今年の「東京ゲームショウ2024」で話題になったのが、液晶ディスプレイで光線銃を使ったゲームが遊べる『G’AIM’E』の試遊でした。家庭用ゲーム機の光線銃は、ブラウン管のテレビでしか遊べないことが多いのですが、最近はそうした状況を解消するものも増えてきています。
ということで、今回はMiSTer FPGAと液晶ディスプレイ、『Wiiリモコン』と『ガンコン3』、『Sinden Lightgun』という3種類の光線銃用デバイスを利用して遊べるようにする方法をご紹介していきます。
目次

【1】Wiiリモコンで光線銃のゲームを遊ぶ!
最初にご紹介するのは、Wiiリモコンを使ったセットアップです。いくつか必要なものもあるので、そちらを揃えておくことをオススメします。

Wiiリモコンのセットアップに必要なもの
- Wiiセンサーバー(USB接続のもの)
- オリジナルのWiiリモコン
- Wiiリモコンに取り付けるガンアダプター(オプション)
- セットアップ用のキーボード
- Bluetoothアダプター
Wiiリモコンを使うには、セットでWiiセンサーバーが必要になります。しかし、オリジナルのWiiセンサーバーは特殊な形状になっており、そのままではMiSTer FPGAに接続することができません。そこで購入したのが、サードパーティからリリースされているUSB接続タイプのものです。
今回は『Aokin Wii用USBセンサーバー』というものをアマゾンで購入しましたが、価格は2460円でした。

もうひとつ、これはなくてもいいのですがあった方が雰囲気が出るということで、Wiiリモコンに取り付けるガンアダプターを用意しました。今回購入したのは『パーフェクトショット for Wii』というアイテム。見た目もかなりカッチョよくなります。

もうひとつ、MiSTer FPGAでWiiリモコンを使えるようにするためのBluetoothアダプターも必要になります。ちなみに今回使用したのは、『UB500』という商品で、アマゾンでは1190円で販売されています。

Wiiリモコンのペアリング
まずは、MiSTer FPGAにWiiリモコンをペアリングする必要があります。手順としては以下の通り。
- MiSTer FPGAの「OSD」ボタンを長押しする
- Wiiリモコンの電池カバーを開けて赤いボンを押す
MiSTer FPGAの「OSD」ボタンを押し続ける(もしくはキーボードのF11)と、Bluetoothのペアリングモードになり、接続先を検索します。そこで、Wiiリモコンの電池カバーを開けて赤いボタンを押してペアリングをしましょう。



MiSTer FPGAのシステムでコントローラーを設定
ペアリングしただけでは使えないので、MiSTer FPGAのメニューから「Define joystick buttons」を選び、ボタンを割り当てていきます。いくつかのキーは割り当てる必要がないので、キーボードのスペースキーを押してスキップしましょう。
- 「DPAD test:Press RIGHT」:十字キーの右
- 「Stick 1 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Stick 2 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- ボタンの設定:R→L→D→Uの順に十字キーの(右左下上ボタン)を押していく
- A→①ボタン、B→②ボタン
- XとY、L、RはUndefine(キーボードのスペース)
- Selは-ボタン、Startは+ボタン
- 最後にキーボードのエンターキーを押して設定終了

コア側の設定:ファミコン
MiSTer FPGAのコントローラー回りでややこしいのが、システムで設定しただけではダメで、それぞれのコアでもボタンの割り当てをする必要があるところ。また、コアごとに微妙にセットアップする項目も異なっています。こちらではNES(ファミコン)コア側での設定をご紹介します。
- コアのメニューから「Input Options」を選択
- 「Periphery」を「Zapper(Joy1)」に設定
- 「Zapper Trigger」を「Joystick」に設定

同じくコア側のボタンの設定を行います。
- メニューから「Define NES buttons」を選択
- 「Press:RIGHT」:十字キーの右を押す
- 「Press:LEFT」:十字キーの左を押す
- 「Press:DOWN」:十字キーの下を押す
- 「Press:UP」:十字キーの上を押す
- 「Press:A」:①ボタンを押す
- 「Press:B」:②ボタンを押す
- 「Press:Select」:ーボタンを押す
- 「Press:Start:+ボタンを押す
- 「Press:FDS」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:Mic」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:Zapper/Vaus Btn」:(ガンアダプターを取り付けた状態で)トリガーボタンを押す
- キーボードのエンターキーを押して終了
- Save settingsで設定を保存しておく

