【90年代PCゲーム男】正義をくじき悪を助けるダンジョン経営シミュレーション『ダンジョンキーパー2』

【90年代PCゲーム男】正義をくじき悪を助けるダンジョン経営シミュレーション『ダンジョンキーパー2』

本作が発売された当時、犯罪や殺人などの“バイオレンス”をテーマにしたゲームが増えていた。こうした作品は、ゲーム自体は楽しいものの倫理的な罪悪感を感じてしまう部分もある。今回ここで取り上げる『ダンジョンキーパー2』も、“悪”をテーマにした作品であるが、そうした罪悪感はあまり感じることはない。

本作がテーマにしている“悪”は、テレビや映画で描かれているような、正義を守るヒーローに対してのものだ。プレイヤーに立ち向かってくるのは、背筋の寒くなるような臭い台詞をはく正義の味方たちである。このゲームの世界では、なんの後ろめたさも感じることなく思う存分悪になりきって、ヤツらを懲らしめることができるのだ。

ちなみに、本作は大ヒットした『ダンジョンキーパー』の続編にあたる作品だ。1作目を開発したのは、天才ゲームデザイナーのピーター・モリニュー率いるブルフロッグである。

ダンジョンの設計と運営に加えてアクションまで楽しめるオトクなゲーム

ゲームの目的は、地下世界に自らのダンジョンを築いていき悪に刃向かってくる正義の勇者などを抹殺していくことだ。

そのために、プレイヤーはまずはダンジョンの設計からゲームを進めていくことになる。自分の手足となり戦ってくれる手下のクリーチャーが、快適に過ごせるようにダンジョンを掘り進め寝室や食料室を設置。金鉱を採掘してゴールドを貯めたり、敵の侵入を防ぐための罠などを作っていくのだ。クリーチャーは様々な種類が存在しており、プレーヤーが設置した部屋(※1)に惹かれてダンジョンにやってくる。

▲初心者にでもすぐにゲームになじめるように、ステージ序盤ではダンジョンの作り方を説明してくれる。徐々に高度なテクニックを覚えられるというわけだ。
▲プレーヤーが設置した部屋に引きつけられて、ゲートからクリーチャーがやってくる。

彼らはとてもわがままで、機嫌が悪くなると勝手に帰っていってしまう。クリーチャー同士で相性が悪いものもおり、寝室などを別々に作ってやらねばならない。ダンジョンには掘れないところもあり、限られた空間でいかにスマートなダンジョンを構成していくかといった、パズル的な要素も含まれているのだ。

また、部屋を設置したり、クリーチャーを訓練させるたびにいくらかのお金が掛かってしまう。おまけに、彼らはただでは働いてくれず、賃金を支払う必要がある。もし、支払日に払うお金がないと、彼らは腹を立てて帰っていってしまうだろう。プレーヤーには、ダンジョンをうまく切り盛りしていくための、経営者としての資質も問われるというわけである。

戦闘は、斜めから見下ろしたクォータービューでクリーチャーが戦っているところが見られる。このときもプレーヤーの指示が必要で、離れた場所にいるクリーチャーをつまみ上げ、最前線に送り込むなどの指示を与えてやらねばならない。

憑依のスペルを唱えてプレーヤー自身がクリーチャーに乗り移って戦うことも可能だ。乗り移ったクリーチャーは、一人称視点のアクションゲーム(※2)のように操作ができる。

このときにだけ使える特殊技もあるのだが、なによりも楽しいのが、自分の作ったダンジョンを自由に歩き回れるといったところだ。この憑依モード(ファーストパーソンモード)を利用し、クリーチャーの部隊を編成して敵を攻め落とすといったこともできる。この、自由度の高さこそが『ダンジョンキーパー2』の最大の魅力といえるだろう。

▲頭にひまわりのようなものが付いているのが、敵のヒーローだ。こいつを倒すと、ステージクリアとなる。
▲クリーチャーに憑依して、敵を一気にやっつけろ!
▲ヒーローをやっつけると、ホーニーが現れる。特定のステージで得られるタスマリアンというアイテムを使用することにより、呼び出すことも可能だ。

※1
プレーヤーが設置した部屋
このゲームでは様々な種類の部屋があり、作った部屋によってやってくるクリーチャーが異なる。例えば、研究室を作れば魔法に長けたウォーロックやってきて新しい呪文の研究を始める。拷問室を作れば、残虐なミストレスややってくるといった感じだ。

※2
一人称視点のアクションゲームで略称からFPSとも呼ばれている。『DOOM』や『QUAKE』に代表される、プレーヤー視点でマップを歩き回り戦うゲームのこと。

ゲーム概要

タイトル:ダンジョンキーパー2 完全日本語版
メーカー:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
対応ハード:Windows 95/98
ジャンル:シミュレーション
発売日:1999年7月23日
価格:9800円(税別)

必要環境
CPU:Pentium 200MHz以上
メモリ:32MB以上
HD空き容量:300MB以上
CD:4倍速以上
ディスプレイ解像度:640×480 6万5535色(DirextX6.1に対応したグラフィックカード(V-RAM 4MB以上))
サウンド:DirectX6.1に対応したサウンドカード

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こちらは、ゲームが発売された当時に書いた記事に一部加筆・訂正を加えたものです。データ等は当時のままになっています。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。