486時代のMS-DOSで初代PlayStationが動く!? 3dfx Voodooにも対応したエミュレーター『ScratchPsx』が更新

486時代のMS-DOSで初代PlayStationが動く!? 3dfx Voodooにも対応したエミュレーター『ScratchPsx』が更新

Windowsを使わず、MS-DOS上で初代PlayStationのゲームを動かすことを目指したエミュレーター『ScratchPsx』。その2026年10月19日付の更新版が、公式サイトで公開されています。

本ソフトの特徴は、486やPentium IIといった1990年代のパソコンを対象に開発されていることです。VGAやVESAによる画面表示に加えて、当時の3Dアクセラレーター『3dfx Voodoo』を利用した描画にも対応しています。

なお、『ScratchPsx』が最初に公開されたのは10月4日で、今回紹介するのはその後に配布された更新版です。10月19日版の具体的な変更点については、現時点では確認できていません。

●『ScratchPsx』公式紹介・配布ページ
https://bebox-emu.fr/en/projects/scratchpsx.html

486時代のPCでPlayStationを動かすエミュレーター

『ScratchPsx』は、MS-DOS向けに開発された初代PlayStationのエミュレーターです。開発者は10月4日に海外のVOGONSフォーラムで本ソフトを公開し、Windowsを必要としないネイティブDOSプログラムであることを紹介しています。

現在ではWindowsやLinuxなどでPlayStationのゲームを動かすエミュレーターも珍しくありません。しかし、本ソフトが対象としているのは、PlayStationが現役だった1990年代のパソコンです。

開発にはOpen WatcomとDOS/4GWが利用されており、PlayStationに搭載されているMIPS R3000の命令を、パソコンのx86プロセッサ向けに変換するダイナミックリコンパイラーも搭載されています。これは、異なるCPUの命令を実行時に変換することで、エミュレーションの効率を高める仕組みです。

公式サイトでは、486DX4-100と32MBのメモリーが最低限の動作環境として挙げられています。ただし、これはすべてのゲームが快適に動作することを保証するものではなく、Pentium IIや3dfx製グラフィックスカードの利用が推奨されています。

VGAだけでなく3dfx Voodooによる描画にも対応

本ソフトでもうひとつ興味深いのが、当時のパソコン向けグラフィックス環境に幅広く対応している点です。

通常のソフトウェア描画では、VGAの320×200ドット、Mode Xの320×240ドット、VESAの640×480ドットに対応。さらに、1990年代に登場した3Dアクセラレーター『3dfx Voodoo Graphics』や『Voodoo2』を利用したハードウェア描画もサポートしています。

こちらは3dfxのグラフィックスAPIであるGlideを使用したもので、ポリゴンやテクスチャなどの描画処理をグラフィックスカード側に任せることができます。

MS-DOS版には、通常のVGA/VESA表示に対応した『SCRPSX.EXE』のほか、Voodoo Graphics向けの『SCRPSXV1.EXE』、Voodoo2向けの『SCRPSXV2.EXE』という3種類の実行ファイルが用意されています。

サウンド面では『Sound Blaster 2.0』『Sound Blaster Pro』『Sound Blaster 16』に対応しており、CDオーディオやXAオーディオもサポート。ゲーム中に呼び出せるメニュー画面は、往年のメガドライブエミュレーター『Genecyst』を意識したデザインとなっています。

単にPlayStationのゲームを動かすだけではなく、グラフィックスカードやサウンドカードも含めた、当時のパソコン環境を生かせるところが面白いポイントです。

Pentium IIとVoodoo2で『クラッシュ・バンディクー』などが動作

開発者は10月4日の初公開時に、『DOSBox-X』上で動作させた映像を紹介しています。こちらではソフトウェア描画のほか、エミュレートされたVoodooを利用するGlide描画の様子も確認できます。

さらに10月6日には、Pentium II-350とVoodoo2を搭載した実機での動作映像も公開。『クラッシュ・バンディクー』『鉄拳』『ロックマンX6』といったPlayStation用ゲームが、MS-DOS上で動作している様子を紹介しています。

もっとも、当時のパソコンでPlayStationのゲームを快適に遊べるかというと、まだ難しい部分もあるようです。

VOGONSフォーラムでは、Pentium MMX 233MHzとS3 ViRGEを搭載した、Voodooを使用しない環境で『ロックマンX6』を試したユーザーから、毎秒2フレーム程度の速度だったという報告も寄せられています。

開発者自身も、3dfx製カードを使用しない場合はCPUのエミュレーションから画面描画までソフトウェアで処理する必要があり、1990年代のハードウェアには負担が大きいと説明しています。

そのため、現時点では最新のエミュレーターのような快適さを期待するよりも、当時のパソコンでどこまでPlayStationを再現できるのかを楽しむ、実験的なソフトと捉えるのがよさそうです。

1990年代のパソコン環境を生かしたユニークな挑戦

『ScratchPsx』は現在も開発が続けられており、10月19日付の更新版が公式サイトで配布されています。なお、利用する際はPlayStationのBIOSやゲームのCDイメージを別途用意する必要があり、BIOSファイルはエミュレーター本体には同梱されていません。

初代PlayStationと同じ時代に登場したパソコンで、そのPlayStationのゲームを動かすというのは、なかなか興味深い試みです。

486やPentium II、Sound Blaster、3dfx Voodooといった名前に懐かしさを感じる人はもちろん、かつてのパソコンが持っていた可能性を改めて知るという意味でも、今後の開発が楽しみなエミュレーターといえるでしょう。

via.VOGONS

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