レトロゲーム機を携帯型に改造するという試みは珍しくありませんが、なんとブラウン管まで内蔵してしまった強者が現れました。
電子工作家のNick Bild氏が2026年10月7日に公開した「µTari Go(マイクロタリ・ゴー)」は、4インチのブラウン管ディスプレイを搭載した携帯型Atari 2600です。
驚くべきことに、本機はエミュレーターやFPGAを利用した互換機ではありません。オリジナルのAtari 2600で使用されていたチップを採用し、当時のゲームカートリッジをそのまま差し込んで遊べるという、こだわりの詰まった一台となっています。
●µTari Go — Hackaday.io公式プロジェクト
https://hackaday.io/project/206898-tari-go-a-handheld-atari-2600
●µTari Go — GitHub(製作資料)
https://github.com/nickbild/uTari_go
エミュレーターではなく本物のAtari 2600を小型化
「µTari Go」のベースになっているのは、Nick Bild氏が以前制作した小型Atari 2600互換基板「µTari」です。
オリジナルのAtari 2600の基板は約9.75×5.25インチというサイズでしたが、µTariでは4.7×3.5インチにまで小型化することに成功しています。
しかも、単に回路を再現したものではありません。CPUには「6507」、映像と音声の処理には「TIA(Television Interface Adapter)」、RAMや入出力、タイマーには「6532 RIOT」という、オリジナルのAtari 2600で使われていた主要チップを採用しています。
一方で、小型化のために大型のスイッチやコネクターなどは見直されており、RFモジュレーターも取り除かれています。映像出力については、トランジスター1個と抵抗2個を利用したシンプルなコンポジット映像出力に変更されました。
もともとµTariは携帯型ゲーム機への応用を想定して設計されており、今回のµTari Goによって、その構想が実現した形です。

4インチのブラウン管を内蔵!実カートリッジにも対応
「µTari Go」で何よりも目を引くのが、本体に組み込まれた4インチのブラウン管ディスプレイです。
現在の携帯ゲーム機では液晶や有機ELディスプレイが一般的ですが、本機ではあえてCRTを採用しています。µTariの基板から出力されたコンポジット映像が直接CRTに送られるため、途中でデジタル映像への変換処理を行う必要もありません。
本体は3Dプリンターで製作した専用筐体に収められており、前面には十字キーと3つの操作ボタンを搭載しています。ボタンには「FIRE」「SELECT」「START」の機能が割り当てられ、外部コントローラーを接続することなくゲームを操作できます。
さらに、本体上部にはAtari 2600用の実カートリッジを差し込めるスロットも用意されています。
音声についても、PAM8302アンプを介して背面の8Ωスピーカーから出力される仕組みです。
つまり、ゲームの処理だけでなく、映像表示や操作、音声出力まで、Atari 2600を遊ぶために必要な機能がひとつの筐体にまとめられているのです。
ただし、通常の携帯ゲーム機とは異なり、バッテリーを内蔵した構成ではありません。動作には外部から12VのDC電源を供給する必要があります。

現代の技術で昔のゲーム体験を再構築したユニークな作品
近年はエミュレーターを搭載した携帯型ゲーム機が数多く登場していますが、「µTari Go」はそうした製品とは異なる方向性を持っています。
現代の技術でゲームの動作を再現するのではなく、当時のチップを実際に使用し、さらに映像を表示するブラウン管まで小型の筐体に組み込んでいる点が最大の特徴です。
もちろん、液晶を採用した携帯ゲーム機と比べれば本体は大きくなり、外部電源も必要です。しかし、利便性よりも当時のハードウェアと表示技術をそのまま楽しむことを優先した、実にユニークな作品といえるでしょう。
なお、「µTari Go」はNick Bild氏による個人制作プロジェクトであり、Atariの公式製品ではありません。現時点で一般向けの完成品販売や価格、量産計画なども確認されていません。
開発者のGitHubでは製作資料や3Dプリント用のモデルデータなどが公開されています。また、実際に動作している様子は公開動画で確認できます。
via.Hackaday















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