PSPのMedia Engineに搭載されている「Sony Virtual Mobile Engine 2(VME2)」について、リバースエンジニアリングを進めている開発者のm-cid氏が、2026年9月8日にこれまでの解析成果をまとめた記事を公開しました。
VME2は主に音声処理に関連する演算器として知られていましたが、解析によって画像処理やデコードなどにも利用できる命令を備えていることが分かってきました。すでにHomebrew向けのサンプルコードや、NINTENDO 64タイトルのPSP向け移植プロジェクトでも活用が始まっています。
●KOMSTATION「Cracking The Unknown: Quest For The VME」
https://www.komstation.com/magazine/cracking-the-unknown-quest-for-the-vme/
●GitHub「psp-media-engine-cracking-the-unknown」
https://github.com/mcidclan/psp-media-engine-cracking-the-unknown
PSP内部にある「VME2」の解析が進む
VME2は、PSPに搭載されているMedia Engine内の演算エンジンです。m-cid氏は2026年1月より「psp-media-engine-cracking-the-unknown」と名付けたプロジェクトを開始し、その仕組みをリバースエンジニアリングしています。
今回公開された記事では、これまで個別に進められてきた解析結果を整理。VME2には絶対差分和やXOR parity、64bitのビット回転、絶対差分・絶対和などの処理を行う命令に加え、汎用的な論理演算を行うALUも備わっていると説明されています。
こうした機能は音声処理だけに限らず、画像処理やデコードなどにも応用できます。簡単にいえば、PSPの内部にある別の演算エンジンをHomebrewから利用し、CPUとは別に特定の処理を担当させようという試みです。
画像処理やFFTなどのサンプルも登場
VME2を活用するための検証も進められており、画像処理やニューラルネットワーク、ベクトル変換、FFTなどを実行するサンプルコードがすでに用意されています。
Media EngineとVMEの通信方法についても解析が進んでおり、MMIOやDMAC、共有Scratchpadなど複数の手段が利用できることが確認されています。初期に公開されていた仕様では、最大166MHz、5 Giga Ops/secの性能を持つとされています。
なお、これらはSonyが新たに公開した公式仕様ではなく、m-cid氏らによるリバースエンジニアリングから得られた解析結果です。
NINTENDO 64タイトルのPSP移植でも活用
VME2を利用する動きは、実際のHomebrew開発にも広がっています。
m-cid氏は活用例として、NINTENDO 64タイトルをPSPへ移植するプロジェクトを紹介しており、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や、最近開発が進んでいる『Star Fox 64』などでVME関連のコードが利用され始めているとしています。
当サイトでは先日、PSP向け『Star Fox 64』非公式移植が最後までプレイ可能になったことを紹介しましたが、今回の話題はその移植自体のアップデートではありません。PSP内部に存在するVME2というハードウェアを解析し、Homebrewから活用するための技術が蓄積されてきたことがポイントです。
m-cid氏は今後の解析対象として、Media Engine周辺に存在するH.264デコーダーも挙げています。発売から20年以上が経過したPSPですが、その内部ハードウェアには、Homebrew開発者によって現在も解析が進められている領域が残されているようです。















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