アーケード版『バーチャファイター2』をPCで動かす非公式プロジェクトが進化!GPU描画対応で処理速度を改善

アーケード版『バーチャファイター2』をPCで動かす非公式プロジェクトが進化!GPU描画対応で処理速度を改善

セガのアーケード向け3D格闘ゲーム『バーチャファイター2』を、WindowsやMac、Steam Deckなどで動作させる非公式プロジェクト「Virtua Fighter 2 Recomp」の最新版v0.1.2が、2026年10月13日に公開されました。

今回のアップデートでは、新たにGPUを利用した3D描画に対応。これまでCPUで行っていた描画処理の一部をGPUに任せることで、環境によってはパフォーマンスの改善が期待できるようになりました。このほか、Windows環境での高速動作時の処理改善や、設定ファイルなどをまとめて管理できるポータブルモードも追加されています。

●Virtua Fighter 2 Recomp v0.1.2(GitHub・ダウンロード)
https://github.com/mr-finster/vf2-recomp/releases/tag/v0.1.2

●Virtua Fighter 2 Recomp(GitHub・プロジェクトページ)
https://github.com/mr-finster/vf2-recomp

アーケード版『バーチャファイター2』を現代のPCで動作させるプロジェクト

『バーチャファイター2』は、1994年にセガから登場したアーケード向けの3D格闘ゲームです。セガのアーケード基板「MODEL2」を採用しており、当時としては非常に滑らかなキャラクターの動きや、美しい3Dグラフィックスなどが大きな話題となりました。その後、セガサターンなどにも移植されています。

今回紹介する「Virtua Fighter 2 Recomp」は、そんなアーケード版『バーチャファイター2』を現代のPC環境で動作させることを目的とした、開発者のmr-finster氏による非公式プロジェクトです。

特徴的なのは、単純にアーケード基板をエミュレーションするだけではなく、MODEL2基板で使用されていたIntel i960向けのゲームプログラムを、実行する環境に合わせて再コンパイルする仕組みを採用しているところです。

これにより、ゲームプログラムをPCのCPUで直接実行できる形式に変換しています。ただし、MODEL2基板のすべての処理が再コンパイルされているわけではありません。3Dグラフィックスに関する処理やサウンドなどには、アーケードエミュレーター「MAME」由来のコードも利用されています。

また、従来のバージョンから最大6倍の描画スケールやワイド画面、ウルトラワイド画面への対応、ディスプレイのリフレッシュレートに合わせた滑らかな表示なども実現しています。

これらは今回新たに追加された機能ではありませんが、当時のアーケード版の雰囲気を残しながら、現代のディスプレイ環境で楽しめるところも魅力となっています。

GPU描画に対応! Windowsでは高速動作時の処理も改善

今回公開されたv0.1.2で最も大きな変更点は、GPUを利用した3D描画に対応したことです。

具体的には、MacではMetal、WindowsではDirect3D 12またはVulkan、LinuxやSteam DeckではVulkanを利用した描画が可能になっています。

GPU描画に対応したからといって、グラフィックスそのものが変更されるわけではありません。従来のCPU描画と同じ映像を再現できるように設計されており、処理をGPUに任せることで、CPU側の負担を軽減することが狙いです。

また、単純にGPU描画へ切り替えるだけではなく、起動時にCPUとGPUの描画結果を比較する仕組みも用意されています。描画結果に違いがある場合や、GPU側でエラーが発生した場合には、自動的にCPU描画へ切り替わります。

描画設定の「3D renderer」を「Auto」にしておけば、GPU描画のほうが明らかに遅い環境でもCPU描画が選択される仕組みです。そのため、必ずしもGPU描画のほうが高速になるというわけではありません。

さらに、Windows環境では1倍速を超える高速設定時のパフォーマンスも改善されました。従来はDirect3D 11のテクスチャーへ描画データを転送する処理がボトルネックとなり、高性能なPCでも高速動作時にカクつきが発生することがありましたが、今回の変更によって改善が図られています。

なお、本プロジェクトでは高リフレッシュレートのディスプレイに合わせた滑らかな表示にも対応していますが、これはフレーム間を補間する仕組みによるもので、元のゲームロジックそのものを120fps動作に変更したという意味ではありません。

ポータブルモードやROMフォルダーの指定にも対応

GPU描画以外にも、今回のアップデートでは使い勝手に関する機能が追加されています。

そのひとつが、新たに導入されたポータブルモードです。アプリケーションと同じ場所にportable.txtというファイルを配置することで、設定ファイルやセーブデータ、スクリーンショット、ログファイル、ゲームデータなどをアプリケーション側のフォルダーにまとめて保存できるようになります。

通常はユーザーフォルダー内に保存されるデータを一括管理できるため、バックアップや環境の移行などがしやすくなるのがメリットです。

また、ゲームのROMファイルを保存しているフォルダーを個別に指定する機能も追加されました。起動オプションや環境変数、設定ファイルなどから保存場所を指定できるため、すでに別の場所で管理しているゲームデータを利用する際にも便利です。

サウンド面では、音楽のステレオリバーブに関する問題も修正されました。従来は左右の音の広がりが十分に再現されず、音量も大きすぎる状態になっていましたが、今回のアップデートでアーケード版に近いステレオ感が復元されています。

MacやWindows、Steam Deckで利用可能。ただしゲームデータは別途必要

「Virtua Fighter 2 Recomp」は、macOS 11以降のApple SiliconおよびIntel Mac、Windows 10/11の64ビット環境、Linux、Steam Deckなどに対応しています。

Steam Deck向けにはLinuxのネイティブ版が用意されており、Steamに非Steamゲームとして登録することで、ゲームモードから起動することも可能です。

ただし、配布されているファイルにゲーム本体のデータは含まれていません。利用するには、別途アーケード版『バーチャファイター2』のVersion 2.1に相当する、MAMEのvf2セット(vf2.zip)を自身で用意する必要があります。

セガサターン版など、別の機種向けのゲームデータをそのまま利用できるわけではない点にも注意が必要です。

また、本プロジェクトはセガが開発・承認・サポートしている公式製品ではありません。現時点ではローカルでのふたり対戦などに対応しているものの、オンライン対戦は未対応となっています。

今回のGPU描画対応によって、アーケード版『バーチャファイター2』を現代のPC環境で楽しむための選択肢がさらに広がりました。今後、どのような機能が追加されていくのかも注目したいところです。

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