昔のゲームを遊んでいて、突然画面が崩れたり、色がおかしくなったりした経験はないでしょうか? そんなゲームの「画面バグ」を意図的に作り出し、映像や音楽の制作に活用できるユニークなハードウェア『Glitch Boy』が登場しています。
本製品を開発したのは、イタリア・トリノを拠点とするMelted Electronicsです。開発者のMartino氏がRedditに実物の写真を投稿し、ゲームの映像や音声をリアルタイムで変化させられる装置として紹介しました。ゲームの不具合を再現するという、一風変わった発想から生まれた製品です。
『Glitch Boy』は2026年4月にKickstarterでクラウドファンディングが実施された製品で、今回が初公開というわけではありません。現在は公式サイトで予約を受け付けており、2026年11月以降の発送が予定されています。
●Kickstarterプロジェクトページ
https://www.kickstarter.com/projects/meltedelectronics/glitch-boy
ゲームの映像をわざと壊して、不思議な映像を作り出す!
『Glitch Boy』の最大の特徴は、ゲームの描画処理を意図的に変化させることで、通常のゲームプレイでは見られない映像を作り出せる点です。
一般的なゲーム機では、映像が乱れたり、キャラクターが正しく表示されなくなったりする現象は不具合として扱われます。しかし、本製品ではそうした現象そのものが映像表現のための素材になります。

仕組みとしては、NES(海外版ファミコン)のエミュレーターに手を加えており、ゲームの実行中に処理を変化させることで、画面を意図的に乱すことができます。
たとえば、画面の色を突然変化させたり、映像を不規則に崩したりといった表現が可能です。あらかじめ作成した動画にエフェクトを加えるのではなく、ゲームの動作そのものを変化させるという点がユニークです。
なお、本製品はゲーム機の実機に接続して映像を加工するものではありません。ゲームデータをmicroSDカードから読み込み、本体内のエミュレーターで動作させる仕組みです。そのため、ゲームカートリッジを直接挿入したり、実機を改造したりする必要はありません。
音楽に合わせて画面を変化させることも可能!
『Glitch Boy』は、映像だけでなく音楽との連携にも対応しています。
本体に搭載されたボタンやノブを操作することで、ゲーム画面にリアルタイムで変化を加えられます。また、MIDI入力や音声入力を利用すれば、外部の音楽機器と連携した演出も可能です。
たとえば、音楽のリズムに合わせて画面を歪ませたり、電子楽器の操作に合わせて映像の色や表示を変化させたりといった使い方が考えられます。

さらに、ゲーム機のサウンド機能を利用したチップチューン用シンセサイザーとしても利用できます。MIDIを通じて4つの音声を独立して演奏できるため、映像だけでなく8bit風の電子音楽を制作する機器としても活用できます。
開発者のMartino氏はRedditで、本製品の用途について、バンドやDJのライブ映像、ミュージックビデオなどの芸術的なコンテンツ制作を想定していると説明しています。つまり、ゲームを有利に進めたり、不具合を修正したりするためのツールではなく、ゲームの映像を素材にした映像・音楽制作用の装置というわけです。
ゲームボーイのエミュレーターも開発に利用
今回のRedditへの投稿で興味深いのは、Martino氏が開発過程についても言及していることです。
同氏によると、『Glitch Boy』の制作ではゲームボーイとNESのエミュレーターに意図的な変更を加え、その後、専用の回路基板や操作パネルを設計したそうです。
ただし、現在の公式商品ページではNESエミュレーターを利用した仕組みが中心に紹介されています。そのため、ゲームボーイ向けタイトルについて、どの程度の互換性が確保されているのかは、公式の商品仕様だけでは判断できません。
スタンドアロン版とEurorack版の2種類を用意
『Glitch Boy』には、単体で利用できるスタンドアロン版と、モジュラーシンセサイザーに組み込むためのEurorack版が用意されています。
主な仕様は以下の通りです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ゲームデータ | microSDカードから読み込み |
| 映像出力 | コンポジット(NTSC/PAL) |
| 音声入力 | 3.5mmモノラルライン入力 |
| MIDI入力 | 3.5mm TRS Type A |
| CV入力 | 2系統(0~5V) |
| 電源 | 5V/0.2A |
| スタンドアロン版のサイズ | 約119×94×39mm |
| Eurorack版のサイズ | 16HP、奥行き60mm |
また、USB接続を利用して、Webブラウザーからファームウェアを更新する機能も用意されています。
価格はスタンドアロン版、Eurorack版ともに189ユーロです。公式サイトでは現在予約を受け付けており、発送は2026年11月からを予定しています。
通常のレトロゲーム機とは少し異なる製品ですが、かつてゲームで偶然目にした「バグった画面」を、自分の手で操れるというのは面白い発想です。映像制作や電子音楽に興味がある人にとっては、独特な表現を楽しめる機器となりそうです。
















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