ゲームキューブエミュレーター『Pureikyubu(プレイキューブ)』のバージョン1.7に関する更新内容が、2026年9月に公式GitHubで公開されました。開発チームは今回のバージョンについて、「プロジェクト開始以来最大のアップデート」としています。
●Pureikyubu公式GitHubリポジトリ
https://github.com/emu-russia/pureikyubu
『Pureikyubu』は、かつて『Dolwin』として開発されていたオープンソースのゲームキューブエミュレーターです。単純にゲームを動かすことだけではなく、ゲームキューブのハードウェアを研究し、ゲーム開発に使用された技術をリバースエンジニアリングすることも目的として開発が続けられています。
前バージョンとなる1.6が公開されたのは2023年8月17日。今回の1.7では、その後約3年間に行われた開発成果がまとめられており、とくにグラフィックス、DSP、CPU、ユーザーインターフェースなど幅広い部分に手が加えられています。
グラフィックス基盤を大幅刷新。実際の描画処理を使った340種類のテストも導入
バージョン1.7における大きな変更点のひとつが、ゲームキューブに搭載されているGPU「Flipper」のグラフィックス処理です。
従来使用していたOpenGLの固定機能パイプラインを廃止し、FlipperのTransform Unit(XF)とTexture Environment Unit(TEV)をGLSL 3.30のシェーダーで再現する仕組みに変更されています。
さらに、実際の「CP → XF → SU → RAS → TX → TEV → PE」というグラフィックス処理を通す340種類のユニットテストも導入。262枚の基準画像と比較することで、これまで残っていた多数の描画関連の不具合が修正されています。
DSPについても177種類のテストを用意し、1822種類のALUテスト用データや435種類のサーキュラーバッファ用データを使って実機との比較が行われています。
『メトロイドプライム』がタイトル画面まで到達
今回の改善は、実際のゲームの動作にも反映されています。
『メトロイドプライム』では、これまで問題が発生していたイントロムービーが再生できるようになり、そのままタイトル画面まで到達可能になりました。
このほか、『ゼルダの伝説 風のタクト』では起動処理を突破。『斑鳩』ではTHP形式のタイトルムービーの色がおかしくなる問題が修正されたほか、テストプログラムの『PONG』も再び動作するようになっています。
とくに『メトロイドプライム』では、フレームの表示処理やARAM DMAなど複数の問題が修正されており、今回行われたグラフィックスやDSPまわりの改善が実際のゲームにも大きく影響していることがわかります。
ゲームキューブ版Linuxの起動にも成功
CPUやメモリー関連でも、多数の修正が行われています。
GQRやPaired Single命令、MMUのハッシュテーブル、デクリメンタ、mtcrf、lswi、lswxなどの不具合が修正され、その結果、ゲームキューブ向けに開発された「GC-Linux」の起動にも成功しています。
公式のリリースノートによると、2004年のLinuxカーネルを起動し、「gcnfb」のコンソール画面まで到達。さらにゲームキューブ用ブロードバンドアダプターのドライバーも読み込まれているとのことです。
ゲームの互換性とは少し異なる部分ではありますが、ゲームキューブのCPUやメモリー、周辺ハードウェアがより正確に再現できるようになったことを示す興味深い成果といえそうです。
SDL版にはサウンドやゲームセレクターを追加
クロスプラットフォーム向けのSDL版も大幅に強化されています。
新たにサウンドに対応したほか、DOL、ELF、ISOファイルを検索して一覧表示できるゲームセレクターを搭載。ゲームのバナー画像やGame ID、タイトル、ファイルサイズなどを表示でき、並べ替えやフィルター、頭文字によるジャンプといった機能も用意されています。
一方で、まだ開発途中のエミュレーターであることには注意が必要です。バンプマッピングや間接テクスチャリングなど未実装のグラフィックス機能が残されているほか、一部のタイトルでは描画できなかったり、途中で停止したりする場合があります。
またLinux版については、現時点ではサウンドと入力に未対応とされています。
なお、公式GitHubではバージョン1.7のリリースノートが公開されているものの、本稿執筆時点では「Releases」ページの最新版は依然として1.6となっています。そのため、一般向けの正式な1.7リリースや公式ビルドの配布が開始されたとは確認できません。
今回の更新は、すぐにDolphinの代替として幅広いゲームを快適に遊べるようになったというよりも、ゲームキューブのハードウェアをより正確に再現するための基盤が大きく前進したものと見るのがよさそうです。今後、今回整備されたテスト環境や新しいグラフィックス基盤を利用して、ゲームの互換性がどこまで向上していくのかにも注目です。
via.Reddit















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