ファミコンコアで光線銃のゲームをプレイ!
これでおおむねセットアップは完了です。あとは忘れずにセンサーバーをディスプレイの上に設置して、USBをMiSTer FPGAに接続しておきましょう。
コア側の設定:スーパーファミコン
スーパーファミコンのコアでも、同じく光線銃とコントローラーに関する設定をする必要があります。
- コアのメニューから「Input Options」を選択
- 「Super Socope」を「Joy1」に
- 「Super Scope Btn」は「Joy」
- 「Cross」はお好みでOK
- 「Gun Type」は「Super Scope」に

続いて、コア側でもコントローラーのボタンを設定しておきます。
- メニューから「Define SNES buttons」を選択
- 「Press:RIGHT」:十字キーの右を押す
- 「Press:LEFT」:十字キーの左を押す
- 「Press:DOWN」:十字キーの下を押す
- 「Press:UP」:十字キーの上を押す
- 「Press:A(SS Fire)」:①ボタンを押す
- 「Press:B(SS Cursor)」:②ボタンを押す
- 「Press:X(SS TurboSw)」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:Y(SS Pause)」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:LT(SS Cursor)」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:RT(SS Fire)」:(ガンアダプターを取り付けた状態で)トリガーボタンを押す
- 「Press:Select」:ーボタンを押す
- 「Press:Start:+ボタンを押す
- 「No」を押して終了
- Save settingsで設定を保存しておく

スーパファミコンコアで光線銃のゲームをプレイ!
Wiiリモコンによる光線銃のまとめ
若干精度は甘いものの、光線銃でのゲームプレイはある程度問題なく遊ぶことができます。若干用意しなければいけないアイテムは多いですが、なかなか面白いのではないでしょうか。ちなみに、Wiiリモコンは純正でないとうまく機能しないという話しもあるので、こちらに挑戦してみるときはコントローラーが純正かどうか確認しておきましょう。


【2】ガンコン3で光線銃のゲームを遊ぶ!
『ガンコン3』は、ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)より発売された、PlayStation 3用の光線銃型コントローラーです。過去に発売された『ガンコン』や『ガンコン2』との大きな違いは、ブラウン管を搭載したテレビやディスプレイ用ではなく、液晶ディスプレイでも使えるところ。
光線銃本体とは別に、LEDマーカーが付属しており、そちらから位置を読み取るといった仕組みが採用されています。そうしたこともあり、MiSTer FPGAともかなり相性のいいコントローラーとなっています。
●ガンコン3
https://www.bandainamcoent.co.jp/cs/list/guncon3/
セットアップを開始する前に、MiSTer FPGAの本体にガンコン3の銃とLEDマーカーをUSBで接続しておきましょう。また、コントローラーのセットアップにキーボードも接続しておきます。USBスロットが足りない場合は、USBハブなどを利用することもできます。

MiSTer FPGAのシステムでコントローラーを設定
最初にMiSTer FPGAのシステム側でコントローラーをセットアップしていきます。ガンコン3をMiSTer FPGAに接続したら、システムのメニューで「Define joystick buttons」を選び、コントローラーのキーマップを設定します。
ちなみに、オリジナルのガンコンはトリガーとABボタンの3種類しかなかったので、余ったボタンをメニューの呼び出しなどに設定しておくのもありです。

- 「DPAD test:Press RIGHT」:Bスティックを右に
- 「Stick 1 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Stick 2 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- ボタンの設定:R→L→D→Uの順にAスティックの右左下上を入力していく
- A→B1ボタン、B→B2ボタン
- XとY、L、RはUndefine(キーボードのスペース)
- SelはC1ボタン、StartはC2ボタン
- 最後にキーボードのエンターキーを押して設定終了

