動画や音楽などを自宅のサーバーで管理・再生できるメディアサーバー「Jellyfin」。そんなJellyfinにROMライブラリの管理やメタデータ取得、ブラウザからのゲームプレイ機能などを追加する第三者製プラグイン『JellyEmu』の最新版、v0.9.0.0が2026年9月5日に公開されました。
『JellyEmu』はJellyfin-PGが開発しているJellyfin 10.11以降向けのプラグインで、ROMやPico-8ゲームをJellyfin上に取り込み、管理やプレイ、ユーザー間での共有などを行えるようにするものです。Jellyfinの公式機能ではありませんが、普段利用しているメディアサーバーを、そのままレトロゲームのライブラリとして活用できるところがユニークなポイントとなっています。
●JellyEmu v0.9.0.0 Release
https://github.com/Jellyfin-PG/JellyEmu/releases/tag/v0.9.0
●JellyEmu GitHubリポジトリ
https://github.com/Jellyfin-PG/JellyEmu
ROMを並べるだけではなくメタデータの取得にも対応
『JellyEmu』では、ROMを単純にファイルとして表示するのではなく、外部データベースを利用してゲームの情報を取得することができます。設定画面にはIGDBやRAWG、SteamGridDBなどのAPIキーを登録する項目が用意されており、ライブラリをスキャンすることでゲームをデータベースと照合し、ボックスアートや説明などを取得できる仕組みです。
ライブラリの作成には少し変わった手順が採用されており、Jellyfinで新しいメディアライブラリを追加するときに、コンテンツタイプとして「Books」を選択します。ここにROMを保存しているフォルダーを指定し、メタデータ取得元としてIGDBやRAWGなどを有効にしてスキャンすることで、ゲームライブラリを構築していきます。
ROMの判別ではファイル名に含まれる機種名、フォルダー名、拡張子の順にチェックする仕組みも用意されています。.isoや.chd、.cueなど複数の機種で使われる形式については拡張子だけでは機種を特定できないため、対応するフォルダーに整理するか、ファイル名に機種を示す情報を加える必要があります。

ファミコンからPlayStationやセガサターン、Amigaまで幅広く認識
対応形式もかなり豊富です。任天堂系ではファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、ゲームボーイカラー、ゲームボーイアドバンス、バーチャルボーイ、ニンテンドーDS、NINTENDO64などを認識します。
セガ系ではメガドライブ、メガCD、ゲームギア、セガサターン、スーパー32X、セガ・マスターシステムに対応。そのほかにもPlayStation、PSP、PCエンジン、PC-FX、3DO、ネオジオポケット、ワンダースワン、Atari各機種、Amiga、C64、MAME/アーケードなど多数の形式が登録されています。
さらにPico-8やDOSなども対象となっており、単一のレトロゲーム機向けランチャーというよりも、さまざまなプラットフォームのゲームデータをJellyfinに集約するためのライブラリ機能に近い作りです。
EmulatorJSを利用してブラウザからゲームをプレイ
『JellyEmu』の特徴は、ライブラリを眺めるだけではなく、EmulatorJSを利用して対応ゲームをWebブラウザから直接プレイできるところです。サーバーに保存しているROMへJellyfinのWebインターフェースからアクセスし、そのままゲームを始められる環境を構築できます。
セーブ関連の機能も用意されているほか、複数ディスクのゲームについては独自の「.j3u」プレイリストを利用する仕組みも搭載されています。ゲーム中にディスクを切り替える際は一時的なスロットへ進行状況を保存し、ディスク変更後にセーブステートを復元することでプレイを継続できるようになっています。
ただし、リポジトリで認識対象として掲載されている機種・ファイル形式が、すべて同じ条件でWebブラウザ上から動作することを意味するわけではありません。実際のプレイ可否については、EmulatorJS側の対応状況なども含めて確認する必要があります。
v0.9.0.0ではセーブスロットや設定画面などを修正
2026年9月5日に公開されたv0.9.0.0のReleaseページでは、アップデート内容をまとめた正式な変更履歴は掲載されておらず、主にインストール方法が案内されています。そのため、今回の具体的な変更内容については、ひとつ前のタグ「v0.8.9.1」と「v0.9.0」の間に行われたコミットから確認することができます。
コミット比較では、ゲーム詳細ページにおけるセーブスロット関連の修正や、新しいメタデータプロバイダーの追加、設定画面の刷新、ゲームキャッシュを削除する機能などが追加されています。このほか、潜在的なnull処理や脆弱性への対処、CodeQLによるコードチェックを受けた修正なども実施されました。
なお、これらはReleaseページに掲載された公式の変更点一覧ではなく、v0.8.9.1からv0.9.0までの18件のコミットを比較して確認できる内容です。今回のReleaseページ自体では「JellyEmu_0.9.0.0.zip」を展開し、中に含まれるふたつのDLLをJellyfinのpluginsフォルダーへコピーする方法などが案内されています。

導入には追加プラグインが必要
『JellyEmu』を利用するときに注意しておきたいのが、単体ですべての機能が完結するわけではないことです。JellyfinのWebインターフェースへCSSやJavaScriptを注入するため、「File Transformation」プラグインも必要になります。
現在のリポジトリでは、Jellyfin-PGのプラグインカタログをJellyfinへ登録し、まずFile Transformation、その後にJellyEmuをインストールしてサーバーを再起動する手順が案内されています。メタデータサービスの一部を利用する場合にはIGDBなどのAPIキーも別途用意する必要があります。
また、外部からJellyfinへアクセスできる環境を構築する場合にはセキュリティにも注意が必要です。開発元も公開アクセスではHTTPSの利用を強く推奨しており、NINTENDO64やPSPのような負荷の高い3Dシステムでマルチスレッドを利用する場合にもHTTPSが必要と説明しています。
『JellyEmu』は現時点ではv0.9系であり、まだ1.0の正式版には到達していません。導入時にはJellyfin本体や関連プラグインとのバージョン条件を確認したうえで利用したほうがよさそうです。
もちろん『JellyEmu』自体にゲームのROMデータが付属しているわけではありません。利用する場合は、自身が利用する権利を持つゲームから適切な方法で用意したデータなどを使用する必要があります。
動画や音楽の管理でおなじみのJellyfinに、レトロゲームのライブラリ管理とブラウザプレイまでまとめられるというのは、なかなか面白い組み合わせです。NASや自宅サーバーに大量のゲームデータを整理している人にとっては、試してみたくなるプラグインといえそうですね。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









ゲームコンソール2.0