ここのところFPGA系のレトロゲーム互換機にハマリつつありますが、その元祖とも言えるのがRetroUSBから2016年に発売された『AVS』と呼ばれる、ファミコンとNESの互換機です。
その最大の特徴は、「FPGA(Field Programmable Gate Array)」と呼ばれる半導体チップを採用し、ゲーム機内部に採用されていたチップ類を論理回路で再現。オリジナル同様の性能を再現できるところです。
ソフトウェアエミュレーションでは、各回路をシミュレーションしているためどうしてもCPUへの負荷が高くなりがちです。また、再現性もやや劣ってしまうことがあります。「FPGA」はいわばハードウェアエミュレーションともいえるもので、完璧ではありませんがこれまで触ってきた互換機は、本機を含めてハズレがないと感じるほどの完成度を持っています。
『AVS』とほぼ同様のコンセプトを持った互換機に、ワシントン州シアトルに本社を置くAnalogueの『Nt mini』がありますが、あちらは約500ドルと高額な上に品切れ状態になっています。それと比較して、『AVS』は209ドルで販売されており、現在でも入手が可能です。
注文から約2週間で到着。送料は3種類から選択が可能だが・・・・・・
『AVS』は、オークションなどを除き現状日本で取り扱っているお店はないため公式サイトから購入する必要があります。少し前にAnalogueから『Mega Sg』を購入したときは、なんとわずか3日間で配達されて驚きましたが、なるべく早く手に入れたいという思いもあり、一番高い送料のオプションを選択してみました。
●RetroUSB公式サイト
https://www.retrousb.com/
基本的にUSPSで送られてくるため時間が掛かりますが、送料のオプションにより追跡の有り無しや梱包のレベルが変わるようです。
USPS Parcel Post (バブルメーラー、トラッキングなし):73.00
USPS Priority Mail (箱入り、トラッキングなし) :62.00
USPS Express Mail (箱入り、追跡あり):86.00
今回は本体185ドル+送料86ドルの271ドルで、日本円では3万158円掛かりました。
日本までの道のりは、もはや『アメリカ横断ウルトラクイズ』かよ! というレベルのチェックポイントの多さでびっくり
結論から言うと、4月2日の23時12分に注文して、荷物を受け取ったのが4月16日11時43分でしたが、いや~この期間が長かった! USPSのサイトから動きがある度にメールが送られてくるようにしたのですが、ちょくちょくアップデートが入ったり謎に5日ほ放置されていたりということもあったためか、より長く感じられたのかもしれません。
全然関係ない話しですが、この頃ツイッターで『アメリカ横断ウルトラクイズ』の話題を見かけて、そういえばうちにも第14回の最終週のみ録画したビデオがあることを思い出しました。この回はこれまでのメイン司会者であった福留功男氏が全編を通して出場した最後の回。また、日本テレビが映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』とタイアップしていたことから、オープニングのほか、この最終週では「バック・トゥ・ザ・フューチャークイズ」という週またぎの時差を活用したユニークなクイズも出題され、かなり楽しい内容となっていました。
というクソ長い枕詞を元に見ていただきたいのが、下に記載した荷物のルート。まさに『アメリカ横断ウルトラクイズ』かよ! とでも言いたくなるようなチェックポイントの多さでした。一番高い送料のオプションを選びましたが、特に早く届くということはありません。ただし、海外から送られてくるので梱包はしっかりされているのにこしたことはないので、そういう意味では良かったと思います。
April 2, 2020, 2:12 pm
Shipping Label Created, USPS Awaiting Item
REDWOOD CITY, CA 94061
April 2, 2020, 5:23 pm
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
REDWOOD CITY, CA 94061
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 2, 2020, 10:49 pm
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
SAN FRANCISCO, CA 94188
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 2, 2020, 11:56 pm
Departed Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
SAN FRANCISCO, CA 94188
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 12:17 am
Departed Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
SAN FRANCISCO, CA 94188
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 12:48 am
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
OAKLAND, CA 94615
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 3:44 am