コア側の設定:PSX(PlayStation)
次にPSX(PlayStation)コアを起動して、ガンコン3の設定をしていきます。まずメニューから「Pad1」を「Guncon」に設定しておきましょう。

次に「Define PSX buttons」を選んで、コアのボタンを設定していきます。
- 「Press:RIGHT」:Aスティックの右を押す
- 「Press:LEFT」:Aスティックの左を押す
- 「Press:DOWN」:Aスティックの下を押す
- 「Press:UP」:Aスティックの上を押す
- 「Press:Triangle(NeGcon B)」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Press:○(Gun Fire:NeGcon A)」:トリガーボタンを押す
- 「Press:Start(Gun A)」までUndefine(キーボードのスペース)
- Press:Start(Gun A)」:A2ボタンを押す(※1)
- エンターキーを押して終了
※1このボタンを押している間攻撃態勢になる
コアのメニューから「Miscellaneous」を選び、「Pause when OSD open」がOnになっていることを確認しましょう。OFFになっている場合はONに切り替え、設定状態を保存して再起動します。

コアを再起動してバイオスのメニューが立ち上がったら、メニューを表示してキーボードのF10キーを押しましょう。すると数字のようなものが画面に表示されます。これはガンコン3の範囲をキャリブレーションするためのもので、ガンコンの銃身から見て、上下左右の範囲を指定していきます。

最初は上からですが、銃身が画面の一番上に来たときにトリガーを押します。同様にほかのところもやっていきます。重要なのは、左右です。こちらはディスプレイの範囲ではなく、画面の表示範囲にしなければなりません。

ガンコン3で光線銃のゲームをプレイ!
スーパーファミコンやファミコンはコア側のコントローラーのセットアップについては、Wiiリモコンの応用で設定可能なので端折りますが、いずれも動きはかなり良好です。
ガンコン3による光線銃のまとめ
ガンコン3は、本体さえあれば比較的簡単にセットアップが行えるという利点があります。一方、今回の『タイムクライシス』のように、画面上にクロスヘアが出ないためどこを狙っているかわかりにくい部分もあります。
画面のサイズや距離などでもいろいろと影響するので、納得がいくまでキャリブレーションで設定を詰めていくのもいいのではないでしょうか。
【3】Sinden Lightgunで光線銃のゲームを遊ぶ!
POLYMEGAの光線銃にも採用されている、液晶ディスプレイでレトロゲームの光線銃ゲームを遊べるようにした『Sinden Lightgun』。それが、今年の7月にMiSTer FPGAに対応したことでも大きな話題となりました。
ちなみに『Sinden Lightgun』自体の価格は、振動機能が無いバージョンで1万6900円ほどから購入することができます。今回は手っ取り早くメルカリで入手して試してみることにしました。
●Sinden Lightgun(送料込みで1万6900円~)
https://www.sindenshop.com/

この記事を書いている10月16日現在、MiSTer FPGAに対応しているタイトルは以下になります。元々光線銃のゲームはかなり数が限られていますが、こうしてみとそれほど多くのタイトルには対応していないことがわかりますね。
コア | ゲーム |
---|---|
NES(ファミコン) | ダックハント |
PSX(PlayStation) | タイムクライシス、ガンバレット |
ジェネシス/メガドライブ | T2ザ・アーケードゲーム |
SNES(スーパーファミコン) | バトルクラッシュ |
メガCD | マッドドッグマックリー |
セガマスターシステム | Gangster Town |
アタリ7800 | Alien Brigade、Crossbow? |
入力テスト | テスト |
こうした情報や、MiSTer FPGA用のドライバーとセットアップ方法については、以下のGitHubに詳しい情報が掲載されています。
●MiSTerSindenDriver
https://github.com/MrLightgun/MiSTerSindenDriver
ドライバーのインストール
前提条件として、『Sinden Lightgun』自体のファームウェアのバージョンがv1.09以上になっている必要があります。こちらではウィンドウズを例にご紹介しますが、公式からソフトウェアをダウンロードしてファームウェアの更新を行っておきましょう。
●『Sinden Lightgun』メインソフトウェアのダウンロード先
https://sindenlightgun.com/drivers/

