話題のゲーミングUMPC『Steam Deck(スチームデック)』を手に入れてから、様々なセットアップを堪能してきましたが、その中のひとつが複数のエミュレーターを一気に入れることができる『EmuDeck』です。
『Steam Deck』では概ねどのエミュレーターも快適に遊べる印象でしたが、中でもかなりいい感じで動いていたのがPlayStation 2とWii Uでした。そこで今回は、Wii Uエミュレーターの『CEMU』をさらに深掘りしてチェックしてみました。
まずはエミュレーターをセットアップする必要がありますが、まだの人は下記の記事を参考にしてください。
Wii UのROMを吸い出す
ROMの吸い出しはWii U本体を使用します。ざっくりいうと『Haxchi』と呼ばれるCFWを導入したWii Uを利用し、『disc2app』というアプリでUSBメモリーにゲームデータを吸い出します。『Haxchi』の導入に関する細かな手順は割愛しますが、以下は簡単な流れです。
USBメモリーは最低でも25GB必要で、FAT32でフォーマットしておく必要があります。『Haxchi』を起動して『disc2app』をメニューから呼び出し、下記のメニューが表示されたらBボタンを押します。
下記のメニューが出たら吸い出すディスクを本体に入れて待ちましょう。
吸い出した終わったらメニューに戻るので、SDカードを抜いてPCにコピーします。ちなみに吸い出したファイルは下記のような感じですが、このままでは『CEMU』で読み込むことはできません。そこで、『cdecrypt』と呼ばれるツールで変換します。
変換の方法は至って簡単。上記のファイルを全て選択し、cdecrypt.exeにドラッグ&ドロップするだけです。自動的に変換が始まるので、終わるまで待ちます。
変換が終了すると、「code」、「contnt」、「meta」の3つのファイルができます。元のファイルは入らないので、消してもOKです。
この3つのフォルダを含むフォルダ(ゲーム名などを付けておく)を『Steam Deck』のmicroSDカードにコピーしましょう。
パフォーマンスチェック
まずはパフォーマンスチェックとして以下のゲームを試してみました。この中で『スターフォックス ゼロ』のオマケゲーム『スターフォックスガード』は割愛しています。
全般的には30FPSまたはものによっては60FPSで動くものもあり、ほぼ快適に動作します。これだけ実機並みに動くと、いろいろなゲームを集めてみたくなるから不思議ですね。
タイトル | 平均FPS |
---|---|
マリオカート8 | 60FPS |
ゼルダ無双 | 30FPS |
スターフォックス ゼロ | 60FPS |
ゼノブレイドクロス | 30FPS |
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD | 30FPS |
進め!キノピオ隊長 | 60FPS |
ゼルダの伝説 風のタクト HD | 30FPS |
スプラトゥーン | 60FPS |
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド | 20FPS |
マリオカート8
ほぼ60FPS張り付きっぱなっしだったのが、『マリオカート8』です。キー操作も含めて、Wii Uとの差もほとんど感じません。よくよく考えてみれば、Wii Uのコントローラーである『Wii U GamePad』もそこそこの重さがありました。
調べてみたところ、『Wii U GamePad』が約494kg、『Steam Deck』が約648gとなっており、若干『Steam Deck』の方が重いですが、ゲームを遊ぶ感覚自体が似ている気がします。
ゼルダ無双
無数の敵がわらわら出てきたところを、草を刈っていくが如く倒していくのが爽快の無双シリーズ。本作でもその快感はそのままです。キャラクターが多数出てくるところでは、一瞬フレームレートが下がる場面もあるものの、平均的にはほぼ30FPSをキープしている感じでした。
スターフォックス ゼロ
モードによっては360度自由自在に宇宙を飛び回ることができるアクションシューティングゲームの『スターフォクス ゼロ』。操作そのものも快適でしたが、ほぼ60FPS張り付きっぱなっしとなっており、全体的に不満に感じるところが少なくなっています。
ゼノブレイドクロス
『ゼノブレイドクロス』は、ムービーシーンと戦闘や移動シーンなどがおり混ざっていますが、いずれも30FPSをキープした状態になっており、プレイにはまったく支障がなさそうな印象でした。
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD
馬に乗って爽快に疾走するなど、ほかのゼルダシリーズとはひと味違ったアクションが楽しめる『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD』。本作もムービーシーンやアクションシーンなどがおり混ざっていますが、いずれも30FPSをキープしており、快適にプレイすることができます。
進め!キノピオ隊長
画面を回転して視点を変え、進むポイントを見分けていうという、ちょっとしたパズル要素が楽しめる『進め!キノピオ隊長』。アクション性はそれほど高くないものの、じっくり遊べるゲームという意味では『Steam Deck』のようなゲーム機との相性も良さそうです。
本作も60FPSに張り付きっぱなっしといった感じで、かなり快適に遊ぶことができます。
ゼルダの伝説 風のタクト HD
ゲームキューブ版は中華エミュ機などでもちょくちょくプレイすることがありますが、多くの場合音が途切れがちになるなどそれほど快適とは言いづらい状態でした。しかし、こちらはどのシーンも30FPSをキープしており、まったく問題なく遊ぶことができます。
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
ゲーム自体は遊べるものの、他のタイトルと比べて平均的なFPSが20とやや低めのすこあとなっているのが『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』です。下記にそれを改善する手段もあるようで、そちらを適応することで平均40FPSぐらいまでは上げることが可能とのこと。
Redditに『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のパフォーマンスを向上差せるための設定方法について議論が交わされていました。こちらは試してませんが、興味がある方はチェックしてみてください。
●『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を Steam Deckで完璧な40fpsのパフォーマンスで実行するためのガイド
https://www.reddit.com/r/SteamDeck/comments/uv0us5/updated_guide_to_get_legend_of_zelda_breath_of/
ジャイロはタイトルによって使えたり使えなかったり!?