Departed Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
OAKLAND, CA 94615
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 5:41 am
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
HAYWARD, CA 94544
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 8:10 am
Departed Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
HAYWARD, CA 94540
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 3, 2020, 10:32 am
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
HAYWARD, CA 94540
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 8, 2020, 6:04 am
Arrived Shipping Partner Facility, USPS Awaiting Item
HAYWARD, CA 94545
Shipping Partner: GLOBEGISTICS INC_JFK_PARCEL MODULE
April 9, 2020, 11:30 am
Arrived at Regional Facility
SAN FRANCISCO CA INTERNATIONAL DISTRIBUTION CENTER
April 9, 2020, 11:31 am
Processed Through Regional Facility
SAN FRANCISCO CA INTERNATIONAL DISTRIBUTION CENTER
April 12, 2020, 12:51 am
Arrived
SAN FRANCISCO, UNITED STATES
April 12, 2020, 6:08 am
Departed
SAN FRANCISCO, UNITED STATES
April 12, 2020, 7:09 pm
Departed
LOS ANGELES, UNITED STATES
April 13, 2020, 11:37 am
Departed
SEATTLE, UNITED STATES
April 14, 2020, 2:12 pm
Departed
TOKYO, JAPAN
April 15, 2020, 2:15 am
Processed Through Facility
JAPAN
April 15, 2020, 4:29 am
Customs Clearance
JAPAN
April 15, 2020, 4:30 am
Held in Customs
TOKYO INT, JAPAN
April 15, 2020, 3:50 pm
Customs Clearance Processing Complete
JAPAN
April 15, 2020, 3:51 pm
Processed through Facility
TOKYO INT, JAPAN
April 16, 2020, 6:01 am
Arrival at Post Office
JAPAN
Your item has arrived at the delivering post office in JAPAN at 6:01 am on April 16, 2020.
『AVS』の中身をチェック!
いつもの通り、余談長過ぎって感じですが、早速中身をチェックしていきましょう。箱に同梱されていたのは、本体の他HDMIケーブルと電源用のUSBケーブル(Type-Aとmini USB Type-B)、電源用のアダプタとマニュアルです。
電源に関しては、PCに接続しても供給することができましたが、電源回りがシビアという話しもあるので、念のためアダプタを取り付けて供給したほうがいいでしょう。
ファームウェアをアップデート
届いた時点では最新のファームウェアにはなっておらず、初期のままとなっていました。そのため、まずPCと接続してファームウェアの更新を行った方がいいでしょう。ちなみに最初に動作確認時にいくつかのタイトルを遊んでみましたが、ファームウェアを更新していない状態では音が途切れてしまう場面もありました。更新後はそうした不具合は解消されていました。
公式サイトの『AVS』の商品ページ下部に、最新のファームウェアのファイル(現時点ではVS v1.40b4.bin)と、アップデートに使用する『Scoreboard』と呼ばれるソフトウェアをダウンロードします。『Scoreboard』のほうは、PC版とMac版が用意されているので、自分の環境に合わせてダウンロードしましょう。
よくわからないときは、下記の動画を参考にしてみてください。
今回はウィンドウズマシンを基本に紹介しますが、PCと『AVS』をUSBケーブルで接続した後で、『Scoreboard』を起動します。タブの「Console details」が緑色になったら、「Transfer」メニューから「Upgrade Firmware」を呼び出し、最新ファームのファイルを選択します。
あとはパッチが当たるのを待ち、「Done.」の表示が出たらファームウェアのアップデートが完了です。
『AVS』の各部をチェック
