スーパーマリオシリーズの珍しい資料やトリビアを紹介しているSupper Mario Brothが2026年9月6日、NES版『スーパーマリオブラザーズ』で『ゼルダの伝説』のカートリッジを利用し、ワールドセレクトを有効化できるという奇妙なテクニックをXで紹介しました。
一見するとまったく関係がなさそうな2本のゲームですが、その仕組みはNES本体のRAMに残されたデータを利用したものです。なお、この現象自体が今回新たに発見されたわけではなく、MrCheeze氏が2023年8月12日に公開した動画で詳しい仕組みと実際の動作を紹介しています。
『ゼルダの伝説』が書き込んだ値を『スーパーマリオブラザーズ』が利用
通常、『スーパーマリオブラザーズ』のワールドセレクトはゲームをクリアした後に利用できる機能です。タイトル画面でBボタンを押すことで、ワールド1~8から開始地点を選べるようになります。
MrCheeze氏によると、『スーパーマリオブラザーズ』ではRAM上の「$07FC」がワールドセレクトの有効・無効を管理するフラグとして利用されています。この値が0以外の状態になっていると、ゲーム側がワールドセレクトを利用できる状態だと判断する仕組みになっています。
面白いのは、NES版『ゼルダの伝説』も同じRAM領域を別の用途で使用しているところです。同作のレベル8にある特定の部屋を訪れると「$07FC」や、その隣にある「$07FD」に値が書き込まれます。
そこで、あらかじめ条件を整えた『ゼルダの伝説』のセーブデータを用意し、『スーパーマリオブラザーズ』を起動した後に本体の電源を切らず『ゼルダの伝説』へ交換。セーブデータを読み込んでRAMの状態を変化させ、そのまま再び『スーパーマリオブラザーズ』へ戻すことで、本来はクリア後に設定されるワールドセレクト用のフラグを別ゲームから作り出せるというわけです。
通常存在しない「World X」へ進むことも可能
この方法には、もうひとつ面白い副作用があります。「$07FD」は『スーパーマリオブラザーズ』ではゲームオーバー後にコンティニューするワールドを記録するために使用されており、『ゼルダの伝説』側から通常では設定されない値を書き込むことができます。
MrCheeze氏の検証では、この状態でタイトル画面から特定の操作を行うことで、通常のワールド1~8ではない「World X」へ進むことにも成功しています。「World X」は8-4をベースにしたような異常なステージになっており、通常なら必要となるループ処理なども正常には機能しません。
つまり、特殊な改造ソフトを動かしているわけではなく、1980年代に発売された任天堂の代表作2本が偶然同じRAMアドレスを異なる意味で利用していたことから成立している現象です。ゲームを切り替えても電源を落とさない限りRAMの一部に値が残るという、当時のハードウェアならではの挙動を利用しているところが最大のポイントといえそうです。
実機でのカートリッジ交換は非推奨
非常に興味深いテクニックではありますが、実際に試すことはおすすめできません。この方法ではNESの電源を入れた状態のままカートリッジを何度も抜き差しする必要があるからです。
任天堂の公式サポートでも、NESなどのカートリッジ式ゲーム機については、Game Pakを挿入・取り外す前に必ず本体の電源を切るよう案内されています。そのため、今回の内容はあくまでもNESのメモリ構造を利用した珍しい実験として楽しむのがよさそうです。
ちなみに、よく知られたものでは『スーパーマリオブラザーズ』と『Tennis』を電源を切らずに交換し、通常では入ることができない異常なワールドを呼び出すテクニックも存在します。MrCheeze氏はその仕組みを調査する中で、同様にRAMへ値を書き込めるゲームをNESタイトルから探し、『ゼルダの伝説』でもワールドセレクトを有効化できることを突き止めたと説明しています。
40年以上前のゲーム同士が、RAM上のわずかな値を介して思わぬ形で“連携”してしまう――。単なる裏技というよりも、NESというハードウェアの仕組みそのものを利用した、なかなか興味深い現象といえるのではないでしょうか。
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