MiSTer FPGAや携帯エミュ機、PCなど、複数の環境でレトロゲームを遊んでいる人にとって意外と面倒なのがセーブデータの管理です。そんな悩みを解決してくれそうなのが、レトロゲーム向けクラウドセーブサービス「1Retro」です。
TechSpotでは2026年9月22日付で「1Retro 0.7.0」が掲載されており、海外メディアのTime Extensionでも紹介されるなど、あらためて注目を集めています。なお、1Retro自体は少なくとも2026年3月には公開されており、今回がサービスそのものの開始というわけではありません。
●1Retro公式
https://1retro.com/
レトロゲームのセーブデータに特化したクラウドサービス
1Retroは、ソフトウェア開発者でレトロゲームファンでもあるHans Larsen氏が開発しているクラウドセーブサービスです。一般的なクラウドストレージとは異なり、単純にファイルをアップロードするだけではなく、ゲームのセーブデータを検出して管理することに特化しているのが大きな特徴です。
セーブデータのバックアップや同期に加えて、バージョン管理や競合処理にも対応しています。
たとえば、自宅ではMiSTer FPGA、外出先では携帯エミュ機、PCではRetroArchといった具合に、複数の環境で同じゲームを遊んでいる場合でも、それぞれのセーブデータを手作業でコピーする手間を減らせます。
ある機器で遊んだ続きを、別の機器からそのまま再開するといった使い方ができるのがポイントです。
MiSTer FPGAやRetroArch、OnionOSなどに対応
1Retroでは、RetroArchやOpenEmu、MiSTer FPGA、OnionOS、NextUI、MinUI、RetroBat、Miyoo、Android、SteamOSなどが対応例として挙げられています。
Windows、macOS、Linux向けにはデスクトップアプリも用意されており、公式では43種類以上のゲームプラットフォームをサポートするとしています。なかでもMiSTer FPGAに対応しているのは、この手のサービスとしてはなかなか興味深いところです。
MiSTer向けには軽量な同期ツールが用意されており、セーブディレクトリを監視して変更されたデータをクラウドへアップロードしたり、クラウド側に新しいセーブデータがあれば取得したりする仕組みになっています。
ただし、すべての対応環境で同じように自動同期が利用できるわけではありません。
開発者のLarsen氏は2026年9月22日にReddit上で、MiSTerについてはフル対応している一方、OnionOSについては現時点では手動同期になっており、今後さらに改善していく予定だと説明しています。
異なる環境でのセーブデータ管理もサポート
エミュレーターやハードが変わると、同じゲームでもセーブデータの保存場所やファイル形式が異なる場合があります。単純なフォルダー同期だけでは、古いセーブデータで新しいものを上書きしてしまったり、別の形式として扱われてしまったりすることもあります。
1Retroでは、こうした問題を想定してセーブデータの検出やバージョン管理、競合処理などを行う仕組みが用意されています。複数の機器で同じセーブデータが更新された場合には競合として検出され、どちらを使用するか選択することも可能です。
また、MiSTerとOnionOSなど異なる環境でセーブデータをやり取りする際に変換が必要になるデータについても、1Retro側で処理する仕組みが用意されています。
Larsen氏によると、RTC(リアルタイムクロック)関連のデータについても変換処理を行うとのことです。『ポケットモンスター』シリーズのようにRTCを利用するタイトルを複数の環境で遊ぶ場合などには、こうした機能が役立ちそうです。
無料プランは20MB。有料版は月額2ドルから
1Retroには無料プランが用意されており、20MBのストレージと、ゲームごとに2つのセーブデータを利用できます。レトロゲームのセーブデータは容量が小さいものも多いため、まず試してみる用途なら無料版でも十分使えそうです。
有料のBasicプランは月額2ドルまたは年額20ドルで、100MBのストレージ、ゲームごとに10個のセーブ、最大10台までのデバイスに対応します。さらにPlusは月額5ドルまたは年額50ドルで1GB、Proは月額10ドルまたは年額100ドルで50GBのストレージが利用できます。
なお、ROMそのものを同期する「Personal ROM sync」については、公式料金ページでは今後追加予定の機能として案内されています。そのため、現時点ではROMをクラウド上で共有するサービスというよりも、セーブデータの同期と管理に特化したサービスと考えたほうがよさそうです。
SyncthingやRomMとの違いは?
複数の機器でファイルを同期するだけなら、Syncthingなどのツールを利用する方法もあります。しかし1Retroでは、ゲームのセーブデータを自動的に検出し、バージョン管理や競合処理まで行えるのが大きな違いです。
また、自前で同期用のサーバーを構築する必要がなく、MiSTer FPGAや携帯エミュ機なども含めてひとつのサービスで管理できる点も特徴です。ゲームライブラリー管理ツール「RomM」との違いについても、Larsen氏はRedditで説明しています。
すでにRomMを運用している場合は同様の目的を達成できるとしつつも、1Retroでは自前のサーバーを用意する必要がなく、MiSTer FPGAやカートリッジリーダーなども対象にしている点を違いとして挙げています。
複数の環境で遊ぶ人ほど便利そう
MiSTer FPGAやSuperStation One、携帯エミュ機、PCのエミュレーターなどを併用していると、「最新のセーブデータがどの機器に入っていたのかわからない」といったことが起こりがちです。
1Retroは、そんなレトロゲームならではのセーブデータ管理をひとまとめにしてくれるサービスといえそうです。一方で、現時点では自前のサーバーにインストールするセルフホストには対応していません。将来的な対応は検討されているものの、現在はクラウドサービスとして提供されています。
無料プランから試すこともできるため、MiSTer FPGAとPC、あるいは携帯エミュ機など、複数の環境で同じゲームを遊んでいる人にとっては気になるサービスではないでしょうか。MiSTer FPGAとPCの間で実際にどこまでスムーズに同期できるのか、今後実機で試してみるのも面白そうです。















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