レトロゲームをPC上で動作させる非公式移植プロジェクトを、まとめて管理できる無料ランチャー『Fulton』が公開されています。
本ツールは、TriwindBryan氏が開発しているもので、ゲームの逆コンパイル(Decomp)や再コンパイル(Recomp)などによって制作されたPC移植版を検索し、インストールやアップデートまで行えるのが特徴です。
2026年10月31日には、Beta 0.0023(build 1.56)が公開されました。今回のアップデートでは、対応作品の検索機能が強化されたほか、インストール済みタイトルの更新状況を確認し、一括でアップデートする機能などが追加されています。
●Fulton公式GitHub
https://github.com/TriwindBryan/fulton
●Beta 0.0023(build 1.56)ダウンロードページ
https://github.com/TriwindBryan/fulton/releases/tag/v1.56
非公式PC移植をまとめて管理できるランチャー
近年、NINTENDO64などのレトロゲームをPC向けに移植する、さまざまなプロジェクトが登場しています。こうした移植版の多くはGitHubなどで公開されていますが、実際に利用するには個別の配布ページを探し、必要なファイルをダウンロードする必要があります。
『Fulton』は、そうした作業をまとめて行えるランチャーです。対応するPC移植プロジェクトを検索し、公式GitHubからプログラムをダウンロードしてインストールできます。導入後はランチャー上からゲームを起動できるほか、新しいバージョンが公開された際のアップデートにも対応しています。
標準カタログには27件のプロジェクトが登録されており、そのうち25件はインストール可能な移植版です。さらに「Find more」機能では、コミュニティが公開しているカタログなどを利用して、数百件の非公式移植プロジェクトを検索できます。
ただし、検索結果には開発中のプロジェクトや、自分でビルドする必要があるものも含まれています。なお、本ツールは以前『Cartridge』という名称で公開されていましたが、Beta 0.0020から『Fulton』へと改称されています。

ROMの形式や地域、リビジョンも確認可能
『Fulton』の特徴のひとつが、ユーザーが所有するゲームのROMファイルを管理できることです。ROMを保存したフォルダーを登録すると、サブフォルダーやZIP、7z形式の圧縮ファイルなども検索対象となり、ゲームの情報を読み取ります。
対応するROMについてはNo-Introのデータベースなどを利用し、タイトルだけでなく、地域やリビジョンも照合できます。
たとえば、同じゲームであっても日本版と北米版ではデータが異なる場合があります。PC移植プロジェクトによっては特定の地域やリビジョンのROMが必要になるため、こうした違いを確認できるのは便利なポイントです。
対応するROMが見つかった場合は、ゲームごとの要求条件と照合され、適合状況が表示されます。また、NINTENDO64のROMで使われる「.n64」や「.v64」を「.z64」形式へ変換する機能も備えています。
ROMファイルは基本的に元の保存場所に残され、必要に応じて変換済みファイルなどが別途作成される仕組みです。
なお、ROMの認識機能はファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイアドバンス、NINTENDO64など幅広いゲーム機に対応していますが、認識できるゲームがすべてPC移植版として遊べるわけではありません。
実際にプレイできるかどうかは、対応する移植プロジェクトの有無や、その動作条件によって異なります。
■検索機能を強化! アップデートの一括管理にも対応
10月31日に公開されたBeta 0.0023(build 1.56)では、検索機能やアップデート機能が大幅に強化されています。「Find more」ではゲーム名による検索に加え、対応するOSやプロジェクトの状態、更新時期などによる絞り込みが行えるようになりました。
検索欄に「new」や「updated」と入力することで、新しく追加されたプロジェクトや、最近更新されたものを探すこともできます。また、新たに「Updates」ページが追加され、インストール済みのゲームのうち、新しいバージョンが公開されているものを一覧で確認できるようになっています。
更新内容を確認したうえで個別にアップデートできるほか、「Update all」を利用した一括更新にも対応。更新前にはセーブデータのバックアップも行われます。このほか、背景画像や配色などを変更できる「Customize」ページが追加され、ランチャーの見た目も細かく調整できるようになりました。
WindowsとMacに対応。Linux版も開発中
『Fulton』は無料で公開されており、Windows 10/11の64bit環境に対応しています。Windows版には通常のMSIインストーラーに加えて、ポータブルEXE版も用意されています。また、Apple SiliconおよびIntelプロセッサーを搭載したMacにも対応しており、それぞれにDMG形式のファイルが配布されています。
ただし、ランチャー自体がMacに対応していても、管理対象となるPC移植プロジェクトがMacに対応しているとは限りません。Windows専用の移植版については、Mac向けのビルドが存在しないことが表示されます。
LinuxおよびSteam Deckへの対応についても開発・テストが進められていますが、今回のバージョンでは正式な配布対象には含まれていません。なお、『Fulton』はWindowsとMacのコード署名に関する対応が完了していないため、初回起動時にOSのセキュリティ警告が表示される場合があります。
ゲームデータは付属せず、ROMは別途用意する必要あり
注意しておきたいのは、『Fulton』自体にはゲームデータが含まれていないことです。本ツールは、非公式PC移植プロジェクトを検索・導入・管理するためのランチャーであり、ゲームのROMをダウンロードする機能は備えていません。
ゲームをプレイするには、各移植プロジェクトが要求するROMなどのデータを、ユーザー自身が適法に用意する必要があります。また、同じタイトルでも対応するROMの地域やリビジョンが異なる場合があるため、導入前に各プロジェクトの動作条件を確認しておく必要があります。
レトロゲームの非公式PC移植プロジェクトは、それぞれ異なる場所で公開・更新されていることも多く、複数のタイトルを利用していると管理が煩雑になりがちです。
そうしたプロジェクトの検索からインストール、アップデートまでをひとつのツールで行える『Fulton』は、今後も増えていくPC移植版を管理するうえで便利な存在となりそうです。『Fulton』は公式GitHubから無料でダウンロードできます。



















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