セガの名作ドライブゲーム『OutRun』を、スーパー32X向けに再現しようというプロジェクトの新たな開発映像が、2026年8月11日に公開されました。
●Cannonball for Sega 32X
https://haroldo-ok.itch.io/cannonball-32x
●GitHub
https://github.com/haroldo-ok/cannonball-outrun-32x
公開された映像では、『OutRun』を思わせる疑似3Dの道路や分岐ルート、アトラクトモード、音楽選択画面などを確認できます。映像の説明によると、現時点の完成度は約30~40パーセント。実際に遊べる初期バージョンも公開されていますが、まだ本格的なゲームとして完成した段階ではありません。
32Xには存在しなかった『OutRun』を再現
スーパー32Xは、メガドライブに接続して使用する周辺機器として1994年に発売されました。『スペースハリアー』や『アフターバーナー・コンプリート』といったセガの体感ゲームが移植された一方で、同じく代表的な作品である『OutRun』の32X版は発売されていません。
今回開発されている「Cannonball for Sega 32X」は、もし32Xに『OutRun』が移植されていたら、どのようなものになっていたのかを想像させるプロジェクトです。ただし、厳密にはアーケード版『OutRun』や、後述する「Cannonball」のプログラムを直接32Xへ移植したものではありません。
作者のharoldo-ok氏によると、すべてのプログラムを新たに書き起こした『OutRun』風レーシングエンジンで、グラフィックや音声素材もツールを利用して独自に生成されています。セガのROMデータや「Cannonball」のコードは含まれていません。
『OutRun』再実装プロジェクト「Cannonball」を参考に開発
本プロジェクトがゲームプレイ面の参考にしている「Cannonball」は、アーケード版『OutRun』の68000およびZ80向けアセンブリコードをC++で再実装したゲームエンジンです。現代のPCなどで『OutRun』を動かせるほか、ワイド画面や高フレームレートなど、オリジナルにはなかった拡張機能も追加されています。
一方、32X側のシステム構成については、同ハード向けに『DOOM』を再構築した「Doom 32X Resurrection」が参考にされています。つまり「Cannonball for Sega 32X」は、CannonballのゲームシステムとDoom 32X Resurrectionのハードウェア活用方法を参考にしながら、32X向けのレーシングエンジンをゼロから作り上げる試みというわけです。
15ステージと分岐ルートを実装
現時点では、5段階の階層で構成された15の仮ステージが用意されています。『OutRun』と同じように、各チェックポイント付近で道路が左右に分岐。プレイヤーがチェックポイントを通過した位置によって、次に進むステージが決まります。
分岐地点ではふたつの道路が実際に左右へ広がり、その中央には草地が描画されます。画面には「FORK AHEAD」という警告が点滅し、左右の行き先を示す標識も表示される仕組みです。進行先が決まると、画面が不自然に切り替わることなくカメラが選択した道路へ移動し、次のステージ名が表示されます。
各ステージには、それぞれ異なる道路や地面の色、空のグラデーション、背景オブジェクトなどが設定されています。ヤシの木、松、サボテン、岩といった背景素材も用意されており、海岸、砂漠、森林、山岳地帯、都市などをイメージしたコースが登場します。
もっとも、これらは現在のところプロジェクト独自の仮ステージと仮素材です。アーケード版『OutRun』のコースやグラフィックをそのまま再現しているわけではありません。
メガドライブと32Xで処理を分担
スーパー32Xは、内部に2基の32bit RISC CPU「SH-2」を搭載していますが、接続先であるメガドライブ側の68000も同時に利用できます。
本プロジェクトでは、メガドライブ側がカートリッジの起動処理やコントローラー入力を担当。32X側では、道路やスプライト、HUD、フレームバッファーなどの描画処理を行う構成になっています。
レーシングエンジンには16.16形式の固定小数点演算を採用。SH-2には浮動小数点演算装置が搭載されていないため、描画中に負荷の高い除算を繰り返さないよう、あらかじめ計算したテーブルや乗算、ビットシフトを活用して最適化されています。
完成したROMイメージは512KiBで、MAMEを利用した起動テストやコントローラー入力テストも用意されています。
初期バージョンはダウンロード可能
「Cannonball for Sega 32X」の初期バージョン0.0.1は、2026年7月29日にitch.ioで公開されました。STARTボタンでゲームを開始し、AまたはCボタンでアクセル、Bボタンでブレーキ、方向ボタンの左右でステアリング操作を行います。
なお、今回の新着情報はプロジェクト自体の初公開ではなく、8月11日に新たな開発映像が公開され、海外の32Xファンの間で改めて注目を集めたものです。現状は動作速度やグラフィック、音声など、まだ改善が必要な初期開発段階です。完成時期も発表されていないため、「32X版『OutRun』がまもなく完成する」とまではいえません。
また、itch.ioでは本プロジェクトについて、AIをコード開発に利用した「AI Assisted」の表記が付けられています。それでも、発売から30年以上が経過したスーパー32X向けに、本来存在しなかった『OutRun』風のレーシングゲームを作ろうという試みは非常に興味深いものです。
32Xには『スペースハリアー』や『アフターバーナー』の良質な移植が存在しているだけに、この自作エンジンがどこまでアーケード版『OutRun』の雰囲気に近づけるのか、今後の進展にも注目したいところです。















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