開発者のelripalda氏が、Xbox 360版『Grand Theft Auto IV(GTA IV)』をPlayStation 5(PS5)で動作させる非公式移植プロジェクト『GTA IV for PS5』を、2026年10月21日に公開しました。翌22日には、不具合の修正や新機能を追加したv1.0.1もリリースされています。
このプロジェクトは、Xbox 360版のゲームコードを静的再コンパイルすることで、PS5上でのネイティブ動作を実現したものです。4K解像度での描画や最大60fpsでの動作に加えて、DualSenseの機能にも対応しています。
ただし、利用できるのはHomebrewが動作する脱獄済みPS5のみです。ソニーやRockstar Gamesによる公式移植ではなく、一般的な未改造のPS5では実行できません。
『GTA IV』本編と2つの追加エピソードがPS5で動作!
今回公開された『GTA IV for PS5』は、OZORDI氏が開発する『Liberty Recompiled』と、その派生プロジェクトである『LibertyRecompAndroid』を基盤にしたものです。
特徴は、Xbox 360版『GTA IV』のゲームコードを静的再コンパイルすることで、PS5向けに移植している点です。
静的再コンパイルとは、元のゲーム機向けに作られたプログラムを、別の環境でも実行できるように事前に変換する技術です。Xbox 360そのものをエミュレーションする方式とは異なり、変換されたプログラムをPS5上で直接動かす仕組みになっています。
対応しているのは『GTA IV』本編だけではありません。追加エピソードの『The Lost and Damned』と『The Ballad of Gay Tony』もプレイできるようになっています。
専用のメニュー画面から3つの作品を選択でき、それぞれに異なるデザインやメニュー音楽が用意されています。
なお、10月22日に公開されたv1.0.1では、選択した作品とは異なる追加エピソードが読み込まれてしまう不具合が修正されました。これにより、選択した作品に対応する最新のセーブデータを読み込み、セーブデータがない場合は新規ゲームとして開始する仕組みになっています。
●GTA IV for PS5 プロジェクトページ(GitHub)
https://github.com/elripalda/gta4-ps5
●GTA IV for PS5 v1.0/v1.0.1 配布ページ(GitHub)
https://github.com/elripalda/gta4-ps5/releases
●Liberty Recompiled(基盤プロジェクト)
https://github.com/OZORDI/LibertyRecomp
4K・最大60fpsに対応! DualSenseならではの機能も追加
グラフィック面では、4K解像度で最大60fpsの動作に対応しています。
開発者によると、市街地の多くの場所では60fpsを維持できるものの、車や歩行者が多い場所など、負荷の高い場面では40fps台後半から50fps台まで低下することがあるとのことです。
また、120Hz出力と可変リフレッシュレート(VRR)にも対応。120Hz対応テレビ向けには、40fpsで動作させるモードも用意されています。ただし、120Hzへの対応は、ゲームそのものが120fpsで動作することを意味するわけではありません。
v1.0.1では、以下の3つのグラフィックプリセットも追加されています。
- Recommended: 4K解像度・60fps上限の標準設定
- Performance: 解像度を1440pに下げ、車や歩行者の数を減らすことで、60fpsでの安定動作を優先
- Quality: 影の品質や描画距離を強化し、SMAAや拡張エフェクトなどを利用する高画質設定
いずれも60fpsを上限とした設定ですが、すべての場面で60fpsを維持できると保証されているわけではありません。
このほか、解像度や描画距離、アンチエイリアス、影、反射、モーションブラーなどを個別に変更することもできます。
操作面では、PS5標準コントローラーのDualSenseに対応。ゲーム内のボタン表示がPlayStation向けになるほか、ライトバーやアダプティブトリガー、振動機能なども利用できます。
ユニークなのが、警察から追われているときにDualSenseのライトバーがパトカーのように点滅する機能です。こうしたPS5ならではの演出が追加されているのも、今回の移植版の特徴といえそうです。
