GBA『マリオカートアドバンス』がPCでオンラインふたり対戦! Recomp v0.1.1でWindows/Linux間リンク対戦

GBA『マリオカートアドバンス』がPCでオンラインふたり対戦! Recomp v0.1.1でWindows/Linux間リンク対戦

ゲームボーイアドバンス向けに発売された『Mario Kart: Super Circuit(マリオカートアドバンス)』をPC上で動作させる静的Recompプロジェクト「MarioKartSuperCircuitRecomp」に、新たなアップデートが登場しました。

2026年9月27日に公開されたv0.1.0では、GBAのリンクケーブル通信を利用したふたり用対戦を、インターネットやLAN経由で遊べる「Link Cable netplay」が追加。さらに、その直後に公開されたv0.1.1では、Linux環境からインターネット対戦にログインするときの処理が改善されています。

最大の特徴は、単純に『マリオカートアドバンス』がPCで動くということではありません。かつてGBA本体を2台並べてリンクケーブルで接続していた対戦環境そのものをPC上で再現し、さらにネットワーク越しに遊べるようにしている点です。

●MarioKartSuperCircuitRecomp Releases
https://github.com/mstan/MarioKartSuperCircuitRecomp/releases

各PC上で「GBA2台+リンクケーブル」を動かしてネット同期

Link Cable netplayが追加されたのは、2026年9月27日に公開されたv0.1.0です。ランチャーに用意された「Netplay」タブからホストまたは参加者として接続でき、インターネット経由だけではなくLAN内でのセッションにも対応しています。

仕組みもユニークで、片方のPCでGBAを1台、もう片方でGBAを1台動かし、リンクケーブルの通信データをそのままインターネット越しに送り合っているわけではありません。それぞれのPC上で仮想的なGBAを2台とリンクケーブルを丸ごと動作させ、その上位でプレイヤーの入力をネットワーク同期する構成になっています。

リンクケーブルによるシリアル通信自体は、各PC上に存在する共通の仮想タイムライン上で処理。そのため、インターネット回線の遅延を直接GBAのリンクケーブル通信に持ち込まず、より上位のネットプレイ部分で吸収する仕組みになっています。

rollbackとinput-delayの2種類から同期方式を選択可能

ネット対戦時の同期方式は、「rollback」と「input-delay」の2種類から選択できます。

rollbackは、入力予測を利用しながらゲームを進行し、実際の入力と違いがあった場合に状態を巻き戻して修正する方式。一方のinput-delayは、一定時間入力を遅らせることでプレイヤー同士の状態を合わせる、比較的シンプルな同期方法です。

v0.1.0では両方式についてWindows/Linux間を含むテストが実施されており、意図的に40msの遅延と10msのジッターを発生させたWindows環境でのrollbackテストなども行われています。ただし、開発者側もすべてのインターネット回線やNAT環境、Linuxデスクトップ環境での動作を保証しているわけではないとしています。

WindowsとLinuxのプレイヤー同士でも対戦可能

v0.1.0では、これまでのWindows x64版に加えてLinux x86_64向けAppImageも公開されました。

ネットプレイではWindows同士やLinux同士だけではなく、Windowsを使用しているプレイヤーとLinuxを使用しているプレイヤーの組み合わせでも対戦可能です。ただし、対戦するふたりは同じリリースを使用し、ゲームイメージについても一致している必要があります。

続くv0.1.1では、Linuxからインターネット対戦へサインインするときのブラウザー起動処理を改善。WSL環境の「wslview」をはじめ、「xdg-open」「gio open」「sensible-browser」を順番に試すよう変更され、AppImageから外部ブラウザーを呼び出す際の互換性向上が図られています。

つまりネット対戦そのものが追加されたのはv0.1.0であり、v0.1.1はその機能をLinux環境から利用しやすくするための修正版という位置付けです。

対戦相手と違う画面比率を選んでもOK

PC向けRecompならではの表示機能も用意されています。各プレイヤーは「native」「16:9」「21:9」「32:9」「adaptive」から、それぞれ独立して表示方法を選択可能です。

たとえば片方のプレイヤーがオリジナルに近いnative表示を使用し、もう片方が16:9やウルトラワイド表示で遊ぶといった組み合わせも可能。ウィンドウサイズや使用しているディスプレイの違いも、ネット対戦の同期には影響しません。

「adaptive widescreen」では、単純にGBAの240×160ドットの映像を横方向に引き伸ばすのではなく、対応するゲーム側で描画領域そのものを広げる仕組みが採用されています。『マリオカートアドバンス』では、レース画面に合わせたワイド表示が実装されています。

遊ぶにはUSA版ROMとGBA BIOSが必要

MarioKartSuperCircuitRecompは、一般的なGBAエミュレーターとは異なる「静的Recomp」を利用した実験的なプロジェクトです。ゲームのコードをPC上で動作できる形へ再構成し、デスクトップ向けアプリケーションとして実行します。

配布ファイルにはゲーム本体のROMや任天堂のGBA BIOSは含まれていません。利用するには、自分で用意した『Mario Kart: Super Circuit』USA版のROMと、GBAのBIOSが必要です。

Windows版はx64向けZIP、Linux版はx86_64向けAppImageとして配布されています。なお、本プロジェクトは任天堂公式のものではなく、開発者自身も研究・保存を目的とした実験的なプレビューとして公開しています。

Wireless AdapterやSingle-Pakにはまだ未対応

今回対応したのは、ふたり用の「同一ゲームを使用したマルチカート方式」のリンクケーブル通信です。GBAで利用できたすべての通信方式が再現されているわけではありません。

Wireless Adapterによる通信や、1本のカートリッジからゲームデータを転送して遊ぶSingle-Pak multibootについては、今後の対応項目となっています。また、GBA版『ポケットモンスター』のように異なるバージョンのゲーム同士を接続するクロスバージョン通信も、現時点では将来対応扱いです。

Android向けの新しいリリースについても、今回のv0.1.0/v0.1.1では用意されていません。

GBAの「本体を持ち寄って遊ぶ」体験をインターネットへ

『マリオカートアドバンス』といえば、当時はGBA本体を持ち寄り、リンクケーブルを接続して対戦するのが基本でした。今回のMarioKartSuperCircuitRecompは、そのリンクケーブル環境そのものをPC上に再構築し、さらにネットワーク同期を組み合わせることで、物理的に離れた場所から同じ仕組みの対戦を成立させています。

当サイトでは以前、『マリオカートアドバンス』を60fps化するROM向けパッチについて紹介しましたが、今回のプロジェクトとは別のものです。今回は単なる映像やフレームレートの改善ではなく、「リンクケーブル対戦をインターネット越しに遊ぶ」という、GBA時代には存在しなかった遊び方が実現したことが大きなポイントといえそうです。

MarioKartSuperCircuitRecompはまだ実験的な段階ですが、今後Wireless AdapterやSingle-Pakといった通信方式にまで対応が広がれば、GBAの通信機能をPC上で再構築するプラットフォームとして、さらに面白い展開が期待できそうです。

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