最近の○○ミニではないですが、FPGA系のレトロゲーム互換機の多くは、基本的にプラグアンドプレイで使えるシンプルさもウリのひとつとなっています。本体前面には4つのコントローラーポートが搭載されており、それとは別に電源ボタンとリセットボタンが配置されています。
このコントローラーポートですが、NESで使われていたものはもちろんのこと、ニューファミコンに付属しているものもそのまま利用することができました。
ビデオ:720pワイドスクリーンHDMI出力。60Hz(NTSC)と50Hz(PAL)をサポートし、世界中のテレビと互換性あり
オーディオ:ゲームカセットからの拡張オーディオをサポートする48kHz HDMI出力
ディスプレイ:整数オプション(1:1、4:3、5:3)を含む可変ピクセルスケーリング、オプションの可変暗さスキャンライン
対応カセット: NESとファミコンの両方のスロット。すべての地域とすべてのカート、NTSC、PAL、フラッシュカート(PowerPak)、パイレーツ、ハック、Homebrewsなどをサポート
ポート:内蔵NES Four Score Pro、ファミコン拡張ポート
出力:HDMIタイプA(ビデオおよびオーディオ)
電源:電源とデータ用のUSBケーブルが付属。5VのUSBポートまたは電源アダプターを使用して電源供給が可能。PCに接続して、簡単にファームウェアの更新ができる
チート: Game Genie、Pro Action Replay、Pro Action Rocky、およびraw形式をサポートする組み込みコードデータベースを備えた5つのチートコードスロット
アップデート: USB
前面のふたをパカッと開けるとソフトが差し込めるようになります。ちなみに手前が日本のファミコン向けのカセットスロットで、奥側がNES仕様のスロットになっています。ファミコンは立てて差し込みNESは寝かせて差し込むといった感じですね。
ディスクシステムやEverDriveにも対応
何で日本のカセットは縦向きに挿す仕様になっているのか不思議に思っていましたが、これのおかげでディスクシステムのユニットがそのまま差し込めるようになっています。・・・・・・といっても、若干ケーブルの部分が干渉してしまいますが、まぁ使用自体には不具合はありませんでした。
赤いドライブ部分まで接続するのは面倒だったので、FDSでチェックをしています。
POLYMEGAやレトロフリークなどの互換機との大きな違いのひとつに、マルチカートリッジである『EverDrive』を実機同様に使用できるところがあります。特に動作的な問題もなく、ゲームをプレイすることができました。
『AVS』のメニュー
『AVS』を起動するとメニューが起ち上がります。カセットを挿した状態で「Start Chart」を選ぶと、すぐにゲームをプレイすることもできます。そのほか、「Cheat Codes」「Input Options」「Video Options」「Scoreboard」といった項目が用意されています。
Video Options
まずは「Video Options」。こちらでは、映像に関する様々な設定が行えます。「Video Mode」はデフォルトの「NTSC」のままでOK。「Pixel Aspect」は水平の「Vert Border」では垂直映像の調整を行うのに使用します。
ちなみに本機の映像出力は720pのみで、他に選択肢はありません。720pは、元の映像である240pの単純な3×整数スケールであるため、これを固定していることは本機の価格を抑えることにも繋がっています。
「Scanlines」の項目は、ブラウン管テレビで出力したような走査線を加えるかどうかの設定です。デフォルトではOFFになっています。
ユニークな機能が「Extra Sprites」です。デフォルトではOFFになっていますが、ファミコンのソフトでは通常スプライトは8個までしか表示できず、横方向に5個以上並ぶとちらつきが発生します。こちらをONにすることで、このスプライトの数を増やしてちらつきを無くすことができます。
「Palette」では、4種類のカラーパレットを選ぶことができます。デフォルトは「Original」で、「FCEUX」にするとエミュレーターやレトロフリークでよく見かけるような色合いになります。
Input Options
「Input Options」も最初に設定しておきたい項目のひとつです。ゲームプレイ中、設定を変更するのに『AVS』のメニューを呼び出したくなることがありますが、デフォルトではショートカットキーがアサインされていません。そこで、この「Input Options」から「Menu Button」を選んで好みのキーの組み合わせを設定しておきましょう。
項目を選ぶとカウントダウンが始まるので、そこで設定するキーをコントローラーで押します。同様にチートコードの呼び出しもこちらで設定が可能です。
「Expansion Emu」は、『アルカノイド』のコントローラーなどを米国のゲームで使用するときなどにONします。「Turbo」は、AボタンとBボタンの連射を設定することができます。「Auto Play」は、ONにすることで通常のファミコンのようにカセットを挿した状態で電源を入れるとメニューを表示せずに、すぐにゲームが遊べるようになります。
Cheat CodesとScorebord
「Cheat Codes」は、その名の通りチートコードが利用出来るモードです。既存のチートコードを入力するか、挿しているカセットのチートコードがこちらで自動で表示されるため、それを選んで適用することができます。
「Scorebord」は、NintendoAGE.comと連動してハイスコアを競えるモードですが、現在はユーザー登録を受け付けていないことから、どうやら機能していないようです。その代わりといってはなんですが、現在のファームウェアのバージョンをチェックするときに利用できます。
ソフトをチェック!
