SplashDev88氏は2026年8月27日(日本時間8月28日)、MiSTer FPGA向けニンテンドーDSコア「NDS4MiSTer」のPublic Beta「v0.1.0-beta.1」を公開しました。
●NDS4MiSTer GitHubリポジトリ
https://github.com/SplashDev88/NDS4MiSTer
●NDS4MiSTer Public Beta v0.1.0-beta.1
https://github.com/SplashDev88/NDS4MiSTer/releases/tag/v0.1.0-beta.1
『レトロゲームで遊ぼう!』では8月11日にも、MiSTer FPGA向けニンテンドーDSコア「Nitro_DarkSide」のアルファ版をご紹介しました。このとき動作していたのはFPGAによる2D描画とサウンドが中心で、ゲーム内画面には到達するものの、普通に遊べる段階ではありませんでした。
また、ニンテンドーDSの3D描画については、DE10-Nanoに搭載されたARM側で処理するハイブリッド方式が今後の計画として示されていました。
そこから約2週間。今回公開されたNDS4MiSTerでは、このARMを利用した3D描画が実際に組み込まれ、導入用のパッケージやカートリッジセーブ機能も用意されています。
まだ完成版と呼べる状態ではありませんが、ニンテンドーDSコアの開発が「ゲーム画面を表示する実験段階」から「実際にユーザーが導入して試せるPublic Beta」へと大きく進んだ形です。
FPGAとARMを組み合わせて3D描画に対応
NDS4MiSTerで大きく変わったのが、ニンテンドーDSの3D描画です。現在の構成では、CPUやタイミング処理、カートリッジ、2D描画、サウンド、セーブ、MiSTer側の映像・操作系などをFPGA側で処理。その一方で、3DレンダリングについてはDE10-NanoのARM/HPS側に用意されたサービスが担当し、処理した3DデータをFPGA側へ受け渡すハイブリッド構成が採用されています。
8月11日に紹介したNitro_DarkSideでは、ARMを利用した3D描画はまだ将来計画に過ぎませんでした。今回はそれが実際の配布物に含まれたことが、大きな違いといえるでしょう。
なお、NDS4MiSTerはNitro_DarkSideと同じバージョンが更新されたものではなく、SplashDev88氏が別のリポジトリで公開しているプロジェクトです。
開発にはMiSTerのほか、Nitro_DarkSideやニンテンドーDSエミュレーターのmelonDS、FPGAzumSpassことRobert Peip氏によるGBA向けARM7 CPU実装などが利用されており、それぞれがクレジットされています。
ZIPを展開して手持ちの「.nds」ファイルを選択
今回のPublic Betaでは、実際にMiSTerへ導入できるZIPパッケージも配布されています。基本的な導入手順は、ZIPの内容をMiSTer用SDカードのルートへ展開し、MiSTerを起動したあと「Scripts」から「NDS Kickstart」を実行。その後、「NDS_20260827B」コアを起動し、メニューの「Load NDS」からユーザー自身が用意した「.nds」ファイルを選択するという流れです。
MiSTerを再起動した場合は、その都度NDS Kickstartを実行する必要があります。配布物にはゲームROMは含まれていません。また、リポジトリにも商用ROMやBIOSバイナリなどは収録されていないため、必要なデータはユーザー自身が正規に所有している環境から用意する必要があります。
画面表示については4種類のレイアウトが選べるほか、上下画面の表示順や画面間の隙間なども変更可能。描画されたフレームを基準にしたFPSカウンターを表示する機能も用意されています。
EEPROMやFlashのカートリッジセーブにも対応
もうひとつ大きな進展が、ゲーム内のセーブデータを永続的に保存できるようになったことです。NDS4MiSTerでは、512バイトから128KiBまでのEEPROMと、256KiB、512KiB、1MiBのFlashを利用したカートリッジセーブに対応しています。
セーブデータはMiSTer SDカード内の
/media/fat/saves/NDS
に保存され、ROMを読み込み直した場合でも保持されます。これはエミュレーターなどで利用される「セーブステート」とは異なり、ゲーム本来のセーブ機能で使われるカートリッジ側の保存領域を再現したものです。
なお、セーブデバイスの判別には、同リポジトリに含まれているmelonDSのROMデータベースをベースにしたプロファイルが利用されています。
『New Super Mario Bros.』などで開発者がテスト
今回のReleaseでは、とくに『New Super Mario Bros.』をプレイ可能なパフォーマンスへ持っていくことと、カートリッジセーブへの対応がPublic Betaの中心として挙げられています。
また、開発者による実機テスト例として、『New Super Mario Bros.』のほか、『Advance Wars: Days of Ruin』『Final Fantasy IV』『Shin Megami Tensei: Strange Journey』『Mr. Driller: Drill Spirits』なども報告されています。
ただし、これらは開発者側によるテスト結果です。幅広いニンテンドーDSソフトの互換性が第三者によって確認されたという意味ではありません。
重い3Dやタッチ操作など、まだ課題も多い
Public Betaになったとはいえ、現時点のNDS4MiSTerにはまだ多くの制限が残っています。まず、ニンテンドーDSに搭載されている2DエンジンのうちEngine Bは現在無効になっており、ふたつの表示位置にはどちらもEngine Aの映像が表示される状態です。
また、負荷の高い3Dシーンでは処理が遅れたり、動作速度が落ちたり、クラッシュしたりする可能性があります。
カートリッジアクセスの遅延によってオブジェクトやエフェクトの表示が遅れる、あるいは正常に表示されない場合があるほか、現在はリセット機能を使用するとハングする問題もあります。再起動する場合はROMを選び直すのが回避策となっています。
『Chrono Trigger』については、これらとは別の起動失敗が確認されており、現在調査中とのこと。さらに、タッチスクリーンの座標入力、NANDセーブ、セーブステート、Wi-Fi、マイクなども未実装です。
そのため、現段階で「MiSTer FPGAでニンテンドーDSを完全に再現できるようになった」と考えるのはまだ早そうです。
ソースコードもGPL-3.0で公開
NDS4MiSTerのソースコードはGPL-3.0ライセンスでGitHubに公開されています。8月11日にNitro_DarkSideのアルファ版を紹介した時点では、配布されていたのはコンパイル済みのRBFが中心で、ソースコードを確認できない状態でした。
今回はFPGA側の実装だけではなく、ARM/HPS側で動作する3DサービスやmelonDSとの統合部分、カートリッジセーブ関連の実装などもリポジトリで確認できるようになっています。
まだ重い3D処理や入力、互換性など解決すべき課題は多いものの、「2Dゲームの画面が表示できた」という約2週間前の段階から、3D描画を含め実際にユーザーが導入して試せるPublic Betaまで進んだのは大きな節目です。
今後は3D描画の高速化やEngine B、タッチ操作などがどこまで実装されていくのか、引き続きチェックしていきたいところです。
















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