ファミコンの米国進出を支えた1985年の倉庫を特定! 41年経った現在も当時の姿が残っていた

ファミコンの米国進出を支えた1985年の倉庫を特定! 41年経った現在も当時の姿が残っていた

1985年に任天堂が『Nintendo Entertainment System』(NES)の北米試験販売を行った際、拠点として使用していた倉庫が、41年経った現在も残っていることが明らかになりました。

ゲーム史研究家のPat Contri氏が2026年10月18日、Redditで調査結果を報告しました。発見されたのは米国ニュージャージー州ハッケンサックにある建物で、当時と現在の写真を比較すると、外観がほとんど変わっていないことがわかります。

1985年のNES試験販売で使われた倉庫が現存!

今回の発見を報告したのは、ゲーム史研究家として知られるPat Contri氏です。同氏はDaniel Greenberg氏、legendofNES.comのJames氏と協力し、1985年に任天堂が使用していた倉庫を特定したといいます。この調査結果は、Portland Retro Gaming Expoでも発表されました。

発見された建物は、ニュージャージー州ハッケンサックにあります。1985年当時、任天堂はニューヨーク市とニュージャージー州北部でNESの試験販売を行っており、この倉庫を地域展開の拠点として利用していたそうです。

Contri氏がRedditに公開した写真では、1985年当時と2026年現在の建物の姿を比較することができます。約41年という長い年月が経過しているにもかかわらず、建物の外観は当時とよく似た状態を保っています。

興味深いのは、この倉庫の存在自体は、以前からゲーム史研究家の間で知られていたという点です。しかし、具体的な所在地については断片的な手がかりしかなく、どの建物だったのかは明らかになっていませんでした。

Contri氏も、以前から倉庫が現在も残っているのか気になっていたそうです。Redditのコメントでは、この1年ほどの間に調査へ多くの時間と労力を費やしたことも明かしています。

北米ゲーム市場の復活を目指した任天堂の挑戦

そもそも、この倉庫が使われていた1985年は、任天堂にとって北米市場への本格進出を目指す重要な時期でした。

日本では1983年に『ファミリーコンピュータ』(ファミコン)が発売され、家庭用ゲーム機として人気を集めていました。しかし、同じ1983年に北米では家庭用ゲーム市場が大きく崩壊。いわゆる「アタリショック」と呼ばれる出来事によって、テレビゲームに対する小売店の信頼が大きく低下していたのです。

そうした状況のなか、任天堂はファミコンを北米向けに再設計したNESを投入することになります。ただし、最初から全米で発売したわけではありません。まずはニューヨーク周辺地域で試験販売を実施し、市場の反応を確かめるという方法が採られました。

当時の任天堂は、NESを従来のテレビゲーム機とは異なる商品として売り込もうとしていました。ロボット型周辺機器の『R.O.B.』を前面に押し出すなど、玩具としての魅力をアピールすることで、小売店に受け入れてもらおうとしたのです。

今回特定された倉庫は、まさにそうした挑戦を支えた場所でした。Contri氏によると、ニューヨーク市やニュージャージー州北部の市場にNESを送り出すための活動拠点となっていたそうです。

ちなみに、NESのニューヨーク地域での試験販売開始日は、1985年10月18日とされることが多いものの、正確な日付については議論があるとContri氏自身も説明しています。その後、1986年には販売地域が拡大し、全米展開へとつながっていきました。

現在では世界的なゲームメーカーとして知られる任天堂ですが、当時の北米市場では、テレビゲームそのものへの信頼を取り戻すところから始めなければなりませんでした。今回発見された倉庫は、そんな時代の挑戦を今に伝える建物といえそうです。

ゲーム史に残る場所として正式に認定される可能性も

Contri氏らは今回、建物の具体的な住所を公開していません。現在も私有地であることから、所有者や関係者への配慮を優先したためです。

一方で、ゲーム史における重要な場所として、この建物を後世に残すための取り組みも進めています。すでに市の関係者や地元の歴史協会と連絡を取り、歴史的な場所として正式に認定してもらえる可能性を探っているとのことです。

ただし、現時点では任天堂や公的機関によって、建物の歴史的価値が正式に認定されたという情報は確認されていません。今回の発見は、Contri氏らの調査と公開された比較写真をもとに報告されたものです。

また、Contri氏は今後、この倉庫について詳しく紹介する動画を制作したり、刊行予定のNES関連書籍で取り上げたりする可能性にも言及しています。具体的な予定は未定ですが、今回の調査について、さらに詳しい情報が明らかになることも期待されます。

日本で誕生したファミコンが、NESとして北米市場へ進出し、世界的な成功を収めるまでには、さまざまな挑戦がありました。その歴史を支えた場所のひとつが、41年後の現在も当時とほとんど変わらない姿で残っているというのは、なんとも興味深い話です。

ゲーム機やソフトだけでなく、それらが世に送り出された場所にも歴史が刻まれています。今回の発見は、普段あまり語られることのない、ゲーム史のもうひとつの側面を教えてくれるものではないでしょうか。

●参考資料:Video Game History Foundation「The NES Launch Collection」
https://gamehistory.org/nes-launch-collection-1985/

●参考資料:Nintendo of America「Our History」
https://careers.nintendo.com/our-history/

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