燃えろ!!プロ野球
『燃えろ!!プロ野球』には、「uPD7756」と呼ばれるNECのADPCMスピーチチップが搭載されており、そちらを介して「プレイボール」などの音声を出力しています。そうしたこともあってか、レトロフリークやEverDriveではゲーム自体は遊べるものの音声は再生されません。
ちなみに余談ですが、レトロフリークはカセットを挿してデータを吸い出さない設定を選んでも、内部で一時的にゲームデータが保存されそちらを利用して読み込みが行われているようです。そのため、カセットを挿した状態でもやはり音声は再生されることはありませんでした。
ということで真っ先にチェックしてみたのですが、こちらはしっかりと音声も再生されることを確認しました。
※『燃えろ!!プロ野球』の音声に関しては下記のサイトで細かく紹介されていたので、興味がある人はチェックしてみてください。
●燃えプロの音声を生で聴く装置を作っています | kohacraftのblog
https://kohacraft.com/archives/1073743020.html
アメリカ横断ウルトラクイズ 史上最大の戦い
せっかくなので、ウルトラクイズ繋がりでファミコンゲーム『アメリカ横断ウルトラクイズ 史上最大の戦い』もプレイしてみました。ウルトラクイズと言えば、東京ドームからスタートして国内予選を通過して海外へ向かっていくという、番組の内容を追体験出来るはずですが・・・・・・。ん? なにこのRPG的な始まりは?
そこからかよ! という感じで、まずはさんかハガキを受け取り駅に向かうことに。これがまた、無意味にアクションゲーム風になってます。道路を歩いて行くのですが、途中で車にひかれるとあっという間に自宅に戻されてしまいます。いったい、これなんの意味があって入れたのでしょうか!?
なんとか東京ドームに到着。留さん(?)が車でやってきて、おなじみのセリフを言ってくれます。
留さんの掛け合いが終わると、いよいよクイズがスタート。最初は○×クイズで、5問の問題が出題。この中から100人に残ることができると、次のチェックポイントに行くことができます。
しかし、2問目で間違え、その瞬間ぶっ飛ばされてゲームオーバーに。なかなかシュールな内容ですが、ウルトラクイズファンならかなり楽しめるのではないでしょうか。
『AVS』はレトロゲーム互換機の極上自家製ビールだ
・・・・・・ということで、普通にゲームを楽しんでしまいました。FPGA系のレトロゲーム互換機にハズレ無しというのは今回も実証されたようです。『AVS』の公式サイトには「新しいパーツをすべて使用した最初のNES自家製ビールをお届けします」というような文言が書かれています。この通り、ホームメード風なところもあるものの、モノとしての作りはしっかりとしており、多くのユーザーから賞賛を浴びた理由が触ってみても感じ取ることができました。今後も、機会があれば新たなマシンを手に入れてご紹介していきたいと思います。