日本でもふたりのテスターが日々ゲームの動作報告を行ってくれている、マルチレトロゲーム互換機の『POLYMEGA』。そちらで採用されているエミュレータのひとつが『Mednafen』です。『POLYMEGA』自体の印象としては、フロントエンドを見栄え良く作っておりその裏でいくつかのエミュレータを機種ごとに分けて動かしているようですが、そのためもあってか、エミュレータごとに動作に統一性が見られないなどの甘い面もいくつか目に付いてきました。
なかでも、PlayStationのゲームは元々のタイトル数の多さから把握することが難しく、動かないゲームも多いようです。そこで、そもそもその大元になっているエミュレータでは動いているのか? という疑問を持ったため、ちょっとだけ検証してみることにしました。
エミュレータ『Mednafen』のセットアップ
『Mednafen』は、OpenGLとSDLを利用した、コマンドラインで動かすマルチエミュレータです。そのため、本体だけ入手してもいまひとつ使い方がわかりにくいという特徴があります。何はともあれ、下記の公式サイトから最新バージョンを入手しておきましょう。
●Mednafen公式サイト
https://mednafen.github.io/
ランチャーをダウンロード
『Mednafen』にはいくつか対応したランチャーがありますが、今回は『MedGui Reborn』を使用しました。下記のサイトにアクセスして、こちらも最新バージョンを入手しておきましょう。
●MedGui Reborn&MetroMedダウンロード
https://sourceforge.net/projects/medguireborn/
エミュレータのセットアップ
ダウンロードしたエミュレータ本体とラウンチャーを解凍して、任意のフォルダに入れておきます。今回はPlayStationだけの調査ですが、こちらのエミュレータを動かすにはBIOSファイルが別途必要になります。具体的には、日本のゲームを動かす場合はSCPH-5500 / v 3.0J BIOSイメージが必要です。そちらを入手したら、『Mednafen』が入っているフォルダの中の「firmware」フォルダ内にBIOSファイルを「scph5500.bin」という名前で入れておきましょう。
●Mednafen Sony PlayStationのドキュメント
https://mednafen.github.io/documentation/psx.html
PlayStationゲームソフトのリッピング
ランチャーのセットアップの前に、PlayStationのゲームをいくつかリッピングしておきましょう。具体的に使用するのは、『CD Manipulator』というツールです。下記のサイトにアクセスして、「Version 2.70 Final」を入手してください。
●CD Manipulator跡地
http://www.storeroom.info/cdm/
ゲームディスクをPCのドライブにセットして、「CdManipulator.exe」を起動します。「ウィンドウ」からTOCウィンドウを選び、そこに表示されているものをすべて選択しましょう。
ここで下の赤枠で囲ったボタンを押します。
メニューが表示されるので、「検索」ボタンを押して、ファイルの保存先を選んでファイル名を付けましょう。このとき英数字だけでファイル名を付けるようにしてください。設定では、「マルチセッションモード」を選択。「高度な設定」「プリギャップ解析」「正しいTOCとギャップ情報の取得」「エラーの無視」にチェックを入れておき、「OK」ボタンを押すとリッピングが開始されます。
TOCウィンドウを表示させたときに、通常は種類が「Data」だけのトラックがひとつだけのパターンが多いですが、『リッジレーサー』などでは「Audio」ファイルが別トラックになっていました。そのため、マルチセッションモード以外でリッピングしてしまうと、うまくエミュレータで起動できない場合があるようです。
ランチャーの設定
『MedGui Reborn』のフォルダ内にある「MedGuiR.exe」をクリックして起動しましょう。最初に『Mednafen』があるフォルダの場所を指定します。左側のタブから「Rom Path 2」を選び、PlayStationのゲームROMがある場所を指定しておきます。
左上のリストから「psx」を選択すると、先ほど指定したフォルダにあるROMが一覧で表示されます。
というわけで、今回試したタイトルは『ファイナルファンタジーⅦ』『ディアブロ』『ぼくのなつやすみ』『ゼビウス 3D/G+』『バイオハザード』『リッジレーサー』『ルパン三世 カリオストロの城 ―再会―』という、ランダムにチョイスした7本。いずれもほぼ問題なくゲームをプレイすることができました。
いわゆる親亀にあたるエミュレータ部分でゲームが問題なく動かすことができるならば、それを利用している『POLYMEGA』でも今は動かないソフトも問題を解決して遊べるようになるのは、そう遠い時期ではなさそうですね。