さらに、Xbox 360版のセーブデータを取り込む機能や、セーブデータのバックアップ・復元、トロフィーにも対応しています。
利用には脱獄済みPS5とXbox 360版のゲームデータが必要
『GTA IV for PS5』はGitHubで公開されていますが、ダウンロードしたファイルだけでゲームを遊べるわけではありません。
利用には、Homebrewを実行できる脱獄済みPS5が必要です。また、ゲームデータについても利用者自身で用意しなければなりません。
現時点で必要とされている主なものは以下の通りです。
- Homebrewが動作する脱獄済みPS5
- 自分で所有するXbox 360版『GTA IV』米国版のディスクイメージ(ISO形式)
- 『GTA IV』のTitle Update 8
- 約17GBの空き容量
- 追加エピソードを利用する場合は、それぞれに対応するゲームデータ
なお、Homebrew向けの配布サービス『Recomp Store』を利用すれば、アプリのインストールやTitle Update 8の取得、アップデートなどを自動で行うこともできます。
ただし、ゲーム本体のデータは配布物に含まれていません。また、対応しているのはXbox 360版の米国版ディスクとTitle Update 8の組み合わせです。
そのため、国内版など、ほかのバージョンの『GTA IV』でも同じように動作するとは限りません。
以前紹介した『prospero-win』とは何が違う?
実は、PS5上で『GTA IV』が動作するという話題は、今回が初めてではありません。
当サイトでは2026年10月8日、WindowsゲームをPS5上で直接実行する『prospero-win v0.1.0』を紹介しています。
こちらも脱獄済みPS5を利用するプロジェクトですが、ゲームを動かす仕組みが大きく異なります。
『prospero-win』は、Windows向けのゲームやアプリを動作させるための互換レイヤー『Wine』などを利用するものです。つまり、PS5上にWindowsゲームを実行するための環境を用意する方式です。
一方、今回の『GTA IV for PS5』は、Xbox 360版『GTA IV』のコードを静的再コンパイルすることで、PS5向けのプログラムとして動作させています。
両者の主な違いをまとめると、以下のようになります。
| 比較項目 | GTA IV for PS5 | prospero-win |
|---|---|---|
| 元のゲーム | Xbox 360版 | Windows版 |
| 動作方式 | 静的再コンパイル | Windows互換レイヤー |
| 対応対象 | 『GTA IV』と追加エピソード | 複数のWindowsゲーム・アプリ |
| 描画・性能 | 4K・最大60fps | 既報の『GTA IV』検証では約45~55fps |
| 利用条件 | 脱獄済みPS5 | 脱獄済みPS5 |
※性能はそれぞれの開発者が公表した情報です。『prospero-win』の検証は1080p・60Hz出力環境で行われており、ゲームのバージョンや描画条件も異なるため、数値だけで両者の性能を直接比較することはできません。
『prospero-win』が様々なWindowsゲームをPS5で実行することを目指しているのに対し、『GTA IV for PS5』は、特定のゲームをPS5向けに移植することに重点を置いています。
また、今回の移植版では4K描画やグラフィック設定に加え、DualSenseのライトバーやアダプティブトリガーなど、PS5ならではの機能も組み込まれています。
今後はさらなるパフォーマンス改善にも期待
『GTA IV for PS5』は、Xbox 360版のゲームを静的再コンパイルによってPS5上で動作させるという、興味深い試みです。
開発者は今後のv1.1に向けて、ゲームコードの処理効率を改善し、負荷の高い市街地でも60fpsを安定させるための最適化を計画しています。ただし、これらは現時点で実装された機能ではありません。
また、公開されている性能は開発者による報告であり、当サイトで独立した実機検証を行ったものではありません。本編や追加エピソードを最後まで問題なくプレイできるかについても、引き続き確認が必要です。
利用できる環境は限られていますが、PS5上でXbox 360のゲームを直接動かすという技術的な面白さに加え、今後どこまで完成度が高められていくのかにも注目したいところです。


















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