ファームウェアを最新に更新したら、ドライバーをインストールするためのスクリプト「Install_SindenLightgunDriver.sh」をGitHubからダウンロードし、MiSTer FPGAのmicroSDカードのルートにコピーしておきます。
●MiSTerSindenDriver
https://github.com/MrLightgun/MiSTerSindenDriver
MiSTer FPGAを起動して、メニューから「Scripts」を選択。ひとつ上の階層に移動すると「Install_SindenLightgunDriver.sh」があるので、そちらを選択してインストールを開始しましょう。


用意されているドライバーは3種類
MiSTer FPGAで採用されているDE10-nanoボードには、パワー不足なARM CPU (800Mhz) に加えて、Linuxには必要最低限の機能しか用意されていません。そのため当初は『Sinden Lightgun』を動かすことは不可能だと考えられていました。
その後ドライバーの開発を進めていく中で、低リソースとでオフと、最大リソースの3種類のモードが生まれています。低リソースでは、トリガーを引いたときのみビデオ処理が行われるため、コアの4パーセントしかリソースを消費しません。
ドライバーはメインメニューの「Scripts」から実行できます。通常はデフォルトを選んでおけばいいでしょう。
●デフォルト
SindenLightgunStart_Default.sh
●低リソース
SindenLightgunStart_LowResource.sh
●最大リソース
SindenLightgunStart_MaxResource.sh


MiSTer FPGAのシステムでコントローラーを設定
他の光線銃同様に、まずはMiSTer FPGAのメニューから「Define joystick buttons」を選び、システム側でコントローラーを設定しておきます。このボタンを設定するときに注意しなければならないのは、光線銃の動きはアクションとして割り当てられてしまうため、ボタンを設定するときは光線銃の先を手で押さえながら設定したほうがいいでしょう。
- 「DPAD test:Press RIGHT」:Sinden Lightgunの十字キーの右
- 「Stick 1 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- 「Stick 2 Test:Tilt RIGT」:Undefine(キーボードのスペース)
- ボタンの設定:R→L→D→Uの順に十字キーの(右左下上ボタン)を押していく
- A、B、X、Y、L、R、SelボタンはUndefine(キーボードのスペース)でスキップする
- StartはSinden Lightgunの左前ボタンを押す
- マウス関連の設定はUndefine(キーボードのスペース)でスキップする
- 「MENU」:Sinden Lightgunの左後ボタン
- 「MENU:OK」:Sinden Lightgunの右前ボタン
- 「MENU:Back」:Sinden Lightgunの右前ボタン
- 残りの項目はUndefine(キーボードのスペース)でスキップする

NES(ファミコン)コア内で設定
コアから「NES_Sindin」を選んで起動し、その後『ダックハント』のROMを読み込むだけでOK! 特別な設定をすることなく、遊ぶことができます。ボタンの配置が気に食わない場合は、システム側のボタン配置で好みのものに変更しましょう。
PSX(PlayStation)コア内で設定
コアから「PSX_Sindin」を選んで起動し、その後ゲームを読み込ませます。このときに重要なのは、必ずコントローラーの十字キーを利用すること。特にコア側の設定は不要でゲームをプレイすることができます。
リソースを多く消費するタイトルでもあるためパフォーマンスはやや落ちる気もしますが、ゲームその物は問題なくプレイできる印象です。
このように、『Sinden Lightgun』に対応しているコアに関しては、専用のものが新たに作られるので、そちらを利用して遊ぶことになります。ゲームを起動すると枠が表示されますが、それ以外はかなり快適にゲームをプレイすることができます。
Sinden Lightgunによる光線銃のまとめ
毎回スクリプトを起動する必要はあるものの、専用のコアが用意されているためコア側のセットアップをする必要もなくすぐにゲームが遊べるのは、『Sinden Lightgun』の最大の利点かもしれません。
操作した感覚としてはガンコン3にも近く、かなり快適にゲームをプレイすることができました。ただし、『タイムクライシス』など一部音切れが発生するものもあります。今回は振動無しバージョンを入手しましたが、振動付きバージョンでも遊べるようなので興味がある方はチェックしてみてください。