PSP発表時、任天堂の関係者から届いた驚きのメッセージとは? 元PlayStation幹部が当時を回想

PSP発表時、任天堂の関係者から届いた驚きのメッセージとは? 元PlayStation幹部が当時を回想

ソニーが2004年に発売した携帯ゲーム機「PlayStation Portable(PSP)」。当時、携帯ゲーム機市場で圧倒的な存在感を誇っていた任天堂に挑戦する製品として、大きな注目を集めました。そんなPSPが初めて発表された際、任天堂の関係者はどのような反応を示していたのでしょうか。

元PlayStation幹部のショーン・レイデン(Shawn Layden)氏が、インタビュー番組「The Expansion Pass」に出演し、当時の意外なエピソードを披露しました。

海外メディアのTime Extensionが2026年10月7日に報じた内容によると、レイデン氏はPSP発表時に任天堂で働いていた知人から届いたメッセージを紹介しています。さらに、PSPの成功とPlayStation Vita(PS Vita)の苦戦を振り返り、ソニーの携帯ゲーム機事業が抱えていた課題についても語っています。

PSP発表時、任天堂の知人から届いた「この野郎!」というメッセージ

レイデン氏は番組内で、ソニーが初めてPSPを披露した頃の出来事を振り返っています。

当時、任天堂に勤務していた知人がいたというレイデン氏。その人物からPSP発表後に届いたメッセージには、たったひと言、次のように書かれていたそうです。

「You bastards.(この野郎!)」

なかなか強烈な言葉ですが、レイデン氏はこれに対して「おいおい、ただのゲームじゃないか」といった調子で返したといいます。

このやり取りについて、レイデン氏は笑い話として紹介しており、相手との深刻な対立を示すものではありません。また、メッセージを送った人物の名前も明らかにされていません。

それでも、任天堂で働いていた人物からこうした反応が届いたというエピソードは、当時のPSPが業界関係者に与えたインパクトをうかがわせるものです。

なお、レイデン氏自身はPSPを初めて披露した時期について、2003年から2005年頃だったと記憶をたどりながら話しています。

携帯ゲーム機市場で激突したPSPとニンテンドーDS

PSPが日本で発売されたのは2004年12月12日のことです。それに先立つ同年12月2日には、任天堂が「ニンテンドーDS」を発売していました。

当時の任天堂はゲームボーイシリーズで携帯ゲーム機市場を長年リードしており、ソニーにとってPSPは本格的な携帯ゲーム機市場への参入となりました。

両機種は、それぞれ異なる特徴を打ち出していました。

ニンテンドーDSは2画面構成やタッチスクリーンを採用し、従来とは異なるゲーム体験を提案。一方のPSPは、大型のワイドスクリーンや高いグラフィック性能を備え、据え置き型ゲーム機に近い本格的なゲームを持ち運べることが魅力でした。

最終的な世界累計販売台数は、ニンテンドーDSシリーズが約1億5400万台、PSPが約7640万台と大きな差がつきました。

しかし、PSPも携帯ゲーム機として大きな成功を収めています。特に日本では『モンスターハンター』シリーズが人気を集め、友人同士でPSPを持ち寄って協力プレイを楽しむスタイルが広がりました。

今回のエピソードは、そんな携帯ゲーム機市場の勢力図が大きく変化し始めた時代のひと幕といえそうです。

PSPが好調だった一方で、PS3は苦戦していた

レイデン氏は、PSPが好調だった時期のソニーについても言及しています。

日本で『モンスターハンター』シリーズの人気が高まり、PSPが勢いに乗っていた一方、据え置き型ゲーム機のPlayStation 3(PS3)は苦戦していました。

この経験を踏まえ、レイデン氏はソニーが将来再び携帯ゲーム機市場に本格参入するのであれば、従来とは異なる事業体制が必要になるかもしれないとの考えを示しています。

例えば、携帯ゲーム機を専門に扱う別会社のような組織を設け、そこに開発やマーケティングのリソースを集中させるというものです。

据え置き型ゲーム機と携帯ゲーム機、さらにソフトウェアの販売促進まで、ひとつのマーケティング予算でまかなおうとするのではなく、それぞれの事業に適した取り組みが必要だという見解です。

もちろん、これはソニーが新たな事業体制を計画しているという話ではなく、あくまでもレイデン氏自身の経験に基づく提案です。

PS Vitaが苦戦した理由とは?任天堂との考え方の違いにも言及

レイデン氏は、PSPの後継機として2011年に日本で発売されたPS Vitaについても振り返っています。

PS Vitaは、美しい有機ELディスプレイや高性能なグラフィック機能、ふたつのアナログスティックなどを搭載した携帯ゲーム機でした。

しかし、PSPほどの商業的成功を収めることはできませんでした。

レイデン氏は、その要因のひとつとして、ソニーが携帯ゲーム機に求められる体験を十分に理解できていなかったのではないかと指摘しています。

同氏によれば、任天堂は以前から、ユーザーが携帯ゲーム機に求めているのは携帯機ならではの優れたゲーム体験であり、必ずしも据え置き型ゲーム機の体験をそのまま再現することではないと理解していたそうです。

一方、ソニーはそのことに気付くまでに時間がかかったと振り返っています。

具体的な例として挙げたのが、PS Vitaでのサードパーソン・シューティングゲームの操作です。レイデン氏は、初期のゲームでは照準を合わせることが簡単ではなかったと語っています。

つまり、高性能なハードウェアを用意して据え置き型ゲーム機に近い作品を動かせるようにするだけでは、必ずしも魅力的な携帯ゲーム機になるわけではないということです。

そのうえでレイデン氏は、ソニーが新たなゲームプラットフォームを立ち上げるのであれば、まず自分たちがどのような存在を目指すのかを明確にする必要があるとの考えを示しています。

ただし、これらはレイデン氏による分析であり、PS Vitaが苦戦した理由をひとつに断定するものではありません。

今だからこそ興味深い、ソニーと任天堂の携帯ゲーム機競争

PSPの発表を受け、任天堂の知人から届いた「You bastards」というメッセージ。短いひと言ながら、当時の携帯ゲーム機市場にソニーが参入した衝撃を感じさせるエピソードです。

その一方で、今回のインタビューからは、PSPで一定の成功を収めたソニーが、後継機のPS Vitaでは異なる課題に直面していたことも見えてきます。

現在ではNintendo SwitchシリーズやSteam Deckなど、据え置き型ゲーム機に近い体験を持ち運べる製品も登場しています。しかし、単純な性能だけでなく、携帯ゲーム機としてどのような体験を提供するのかという問題は、今も変わらず重要なのかもしれません。

PSPとニンテンドーDSが競い合っていた時代を知るゲームファンにとって、今回のレイデン氏の証言は、当時の競争を少し違った角度から振り返ることができる興味深い内容となっています。

via.Time Extension

ABOUT US
アバター画像
retrogamer