SplashDev88氏は2026年8月31日、MiSTer FPGA向けニンテンドーDSコア「NDS4MiSTer」の新たなPublic Beta「v0.3.0-beta.5 — Faster 3D and Touch Preview」を公開しました。GitHubではPre-releaseとして公開されており、無償でダウンロードすることができます。
●NDS4MiSTer v0.3.0-beta.5 — Faster 3D and Touch Preview
GitHub Releaseページ
●NDS4MiSTer GitHubリポジトリ
NDS4MiSTer
当サイトでは8月28日に「v0.1.0-beta.1」をご紹介しましたが、そこからわずか数日で大きく手が加えられています。
今回のポイントは、ARM/HPS側で行われている3D描画処理の高速化と、右アナログスティックやマウスを利用したタッチスクリーン操作のプレビュー機能が追加されたことです。前回はまだ未実装だったタッチ座標入力が、制限付きながら実際に試せる段階まで進んだことになります。
3D描画のデータ受け渡しを高速化
NDS4MiSTerでは、ニンテンドーDSのCPUやタイミング処理、カートリッジ、2D描画、サウンドなどをFPGA側で処理する一方、現在の3DレンダリングについてはDE10-Nanoに搭載されたARM/HPS側を利用するハイブリッド方式が採用されています。
今回のv0.3.0-beta.5では、この3D処理のパイプラインが高速化されました。大きな変更点として、ARM側で処理を終えた3Dプレーンを直接公開する方式へ変更。これにより、それまで必要だった追加の全画面コピーを1回省いています。
さらに、4バンドに分割したラスタースケジューリングのほか、GXリプレイや頂点、テクスチャ、深度、不透明ポリゴン、シャドウなど、3D描画に関わる主要な処理経路にも最適化が施されています。
開発者によれば、実機でのプレイテストでも速度の大幅な改善が確認されており、特に『New Super Mario Bros.』の最終城で効果が大きかったとのことです。ただし、パフォーマンスはゲームや場面によって異なるとしています。
『New Super Mario Bros.』では約60回毎秒の3Dデータ公開を確認
リリースノートでは、『New Super Mario Bros.』を使用した25秒間の測定結果も公開されています。
このテストでは、DS側のゲームストリームが60.52フレーム毎秒、ARM側から完成した3Dデータを公開した回数が60.48回毎秒を記録しました。また、キューの増加は2パケットにとどまり、測定終了時の応答遅延はゼロ、FPGA/HPS側のフォールトカウンターもゼロだったとされています。
ただし、ここで注意しておきたいのが、この数字をそのまま「3D画面が60 FPSで動作した」と考えることはできない点です。
同じ3Dプレーンが再度公開されるケースも含まれているため、実際に画面内容が異なる3D変化を調べたところ、この場面では約34回毎秒だったとのこと。
現在用意されているFPS表示も、画面上で異なる3D映像に切り替わった回数ではなく、完成したプレーンを公開した回数をカウントしています。そのため、オーバーレイ上では60 FPSと表示されていても、実際の3Dアニメーションが同じ速度で更新されているとは限りません。
今回の更新で3D処理が高速化されたことは確かですが、まだ「すべてのニンテンドーDSソフトが60 FPSで動く」という段階ではないということです。
右アナログスティックやマウスでタッチ操作が可能に
もうひとつ大きな進展が、タッチスクリーン入力への対応です。ゲームパッドを使用する場合は、右アナログスティックを動かしてタッチ位置を指定し、割り当て可能な「Touch」アクションを押している間、画面をタッチした状態にすることができます。
MiSTerに接続したマウスも利用可能で、マウスを動かして位置を指定し、左ボタンを押すことでタッチ入力を行います。
画面にはポインターも表示され、通常は白、タッチしている間は赤に変化します。ゲームパッドとマウスの両方が接続されている場合は、最後に動かした入力機器がポインターの操作権を持つ仕組みです。
8月28日に紹介したv0.1.0-beta.1では、タッチスクリーンの座標入力自体が未実装でした。そこから今回、初期的なものとはいえ実際に操作できるフレームワークが組み込まれたことになります。
ただしEngine Bはまだ表示されず
もっとも、現時点ではタッチ操作にも大きな制約があります。ニンテンドーDSのEngine Bはまだ有効になっておらず、画面上のふたつの表示位置には、現在もどちらもEngine Aの映像が表示されます。
そのため、実際のタッチスクリーン側に表示されているグラフィックを見ながら正確に場所を指定するようなゲームでは、まだ実用的な操作が難しい場合があります。開発者自身も今回の機能を初期的なタッチスクリーンフレームワークとして位置付けています。
インストール方法も更新
v0.3.0-beta.5を利用する場合は、GitHubで配布されている
NDS4MiSTer_Public_Beta_v0.3.0-beta.5_20260831.zip
をMiSTer用SDカードのルート「/media/fat」へ展開します。
MiSTerを起動したあと「Scripts」メニューから「NDS_Kickstart.sh」を実行し、「Console」メニューから「NDS_20260831」を起動。「Load NDS」からユーザー自身が正当に取得した「.nds」イメージを選択するという流れです。
MiSTerを再起動した場合は、その都度「NDS_Kickstart.sh」を実行する必要があります。配布物にはゲームや商用ROM、BIOS/ファームウェア、個人のセーブデータ、鍵や認証情報などは含まれていません。
まだ重い3Dや未実装機能も多数
今回のアップデートで前進したNDS4MiSTerですが、Public Betaという位置付けに変わりはありません。負荷の高い、あるいは未対応の3Dシーンでは、処理速度の低下やぎくつき、画面が消える現象、処理の遅れ、クラッシュなどが発生する可能性があります。
また、カートリッジアクセスの遅延によって一部のオブジェクトやエフェクトが遅れて表示されたり、正常に表示されなかったりする場合もあります。『Chrono Trigger』には別の起動失敗が残されているほか、NANDセーブ、セーブステート、Wi-Fi、マイクなども現時点では未実装です。
カートリッジセーブについてはEEPROM/FRAM/Flashに引き続き対応していますが、古い実験版でサイズの間違ったセーブデータや破損したセーブデータが作成されていた場合、v0.3.0-beta.5側で修復することはできません。
アップデート後にゲームからセーブデータの破損を指摘された場合は、既存の「.sav」をバックアップしたうえで移動または削除し、新しいセーブデータを作成するよう案内されています。わずか数日前のv0.1.0-beta.1では、ARM/HPSを利用した3D描画がPublic Betaへ搭載されたこと自体が大きなポイントでした。
今回はそこからさらに一歩進み、3Dパイプラインそのものの高速化に加えて、前回まだ未実装だったタッチ操作も試せるようになりました。Engine Bや重い3D処理など解決すべき課題はまだ多く残されていますが、ニンテンドーDSをMiSTer FPGA上で再現する試みが、かなり速いペースで更新されていることがうかがえます。
NDS4MiSTerはGPLv3で公開されている実験的な非公式プロジェクトであり、任天堂やMiSTer公式によるニンテンドーDS製品ではありません。















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