SplashDev88氏は2026年9月12日、MiSTer FPGA向けの実験的なニンテンドーDSコア「NDS4MiSTer v0.3.0-beta.13」を公開しました。GitHubではPre-releaseとして配布されています。
今回の大きなポイントは、これまで起動に問題が残されていた『クロノ・トリガー』が改善され、スクウェア・エニックスのロゴを通過してゲームプレイまで進むようになったことです。また、『クロノ・トリガー』と『Castlevania』では、これまで音声だけが再生され画面が真っ黒になっていたオープニング映像も表示されるようになっています。
●NDS4MiSTer v0.3.0-beta.13
https://github.com/SplashDev88/NDS4MiSTer/releases/tag/v0.3.0-beta.13
前回残っていた『クロノ・トリガー』の起動問題を改善
当サイトでは9月1日に「NDS4MiSTer v0.3.0-beta.5」を紹介しています。当時は3D描画の高速化やタッチ操作への対応が進められていた一方で、『クロノ・トリガー』には別の起動失敗が残されており、正常にゲームを開始することができませんでした。
今回のbeta.13では、この問題に手が加えられています。開発者によると、不適切なメモリー処理や連続したカートリッジ読み込みに関する問題がゲームの起動を妨げていたとのことで、これらを修正。その結果、『クロノ・トリガー』ではスクウェア・エニックスのロゴを越えて、実際のゲームプレイまで進めるようになったと報告されています。
ただし、今回確認されているのはあくまで起動とゲームプレイへの進行です。最後まで正常にプレイできることや、完全互換、常時フルスピードで動作することが確認されたわけではありません。
オープニング映像やクロノの表示も改善
beta.13では、動画再生についても進展しています。これまで『クロノ・トリガー』と『Castlevania』のオープニング映像では、音声は再生されるものの画面が黒いままになる問題が発生していましたが、今回のアップデートで映像そのものが表示されるようになりました。
もっとも、『Castlevania』については現在もオープニング映像がぎくしゃくする場合があり、滑らかなフルスピード再生にはまだ至っていないとのこと。なお、リリースノートでは単に「Castlevania」とだけ記載されており、具体的な作品名や地域版については明らかにされていません。
『クロノ・トリガー』ではさらに、冒頭の寝室でクロノのキャラクター表示に重なっていた黒い長方形も修正されています。起動するようになっただけではなく、実際のゲーム画面の再現についても少しずつ手が入れられているようです。
ひとつ前のbeta.12ではEngine Bにも対応
もうひとつ、前回の記事から大きく変わったのがニンテンドーDSのふたつの画面表示です。ただし、こちらはbeta.13ではなく、同じ9月12日に先行して公開された「v0.3.0-beta.12」で追加された機能です。
●NDS4MiSTer v0.3.0-beta.12
https://github.com/SplashDev88/NDS4MiSTer/releases/tag/v0.3.0-beta.12
ニンテンドーDSにはふたつのグラフィックスエンジンが存在しますが、以前のNDS4MiSTerではパフォーマンスなどの理由からEngine Bが無効化されていました。そのため、当サイトがbeta.5を紹介した時点では、ふたつの表示位置にどちらもEngine Aの映像が表示される状態でした。
beta.12では「Engine B (next Reset)」という設定が追加され、Engine Bを任意で有効化できるようになりました。初期状態はOffで、この場合はこれまでと同様にEngine Aの映像が両方の表示位置にコピーされます。
設定をOnにしてリセット、またはROMを再読み込みするとEngine Bが有効になり、異なる映像をふたつの画面へ表示できるようになります。
その代わり、Engine Bを有効にするとフレームレートが低下する場合があります。負荷の高いゲームでは2画面目の更新が遅れたり、映像にラグが発生したりする可能性があるため、現段階では正確な2画面表示と処理速度のどちらを優先するか選択する形です。
このEngine B対応はbeta.13にもそのまま引き継がれています。
ARM側は1GHzのまま。導入時はコアとヘルパーの組み合わせに注意
NDS4MiSTerは、ニンテンドーDSのすべての処理をFPGAだけで再現するコアではありません。FPGAとDE10-Nano側のARM/HPSを組み合わせて処理するハイブリッド構成が採用されています。
beta.13に含まれるARM側のヘルパーはbeta.12と同じ1GHz動作で、今回オーバークロックなどの変更は行われていません。
導入する場合は配布されているZIPファイルをMiSTer用SDカードのルートへ展開し、「_Console」と「Scripts」フォルダーを統合。その後MiSTerを再起動し、「Scripts」から「NDS_Kickstart」を実行します。
Kickstartを実行してから5分以内に「Console」→「NDS_20260912」を起動し、「Load NDS」からゲームを読み込むという流れです。5分を過ぎた場合は、再びNDS_Kickstartを実行する必要があります。またMiSTerを再起動するたびにNDS_Kickstartを実行する必要があります。
配布物に含まれるコアとARMヘルパーは組み合わせて使用することが推奨されており、異なるバージョン同士を混在させないよう案内されています。ゲームROMについても利用者側で用意する必要があります。
まだ実験段階。表示やサウンドには問題も残る
今回のbeta.13で『クロノ・トリガー』がゲームプレイまで進めるようになるなど大きく前進したNDS4MiSTerですが、まだ実験的なPublic Betaであることに変わりはありません。
たとえば『ポケットモンスター ソウルシルバー』や『ポケットモンスター プラチナ』では、主人公や家具などが表示されなくなる問題が残されています。修正方法自体は見つかっているものの、処理速度への影響が大きいため、より高速な方法が見つかるまで保留されています。
サウンドについても引き続き実験的な段階で、負荷の高いゲームでは音切れや描画の乱れ、クラッシュなどが発生する可能性があります。
それでも、9月1日に当サイトでbeta.5を紹介した時点では「『クロノ・トリガー』が起動しない」「Engine Bが利用できず、ふたつの表示位置に同じ映像が出る」という状態でした。それから約2週間足らずで、別々の画面表示が選択可能になり、『クロノ・トリガー』もゲームプレイまで進めるようになったことになります。
まだ完成には時間が掛かりそうですが、NDS4MiSTerの対応状況はかなり速いペースで変化しているようです。
NDS4MiSTerはSplashDev88氏らによって開発されている実験的な非公式プロジェクトであり、任天堂の公式製品ではありません。
















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