アタリジャガー用の幻のゲーム『Speedster II』が公開される

アタリジャガー用の幻のゲーム『Speedster II』が公開される

L4 Softwareにより開発されたレーシングゲーム『Speedster II』の映像とROMが公開されました。こちらはアタリジャガーで開発が行われていたものの、デパートの屋上やゲームセンターなどにあったような、子供向けの乗り物として企画されていたもののようです。そのため、アタリジャガーのエミュレーターなどでも遊ぶことができるようになっています。

今となっては見た目もあれな感じですが、ゲーム内容自体も至ってシンプルなものとなっています。まっすぐな道をドライビングしながら、三角コーンや牛の糞を避けて駐車上を目指していきます。ゲームとしてはこれだけで、これ以上のものはありません。

1968年にNorwoodVeatch Sr.によって、ミズリー州セントルイスに設立されたカルーセルインターナショナルは、子供向けのライド業界で主要なプレイヤーのひとつとして数えられていました。彼らのトレードマークであるメリーゴーランドキャビネットは大きな成功を収め、それと別に子供向けの乗り物も店先に登場するようになります。

90年代半ばまでに、カルーセルは定評のある名前になっていたものの、時代の変化に対応していく必要がありました。そこで、ビデオスクリーンを乗り物に組み込む計画を立てます。そして、この計画は大手ゲームメーカーのひとつからハードを購入することから始まります。

1985年は、Atariにとっていい年とはいえませんでした。その3年前には、ゲーム業界を大きく揺るがすアタリショックが起き、アタリジャガーの売上げも同社の予想を大幅に下回っていました。セガサターンとPlayStationと競争するために100ドルの値下げが行われたものの、残りの株を売ることにはほとんど役に立つことはありませんでした。

カルーセルの最初のジャガープロジェクトは、『Speedster』と『スカイコプター』の乗り物の続編です。インディアナを拠点に活動していたL4SoftwareのプログラマーであるMarioPerdu氏は、ゲームの開発に関する契約を結びます。

今回公開された『Speedster II』は1995年12月5日に完成。その直後、MarioPerdu氏はカルーセル用の3つ目となるオリジナルゲーム『SpaceGuy』を作成しています。こちらも完成したものの、キャビネットが製造されることはありませんでした。その後、カルーセルは2007年6月にその歴史を閉じています。

アタリジャガー用の幻のゲーム『Speedster II』が公開される
▲こちらが、1996年初頭頃に撮影された『Speedster II』の筐体。

2001年には単体のプロトタイプである『Speedster II』は、ジャガーのカートリッジの出荷から引き上げられてしまい、すぐにeBayで売られることになります。そのコピーがコレクターの間で受け渡されるようになるのも時間の問題だったともいえます。

アタリジャガー用の幻のゲーム『Speedster II』が公開される

これらすべてのストーリーを読みたい人は、下記のページにアクセスしてみてください。

●Speedster II(Atari Jaguar、プロトタイプ)–ゲーミングアレクサンドリア
https://www.gamingalexandria.com/wp/2022/01/speedster-jag/

via.RetroRGB

ABOUT US
アバター画像
高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。