Wii Uといえば、その特徴のひとつが『Wii U GamePad』を傾けてゲームを操作することができるジャイロ操作です。その代名詞ともいえるタイトルが『スプラトゥーン』ですが、ネットプレイはできないものの、試し撃ちなどでどんな感じなのかチェックしてみました。
ジャイロの設定はデフォルトではオフになっていることがあります。STEAMボタンをゲーム中に押してコントローラ設定を開き、「ジャイロ動作」を「ジョイスティックとして使用」にしておきます。そこにある歯車を押してさらに細かい設定もできるのですが……この『スプラトゥーン』の場合、左右の操作はジャイロが効くのですが、なぜか上下はまったく反応せず。
何をやってもうまくいかなかったので、『CEMU』その物の対応を待つしかなさそうという印象です。
『スプラトゥーン』がダメなら他のゲームもダメなのか? というと、そうでもないところが、よくわからないところ。『スターフォックス ゼロ』もジャイロ操作を使いますが、上下に関してはスティック操作も行えるため、それおど影響はなさそうな印象でした。
『ゼルダの伝説 風のタクト HD』もジャイロ操作で望遠鏡をのぞき込むことができますが、こちらはまったく問題なくジャイロで動かすことができます。
このジャイロ操作に関しては、海外でも話題になっており、独自のツールを利用するという手法もあるようです。ただし、『CEMU』自体のバージョンアップが細かく行われていることに加えて、そのバージョンにツール自体も会わせていく必要があるため、あまりおすすめできないかもしれません。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で、ジャイロを有効にするための設定について紹介した動画がYouTubeにあったのでご紹介しておきます。情報が古くなっているかも知れませんが、チェックしておいても損はないでしょう。
最初に設定しておいた方がいい項目
最後に紹介することじゃないかもしれませんが、『CEMU』を使う上でいくつかやっておいたほうがいい設定があることがわかったのでご紹介しておきます。
エミュレーターの言語を日本語にしておく
そのままでもゲームを遊ぶことはできますが、タイトルによってはゲームで設定されているリージョンではなく、エミュレーター側で設定されている言語を参照しているものがあります。たとえば、『マリオカート8』がいい例で、デフォルトのままではゲーム内の表示が英語表記になってしまいます。
それを直すために、デスクトップモードで起動して、『CEMU』を単体で立ち上げましょう。言語を設定できるところは2ヵ所ありますが、一応両方変えておいたほうがいいでしょう。ひとつは、「Option」の中にある「Console Language」です。
もうひとつは、同じく「Option」の中にある「General settings」です。その「General」タブの「Interface」に言語を設定するところがあります。
とりあえずこのふたつを設定して『マリオカート8』を起動したところ、無事日本語のメニューで表示されるようになりました。
コントローラーのテンプレートを「EmuDeck – Cemu」にしておく
Wii Uでは、通常のディスプレイに出力する映像とは別に『Wii U GamePad』にも別の映像が表示されることがあります。たとえば『スプラトゥーン』なら、ディスプレイには対戦中の映像が表示され、『Wii U GamePad』にはマップと塗り状況、味方やや敵の位置といった情報が見られます。
そのためこの映像を切り替えるようにボタン配置したテンプレートにしておくことをオススメします。
設定の仕方は簡単で、ゲームを起動して「STEAM」ボタンを押し、「コントローラ設定」を選択します。画面中央下に白い帯で「コントローラ設定」とあるので、そちらをタップしましょう。
現在のレイアウトのところにあるテンプレートをクリックするとリストが表示されます。その中から「EmuDeck – Cemu」を選択しましょう。
設定後は、本体背面のR4キーなら押している間画面が切り替わり、R5ならメインと入れ替わりで表示されるようになります。
ということで、主にジャイロ関係で少し気になるところはあるものの、全体的にパフォーマンスが高いためかなり快適にゲームをプレイすることができます。なんにしろ、これらのゲームを持ち歩いていつでもどこでもプレイ出来るようになるのは素晴らしいですね!