Macho Nacho ProductionsがYouTubeで2022年7月1日に公開した、『PicoBoot』に関する情報をまとめてみました。
ゲームキューブの改造modとして、長らく『XENO GC』が使われてきました。今回の動画で紹介されている『PicoBoot』は、webhdx氏によって開発された、まったく新しいmodチップです。その特徴は、安価で手軽に入手できる『Raspberry Pi Pico』を利用しているところ。
●webhdx氏のツイッターアカウント
https://twitter.com/webhdx
『PicoBoot』では、特別なブート用のディスクや既存のゲームの脆弱性を利用することなく、システムの電源を入れてから直接Swissを起動することができるところです。また、ハンダ付けは必要なものの、改造としては比較インストールが簡単な部類に入り、安価で利用することができるオープンソースのプロジェクトというところも特徴のひとつとなっています。
『PicoBoot』の生みの親であるwebhdx氏は、任天堂のコンソールに情熱を燃やしているポーランド出身ソフトウェア開発者です。用意するものは、『Raspberry Pi Pico』と『SDGCKO』または『SD2SP2』といったアダプターです。後者のほうは、日本のアマゾンでも719円ほどで入手が可能になっています。
『SD2SP2』は、ゲームキューブのシリアルポート2を利用してSDカードを接続するためのアダプターです。もちろん、それ以外にもmicroSDカードが必要になります。
『XENO GC』の場合、Swissを起動するために特別なブートCDが必要でした。また、いくつかのゲームの脆弱性をついて起動する手法もありますが、どちらも利便性がいいとはいいがたい状況です。
また、『XENO GC』の場合、はんだポイントを利用使用とした結果、DVDドライブ自体が壊れてしまったというホラーストーリーもあります。これは、製造元による最適な許容誤差が存在しないため、はんだ接続が不良になってしまう場合があることから起きる現象のようです。『PicoBoot』は『XENO GC』の代替手段として最適なソリューションといえそうです。
『PicoBoot』の主な機能は、自作したソフトを直接起動できるところです。特別なブートディスクなどは不要で、シームレスにSwissが実行できます。
もうひとつの特別な機能は、起動時にBまたはX、Yボタンを押し続けるとことで、最大3つのhomebre.dolファ見るが起動できるところです。たとえば、ゲームボーイプレイヤーを利用したいといったときにも、活用することができます。
『PicoBoot』は、将来的なアップグレードにも対応しています。ファームウェアの更新は、ゲームキューブのケースを開けてUSBで接続することで簡単に行えます。プロジェクト自体はオープンソースであるため、コミュニティによる新たな機能が追加される可能性もあります。
『PicoBoot』の優れた点は、10ドル未満のコストで実現できるところです。『SD2SP2』も安価なので、全体としてそれほどお金は必要ありません。ただし、インストールにはハンダ付けという作業が入ります。ハンダ付け不要でプラグ&プレイで利用できる『GC Loader』ほどのお手軽さはありません。
しかし、『GC Loader』は高価ですぐに入手することができないため、やはりその点でも『PicoBoot』は優れているといえるでしょう。
webhdx氏は、この『PicoBoot』の将来についてハンダ付けとインストール作業を遥かに簡単にするためのクイックはんだリボンに取り組んでいます。また、シリアルポート1にm.2 SSDを接続できるmodにも取り組んでいるとのこと。SSDが利用できるようになれば、容量的にもmicroSDカードを大きく上回るため、さらに利便性が向上しそうです。