MiSTer FPGA向けに開発が進められているTaito F3アーケード基板コアで、新たに『Elevator Action Returns(エレベーターアクション リターンズ)』が実際に起動・プレイできる段階まで進んだことがわかりました。
開発を行っているspacestate1氏は、2026年8月29日にGitHubで「Elevator Action Returns runs」と題したコミットを公開。これまで起動できなかった同作が、ゲームをプレイできるところまで進展しています。
●Taito F3 System for MiSTer
https://github.com/spacestate1/Arcade-rayforce_MiSTer
●「Elevator Action Returns runs」コミット
https://github.com/spacestate1/Arcade-rayforce_MiSTer/commit/977313e449ae1d20e7f427c5c10636cbfd9841fc
『RayForce』用からTaito F3汎用コアへ発展中
今回開発が進められているのは、GitHubで公開されている「Arcade-rayforce_MiSTer」です。
もともとはタイトーのアーケードゲーム『Ray Force』をMiSTer FPGA上で再現するために開発されてきたものですが、現在のリポジトリでは「Taito F3 System for MiSTer」と説明されており、特定のゲームだけではなくTaito F3基板そのものを再現する方向へと開発が進められています。
READMEによると、Taito F3のライブラリには35種類のゲーム、100のROMセットが存在しています。その中で『Ray Force』に続く2本目のゲームとして実際に動き始めたのが、今回の『Elevator Action Returns』です。
同作は1994年にタイトーからリリースされたアーケードゲームで、日本では後にセガサターンにも移植されています。今回再現されているのはセガサターン版ではなく、オリジナルのTaito F3アーケード基板版です。
起動だけではなくゲームプレイやサウンドまで動作
『Elevator Action Returns』の開発状況は、これまで約40パーセントとされていました。ROMの読み込みなどは行えていたものの、電源投入時のセルフテストで停止してしまい、画面も表示されない状態でした。
しかし今回の更新によって進捗表示は約65パーセントへ上昇。開発者によると、現在は以下の処理まで動作しています。
- ゲームの起動
- 実際のゲームプレイ
- スプライトの描画
- プレイフィールドの描画
- サウンドCPUからES5505へのストリーミング
- 1フレームにつき1回のvblank割り込み
つまり、単にタイトル画面まで表示できたという段階ではなく、ゲームとして実際に操作しながら動かせるところまで進んだことになります。
MAMEとの比較では81~91パーセントが一致するフレームも
映像についてはMAMEを基準にしたフレーム単位での比較も行われています。公開されている5フレームの検証結果では、フレーム600が91パーセント、フレーム900が88パーセント、フレーム1800が81パーセントのピクセル一致率となっています。
一方で、フレーム1200と2400についてはほとんど一致しておらず、大きく描画が異なる結果になっています。そのため開発者も「Not accurate yet」と明記しており、現時点の数字だけを見て完成に近い状態と判断できるものではありません。
『RayForce』では表面化しなかったwatchdogとpivot RAMが障害に
今回『Elevator Action Returns』を動作させるうえで、大きな障害になっていたのがpivot RAMとwatchdogの処理です。
『Ray Force』ではpivot RAMにデータを書き込んでも、その内容を読み戻す必要がありませんでした。そのため、これまでは読み出し時にゼロを返す簡易的な実装でも問題なく動作していました。
ところが『Elevator Action Returns』では、起動時のセルフテストでRAMへデータを書き込み、それを読み戻して確認します。そのため実際にデータを保持できるpivot RAMの実装が必要になりました。
もうひとつがwatchdogです。『Elevator Action Returns』は起動処理の途中で意図的に処理を停止し、TC0640FIOのwatchdogによる基板のリセットを待つ仕組みになっています。しかし、それまでのコアではこの処理が実装されていなかったため、その場所で永久に停止していました。
『Ray Force』ではどちらの処理にも依存していなかったことから、これまで問題として表面化していなかったというわけです。こうしたゲーム固有の違いに対応していくことは、『Ray Force』専用コアから、より汎用的なTaito F3コアへ発展させていくうえでも重要な進展といえそうです。
現時点では一般向けRBFには未収録
注意したいのは、今回の『Elevator Action Returns』対応が、まだ一般向けに正式リリースされたわけではないという点です。現在リポジトリで公開されているRBFは「Rayforce_20260828.rbf」で、今回の「Elevator Action Returns runs」コミットよりも前のソースから作られたものです。
READMEでも、このRBFより後の変更についてはbitstreamへコンパイルされていないことが説明されています。また、『Elevator Action Returns』関連のファイルも現在は「releases/experimental」に置かれており、開発者自身が精度不足であることを明記しています。
そのため、現時点ではMiSTer Downloaderなどを更新するだけで『Elevator Action Returns』が遊べるようになった、という状況ではありません。とはいえ、起動すらできなかった状態から、実際のゲームプレイや映像、サウンドまで動作するところまで進んだのは大きな変化です。
今後さらにTaito F3固有の機能が実装されていけば、『Ray Force』以外のタイトルへ対応が広がっていく可能性もあり、引き続き開発状況をチェックしていきたいところです。















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