『スーパーマリオ64』を640×240の解像度で実際にレンダリングする実験的プロジェクト「H2X」のソースコードとビルド手順が公開されています。2026年9月2日にはRedditのr/MiSTerFPGAにも開発者による投稿が行われ、MiSTer FPGAが主要な開発・テスト環境のひとつとして使用されていることが明らかにされました。
●GitHub / ソースコードとビルド手順:
https://github.com/DavidFallows/sm64/tree/h2x
●H2X開発ブログ/スクリーンショット/技術的な掘り下げ:
https://ko-fi.com/datadave64
H2Xで面白いのは、『スーパーマリオ64』の映像を出力後に単純に640×240へ引き伸ばしているわけではないところです。オリジナルでは320×240だったフレームバッファとZバッファを640×240へ変更し、NINTENDO64のRDPが3Dシーンを横640ピクセルで実際にラスタライズする仕組みになっています。縦方向については240ラインのプログレッシブ表示を維持しており、いわば「横方向だけを2倍にする」というアプローチです。

ゲーム内部では基本的に従来の320×240の座標系を維持しているため、単純に3D描画部分だけを横長にすれば済むわけではありません。HUDやテキスト、メニュー、画面切り替え、タイトル画面などにも320ピクセル幅を前提とした処理が存在しており、それらを640×240へ対応させる作業が進められています。
さらにタイトル画面に登場する、マウスのように操作できるマリオの顔についても対応済みです。この部分は通常のゲーム画面とは別のレンダリングシステムを利用しており、H2Xでは従来の論理座標を維持しながら、物理的なX方向のビューポートや描画範囲を2倍にする形で対応しています。

480i化せず、240pらしさを残したまま横方向を高精細化
H2Xが640×480ではなく640×240を採用している理由のひとつが、オリジナルの低解像度映像が持つ雰囲気を維持することです。縦方向を480ラインへ増やすのではなく240pのタイミングを残したまま、横方向だけ描画情報を増やすことで、ポリゴンの輪郭などをより細かく描画することを狙っています。
開発者によると、MiSTer FPGAにCRTを接続した環境でもH2Xのテストが行われています。GitHubではMiSTer FPGAのほか、Analogue 3DやCRTディスプレイが現在の主なテスト環境として挙げられており、最終的にはオリジナルのNINTENDO64実機での検証も重視されています。
一方で、横方向のレンダリング解像度を2倍にすることで処理するピクセル数も増えるため、パフォーマンス面の検証も進められています。『スーパーマリオ64』に用意されている内部パフォーマンスプロファイラーを利用し、ゲーム処理やRSP、RDPなどの負荷も調査しているとのことです。

Expansion Pakが必要。現時点では実験的なWIP版
H2Xでは大きくなったフレームバッファとZバッファを確保するため、Expansion Pakを利用して合計8MBのRAMを使用できる環境が必要です。現在は3Dゲーム画面、HUD、テキスト、カメラアイコン、タイトル画面、マリオの顔などが640×240へ対応していますが、一部の画面切り替えやデバッグ画面などについては引き続き作業が行われています。

GitHubの履歴を見ると、640×240化の作業は2026年8月20日に開始され、8月21日にはフレームバッファやビューポート、HUD、8月22日にはタイトル画面のマリオの顔、8月27日にはイントロ画面などへの対応が追加されています。プロジェクトREADMEも8月27日に追加され、9月1日まで更新が続いているため、現在も開発中のプロジェクトと考えたほうがよさそうです。

なお、H2Xは任天堂公式の機能やMiSTer FPGAのNINTENDO64コアそのものに追加された機能ではありません。『スーパーマリオ64』のデコンパイルプロジェクトをベースにした非公式の改造プロジェクトで、GitHubでもゲームROM自体は配布されていません。ビルドする場合は、利用者自身が適法に入手した『スーパーマリオ64』のROMを用意する必要があります。現時点では「experimental / work in progress」と明記されているため、完成版ではなく実験段階のプロジェクトとして試すのがよさそうです。
via.Reddit














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