ROMを1作品1本に整理するフィルターを追加。「OpenROM 3.9.0」で地域優先設定とCHD音声設定に対応

ROMを1作品1本に整理するフィルターを追加。「OpenROM 3.9.0」で地域優先設定とCHD音声設定に対応

ROMの変換や圧縮、パッチの適用などをまとめて行えるツール「OpenROM」の最新版となる「v3.9.0」が、M5Devsより2026年10月10日に公開されました。

今回のアップデートでは、同じゲームの地域違いやバージョン違いを整理する「1G1R(1 Game 1 ROM)」フィルターが新たに追加されています。さらに、CHD形式への変換時にCD音声の圧縮コーデックを選択できるようになるなど、ゲームデータの整理や保存に役立つ機能が強化されています。

●OpenROM v3.9.0(GitHub Releases)
https://github.com/M5Devs/OpenROM/releases/tag/v3.9.0

地域違いのROMを1作品1本に整理できる「1G1R」とは?

今回追加された機能の中でも注目したいのが、「1G1R(1 Game 1 ROM)」と呼ばれるコレクション整理機能です。

レトロゲームのROMを管理していると、同じタイトルでも日本版や北米版、欧州版など、複数の地域向けバージョンが存在することがあります。さらに、修正版なども含めると、ひとつの作品に対して複数のファイルが保存されているケースも少なくありません。

こうしたファイルを整理し、原則として1作品につき1本のROMを残すための仕組みが1G1Rです。

OpenROM 3.9.0では、ファイル名に含まれる地域情報などをもとに、優先するバージョンを選別できるようになりました。

たとえば、同じゲームの日本版と北米版がある場合、地域の優先順位に応じて、どちらを残すかを判断する仕組みです。

また、公開されている実装コードによると、地域の優先順位だけでなく、リビジョン番号やファイル名に含まれるダンプ情報なども選別に利用しています。

不要と判定されたROMは別フォルダーに移動。事前確認も可能

1G1Rフィルターは、デスクトップアプリの「Tools」に追加された「1G1R Cleaner」から利用できます。

対象となるROMフォルダーを指定し、地域の優先設定を確認して処理を実行する仕組みです。GUIでは初期状態で米国、欧州、日本、Worldの順に地域が表示され、対象から外したい地域を取り除く操作が用意されています。

また、ファイルの移動を伴わずに結果を確認できる「Dry Run / Preview」機能も搭載されています。GUIではこの機能が初期状態で有効になっており、実際に整理する前に、どのROMが残され、どのROMが重複と判定されるかを確認できます。

公開されているソースコードでは、重複と判断されたファイルは削除されず、対象フォルダー内に作成される「_duplicates」フォルダーへ移動する仕様となっています。

ただし、当サイトでは実機での動作検証までは行っていません。また、作品の判定にはファイル名が利用されており、すべての命名規則やタイトル表記に対応しているわけではありません。

特に、日本版と海外版でゲームタイトルそのものが異なる場合などは、同一作品として認識されない可能性があります。実際に利用する場合は、元のROMをバックアップしたうえで、まずプレビュー機能から試すのがよさそうです。

なお、コマンドライン版でも同様の機能が利用できます。新たに追加された「–1g1r」で対象フォルダーを指定し、「–priority」で地域の優先順位を設定できます。「–dry-run」による事前確認にも対応しています。

CHD作成時にFLACとVorbisの音声コーデックを選択可能に

もうひとつの新機能が、CHD形式への変換時におけるCD音声コーデックの選択です。

CHDは、プレイステーションやセガサターン、ドリームキャストなど、CD-ROMを採用したゲーム機のディスクイメージを管理する際にも利用されている形式です。

OpenROM 3.9.0では、CD向けのCHDファイルを作成する際に、音声の圧縮方式として「FLAC」と「Vorbis」を選択できる設定が追加されました。

FLACは音声データを元に戻せる可逆圧縮方式であるのに対し、Vorbisは非可逆圧縮方式です。そのため、どちらを選んでも同じように音声データが保持されるわけではありません。

この設定はGUIの「Settings」から利用できるほか、コマンドライン版にも「–audio-codec」オプションが追加されています。

ただし、コーデックごとの実際の圧縮率や、作成したCHDファイルの各種エミュレーター・実機向け環境での互換性については、今回確認できた情報だけでは判断できません。

Windows、Linux、macOS向けに公開中

OpenROMは、ROMの変換や圧縮、差分パッチの作成・適用など、複数の機能をひとつにまとめた無料のオープンソースツールです。

当サイトでは2026年10月5日に公開した記事で、「OpenROM 3.7.5」に追加された差分パッチの作成機能や、適用元となるROMの取り違えを検出する仕組みについて紹介しました。

今回のv3.9.0は、それらとは異なり、増えすぎたROMコレクションの選別や、ディスクイメージの保存設定を中心としたアップデートとなっています。

配布されているのは、Windows向けのインストーラー版・ポータブル版、Linux向けのx86-64版・ARM64版、macOS向けのIntel版・Apple Silicon版です。各パッケージにはGUIとCLIが含まれています。

多数の地域版を保存している人にとって、1G1Rはコレクションを整理する選択肢のひとつとなりそうです。ただし、ファイル名をもとにした自動選別であることから、処理結果を確認しながら利用することが重要です。

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