未発売ドリームキャスト版『Ring: The Legend of the Nibelungen』全3枚がついに揃う!5年越しでプロトタイプ全体が利用可能に

未発売ドリームキャスト版『Ring: The Legend of the Nibelungen』全3枚がついに揃う!5年越しでプロトタイプ全体が利用可能に

1990年代末に開発されながら発売されることがなかった、ドリームキャスト版『Ring: The Legend of the Nibelungen』。その保存活動を続けてきたLoloretroが2026年8月26日、Dreamcast-Talkで「長年の調査を経て、ついに全体が利用可能になった」と告知しました。

●Dreamcast-Talk — Laurent C dreamcast collection
https://www.dreamcast-talk.com/forum/viewtopic.php?t=13906

今回新たにDisc 3が発見されたというわけではありません。Disc 3そのものが見つかったのは2025年で、今回のポイントは2020年から5年かけて一枚ずつ集められてきた3枚のプロトタイプがすべて揃い、作品全体を調査できる状態になったことです。

Disc 2から始まった5年間の捜索

『Ring: The Legend of the Nibelungen』は、Arxel Tribeが開発したポイント&クリック型アドベンチャーゲームです。PC版は1998年に発売されましたが、Cryo Interactiveから発売される予定だったドリームキャスト版は未発売に終わっています。

そのドリームキャスト版のプロトタイプが最初に表舞台へ姿を現したのは2020年。当時発見されていたのは3枚組のうちDisc 2だけで、Dreamcast-Talkでも「残念ながら利用できるのはDisc 2のみ」と報告されていました。

翌2021年にはDisc 1も発見。12月16日にLoloretroが公開を報告しましたが、この時点でも「完全なゲーム体験のためにはDisc 3がまだ足りない」と明記されており、最後の一枚は依然として行方不明でした。

そして2025年、ついにDisc 3を回収。保存プロジェクトのページでは、Disc 2が2020年、Disc 1が2021年、Disc 3が2025年という5年間にわたる発掘の経緯がまとめられています。現在は1999年9月9日ビルドのDisc 1~3をまとめたアーカイブが案内されています。

つまり今回のニュースは「Disc 3が発見された」というものではなく、長期間にわたって断片的に保存されてきた未発売作品について、全3枚をひとまとまりとして確認できる状態になったことが改めて告知された、というものになります。

物語の途中でDisc 1→2→1→3→3→1と交換

回収された3枚は、いずれも1999年9月9日に作成されたビルドです。保存プロジェクトによれば、Disc 1は13時08分05秒、Disc 2は9時39分04秒、Disc 3は21時01分56秒に作成されたことが確認されています。

面白いのが、そのディスク構成です。ゲームをDisc 1から始めてDisc 2、Disc 3へと順番に進めていくわけではなく、物語はDisc 1→Disc 2→Disc 1→Disc 3→Disc 3→Disc 1という順番で進行します。

具体的には、オープニングがDisc 1、アルベリヒ編がDisc 2、ローゲ編で再びDisc 1、ジークムント編とブリュンヒルデ編がDisc 3、そして最終章では再びDisc 1に戻る構成です。3枚組というだけでもドリームキャスト作品としては珍しいですが、ストーリーの進行に合わせてディスクを行き来するという、かなり変則的な作りになっています。

なお、2021年には1999年9月7日版のDisc 1も別に回収されています。保存プロジェクトによる比較では、9月9日版との違いはファイルの日付やタイムスタンプなどが中心で、内容に大きな違いは確認されていないとのことです。

Windows CEで開発された未完成のプロトタイプ

今回揃ったものは、あくまでも発売前の開発途中バージョンです。

ドリームキャスト版はWindows CEを利用して開発されており、保存プロジェクト側では動作状況などから開発段階を「おそらくAlpha」と評価しています。ゲーム中には処理落ちやフリーズ、クラッシュなどが残されているほか、起動時にコントローラーを正常に認識しない場合があり、実機とエミュレーターのどちらでも一度抜き差しする必要があると説明されています。

さらに、所持しているアイテムが突然消えてしまい、その先へ進めなくなるケースもあります。保存プロジェクトでは具体例として、アルベリヒ編で入手したダイビングマスクがインベントリから消失し、進行不能になる問題を紹介しています。

セーブ機能にも大きな問題があります。VMUには30ブロックを使用するセーブファイル自体が作成されるものの、その後ロードメニューから読み込むことができず、新しいセーブで上書きすることもできないとされています。

そのため、今回「全3枚が揃った」といっても、完成したゲームを最初から最後まで問題なく遊べるようになった、という意味ではありません

各章を調査するためのVMUセーブデータも用意

こうした未完成版特有の問題を補うため、Siziousによって各章へ直接移動できるVMU用セーブデータも用意されています。

セーブデータを利用することで、アルベリヒ編、ローゲ編、ジークムント編、ブリュンヒルデ編などから直接開始できるほか、エンディングへ移動するデータも用意されています。

ただし、このセーブデータを使用した場合でも各章を最後まで正常にクリアできることが保証されているわけではありません。保存ページでも、多数のバグや最適化不足によって通常の方法では最後まで進めない場合があることが説明されています。

つまり、今回公開されているものは完成版を遊ぶためのものというよりも、発売されなかったドリームキャスト作品がどのような状態まで開発されていたのかを確認・研究するための資料として見るのが適切でしょう。

2020年にDisc 2だけが見つかり、2021年にDisc 1、そして2025年に最後のDisc 3へ到達。5年間にわたって一枚ずつ失われたディスクを探し出したことで、1999年に開発されていた未発売作品の全体像を、四半世紀以上経った現在になって確認できるようになりました。

なお、今回のプロトタイプ公開はSEGAなどによる公式の復刻・再発売ではありません。プロトタイプそのものの配布に関する権利関係も明示的には確認できないため、興味がある人はまず保存活動の経緯や技術情報がまとめられたプロジェクトページをチェックしてみてください。

via.SEGA Dreamcast Info

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