日、開発者のRayz0rum氏が、PS Vita向けの非公式移植『doom3bfg-vita』v0.9を公開しました。
これは、PCや家庭用ゲーム機向けに発売された『DOOM 3 BFG Edition』を、PS VitaやPlayStation TVで動作させるためのものです。『DOOM 3』本編だけでなく、追加キャンペーンや初期の『DOOM』シリーズなどにも対応しており、オンライン対戦まで楽しめるという、なかなか意欲的な内容になっています。
ちなみに、今回登場したのはエミュレーターではありません。PC版のゲームデータを利用しながら、ゲームを動かすためのプログラムをPS Vita向けに移植した、いわゆるネイティブ移植と呼ばれるものです。
●『doom3bfg-vita』GitHub
https://github.com/Rayz0rum/doom3bfg-vita
●『doom3bfg-vita』ダウンロードページ
https://github.com/Rayz0rum/doom3bfg-vita/releases/latest
『DOOM 3』本編だけじゃない! 追加キャンペーンや初代『DOOM』もプレイ可能
『DOOM 3 BFG Edition』は、ホラー要素の強いFPS『DOOM 3』を中心に、追加コンテンツや過去のシリーズ作品をまとめたタイトルです。
今回公開された『doom3bfg-vita』では、以下の作品やキャンペーンに対応しています。
- 『DOOM 3』
- 『DOOM 3: Resurrection of Evil』
- 『DOOM 3: The Lost Mission』
- 『DOOM』
- 『DOOM II』
- 『No Rest for the Living』
メインとなる『DOOM 3』はもちろん、拡張パックの『Resurrection of Evil』や、『BFG Edition』で追加された『The Lost Mission』まで楽しめるのが特徴です。
さらに、初代『DOOM』と『DOOM II』、追加エピソードの『No Rest for the Living』もメインメニューから起動できます。つまり、これひとつで複数の『DOOM』作品を持ち歩けるというわけですね。
シングルプレイだけでなく、マルチプレイにも対応しています。デスマッチやチームデスマッチ、キャプチャー・ザ・フラッグなどのモードが用意されており、LANやインターネットを経由した対戦が可能とのこと。
また、『Quake III Arena』のAIを利用したBOTとの対戦にも対応。難易度は5段階から選べるため、ひとりでも対戦モードを楽しめるようになっています。
PS Vitaで動かすために、グラフィックや処理を最適化
そもそも『DOOM 3 BFG Edition』は、PS Vitaよりも高性能なPCや家庭用ゲーム機向けに作られたタイトルです。それを携帯ゲーム機で動かすために、様々な工夫が施されています。
今回の移植では、オープンソースの『chocolate-doom3-bfg』をベースに、PS Vita向けのグラフィックライブラリ『vitaGL』を利用。さらに、描画処理やサウンド、メモリー管理などをPS Vitaのハードウェアに合わせて最適化しています。
中でも特徴的なのが、負荷に応じて描画解像度を変更する「動的解像度調整」です。
3D画面の解像度は720×408から544×312の範囲で変動し、処理が重い場面では解像度を下げることでパフォーマンスの維持を図ります。一方、メニューや体力などを表示するHUDについては、PS Vita本来の960×544を維持する仕組みになっています。
では、実際のパフォーマンスはどの程度なのでしょうか?
開発者が公開しているv0.9開発版の実機測定結果によると、CPUを500MHz、GPUを222MHzで動作させた環境では、『DOOM 3』本編の平均フレームレートは26.7fps。『The Lost Mission』は平均23.8fps、BOTを使用したマルチプレイは平均23.9fpsだったそうです。
ただし、すべての場面で安定して30fpsが出るわけではありません。とくに『Resurrection of Evil』では、長時間の読み込みによる停止が影響し、自動テスト全体の平均値は13.9fpsにとどまっています。
これらはあくまでも開発者が公開した測定結果であり、当サイトで実機検証したものではありません。ゲームの場面や動作環境によって、パフォーマンスには差が出ると考えられます。
導入にはPC版『DOOM 3 BFG Edition』のゲームデータが必要
『doom3bfg-vita』の導入には、改造済みのPS VitaまたはPlayStation TVが必要です。開発者は『HENkaku』『Ensō』『h-encore』などを利用した環境を対象として案内しています。
また、重要なのが、配布されているVPKファイルには製品版のゲームデータが含まれていないという点です。
そのため、SteamまたはGOGで入手した、正規のPC版『DOOM 3 BFG Edition』を別途用意する必要があります。
基本的な導入の流れは以下の通りです。
- GitHubのReleasesから『Doom3BFG_v0.9.vpk』をダウンロードし、『VitaShell』でインストールする。
- PC版『DOOM 3 BFG Edition』のインストール先から『base』フォルダをコピーし、PS Vitaの『ux0/doom3bfg/base/』に配置する。
- GitHubで公開されている『base/renderprogs』フォルダも、同じ場所にコピーする。
これで基本的なゲームデータの配置は完了しますが、ムービーの再生には別途作業が必要になります。
PC版で使用されている動画ファイルは、そのままではPS Vitaで再生できません。そのため、『FFmpeg』と開発者が用意した変換スクリプトを利用し、PC上で対応する形式に変換する必要があります。
なお、動画を変換しなくてもゲーム自体は動作しますが、ゲーム内のモニターやカットシーンなどで映像が表示されなくなります。
このほか、CPUを500MHzで動作させるための『path_oc.skprx』プラグインも配布されています。こちらはパフォーマンス向上を目的として推奨されているもので、導入そのものに必須というわけではありません。
トロフィー機能も用意されていますが、利用するには『NoTrpDrm』プラグインが必要です。なお、こちらは非公式ソフト向けのトロフィー機能であり、公式のPSNトロフィーとは異なるため注意しましょう。
今後のアップデートにも期待! 現時点では動作上の制約も
今回公開された『doom3bfg-vita』はv0.9ということもあり、まだ完成版ではありません。ゲームによっては処理落ちや読み込み時の停止などが発生する可能性があり、パフォーマンスについても今後の改善が期待されます。
また、オンライン対戦についても少し注意が必要です。
GitHubのReleasesで公開されているVPKにはインターネット経由の対戦機能が含まれていますが、公開ソースコードにはオンラインサービスに関する部分が含まれていません。そのため、自分でソースコードからビルドした場合は、配布版と利用できる機能が異なります。
それでも、かつてPS Vitaよりも高性能なゲーム機で動いていた『DOOM 3 BFG Edition』を、携帯ゲーム機で動かせるようになったというのは興味深いところです。
特に、追加キャンペーンや初期の『DOOM』シリーズまでまとめて対応している点は、シリーズファンにとっても魅力的ではないでしょうか。
現時点では導入に少々手間がかかるほか、動作面での課題も残されていますが、今後どこまで完成度が高められていくのか注目したいですね。
via.Reddit


















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