【90年代PCゲーム男】内政を重視したリアルタイムシミュレーション『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』

アートディンクより、1999年8月27日に発売された『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』は、bluebyteの人気シリーズの最新作を完全日本語化したリアルタイムシミュレーションだ。

プレイヤーは、ローマ、エジプト、アジアの3種族の中からひとつを選択してプレイを開始。内政を行いながら、最終的に敵の領土を奪い制覇することが目的である。というと、なんだかよくあるリアルタイムストラテージだと思うだろう。ところが、このゲームの最大の魅力は戦闘よりも内政を重視しているというところなのである。

流通を征する者が勝利を手にする!

プレイヤーはまず、自分の手足となって働く「セトラー」に指示を出し、建物を建設したり、土地の調査、スパイの派遣などを行っていく。その後、国力を蓄え部隊を編成していくわけだが、そこまでの道のりがなかなか大変なのである。そのキモとなるのが、物の流通だ。

たとえば、建物を建てるには木と石が必要となる。この建設に使用する木は、きこりが木を切ってきて、それを製材所が加工したものを使わなければならない。当然ながら、きこり小屋と製材所も作っていくのだ。

また、木を切り尽くしてしまうと、新たな資源が入らなくなってしまう。それを防ぐために、木を植えてくれる植樹小屋を建てて木を植えていくというように、すべての物に関して世の中の循環構造に似た流通が絡んでくるのである。

当然ながら、兵士を徴兵するときにも関係してくるため、ゲーム序盤はとにかくこの内政をうまく軌道に乗せることに没頭させられるのだ。

戦闘はとっても単純!? 兵士を揃えて領土を拡げよう

基本的に、建物は自分の領土内でしか建設することができない。内政を行うにも、建物を建てる場所や資源が採れるところは限られているのだ。そこで重要なのが、自分の支配している領土の拡大である。自分の領土の境界線は、赤い点線で描かれている。この内側に、見張り塔を建てて、中に兵士を入れておくだけで領土を広げることができるのである。
この場合、すでに敵に領土を取られているときは、それ以上広がることはない。部隊を編成し、敵の見張り塔を占拠することにより領土を奪えるのである(※1)。敵地での戦いは非常に不利に出来ており、ある程度部隊が揃っていないと返り討ちにあってしまう。十分な兵力が揃ったら、どんどん侵攻しすべてを制圧しよう。

初心者にもやさしいチュートリアルとヘルプ機能

このゲームを初めて遊ぶ人のために、チュートリアルモードが用意されている。基本的なゲームの流れを、1ステッずつ解説してくれるのだ。ちなみに、付属のマニュアルはかなりシンプルな構成である。

これを読んだだけでは、建物の関係などが今ひとつ掴みにくい。というのも、実はこのゲームの詳しい解説はオンラインヘルプの形で提供されているのである。ゲームを起動すると、マニュアルという項目が表示される。ここを押すことにより、WEB形式のマニュアル
が立ち上がるのだ。

ユニットや画面の仕組み、経済や軍事の流れなどはもちろんのこと、かなりためのなるストラテージも掲載されている。このゲームをプレーするときには、必ず1度は目を通してほしい出来映えである。

『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』
▲画面もなんだか放牧的だが、風の音が絶えず聞こえるなど、サウンドもなかなかゆったりした気分にさせてくれる。
『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』
▲キャンペーンでは3つの種族ごとにシナリオを選択することができる。それぞれローマ、アジア、エジプトの順に難易度が上がっていく。
『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』
▲セトラーの作業範囲を選択してやることにより、資源が無くなっても仕事が滞らないようにする。この虹色の点線の範囲内が作業の範囲だ。
『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』
▲敵の領土は青、自分の領土は赤い点線で示されている。敵の見張り台を占拠し、どんどん領土を奪っていこう。
『ザ・セトラーズIII 民族最終決戦』
▲かなり親切なチュートリアルモード。建物を建てる場所なども指示してくれる。このゲームでは流通がメインと書いたが、関連しあう施設が離れすぎると効率が悪くなることがある。ただ建物を建てればいいというわけではないのだ。

※1
敵の見張り塔を占拠することにより領土を奪えるのである
奪う場所によっては、一度に広範囲の土地を手に入れることもある。その場合敵の建物は壊れ、資材や物資などはすべて自分のものになる。占拠する場所によっては、かなり得することもあるだろう。

(高島おしゃむ)

ゲーム概要

タイトル:ザ・セトラーズIII 民族最終決戦
メーカー:アートディンク
対応ハード:Windows 95/98/NT
ジャンル:シミュレーション
発売日:1999年8月27日
価格:8800円(税別)

必要環境
CPU:Pentium 100MHz以上
メモリ:32MB以上
HD空き容量:250MB以上
CD:4倍速以上
ディスプレイ解像度:640×480 256色(DirextX5.0に対応したグラフィックカード(V-RAM 2MB以上))
サウンド:DirectX5.0に対応したサウンドカード

©1993-1998 Blue Byte Software. All rights reserved. Licensed by ARTDINK 1999.

こちらは、ゲームが発売された当時に書いた記事に一部加筆・訂正を加えたものです。データ等は当時のままになっています。
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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。