Jotego氏が開発するFPGAコア集「jtcores」に収録されている、アーケード版『グラディウスIII』用コア「grad3」に、新たな「Turbo」モードが追加されました。
この機能を追加するPull Request「Gradius III No-Wait QOL Extra Dip」は、2026年9月1日にmasterブランチへマージ。その直後にはJotego氏による調整が行われ、最終的にメインCPUとサブCPUの68000を、通常の10MHz相当から16MHz相当へ高速化する仕様になっています。
●Gradius III No-Wait QOL Extra Dip Pull Request #1556
https://github.com/jotego/jtcores/pull/1556
●Jotego「jtcores」公式GitHubリポジトリ
https://github.com/jotego/jtcores
『グラディウスIII』名物の処理落ちを軽減
アーケード版『グラディウスIII』といえば、画面上に多数の敵や弾が登場したときなどに発生する、大きな処理落ちでも知られているタイトルです。今回追加されたTurboモードは、そうした処理落ちの大部分を軽減するためのQOL(Quality of Life)機能です。
MRAを生成するための設定には、新たにExtra DIPとして「Turbo」が追加されており、「On」と「Off」を切り替えられるようになっています。
標準状態ではTurboはOffになっているため、これまで通りオリジナルのアーケード基板に近い速度でプレイすることが可能です。必要に応じてTurboをOnにすることで、CPUを高速化してプレイできる仕組みになっています。
また、Pull Requestの説明によると、この設定はゲームをリセットせずに切り替えられるライブ設定として実装されています。
通常10MHzからTurbo時は16MHz相当に
『グラディウスIII』では、メインCPUとサブCPUに68000が使用されています。通常時の動作速度は10MHz相当ですが、今回追加されたTurboを有効にすると、最終的なソースコードでは両方のCPUが16MHz相当で動作する設定になります。
つまり、単純計算ではCPUの処理速度を通常時の約1.6倍に引き上げる形です。ただし、これはゲームそのものを常時高速再生するような機能ではなく、CPUの処理能力を引き上げることで、負荷が高い場面で発生する処理落ちを減らすことが目的です。
処理落ちによって敵や弾の動きが遅くなる場面も少なくなるため、結果として通常より難しく感じられる可能性もあります。Pull Requestでも、Turboについて追加の高難度設定のようなものとして説明されています。
当初は24MHz案だったものの最終的に16MHzへ変更
少しややこしいのが、Turbo時のクロックです。Pull Requestが提出された当初は、通常10MHzの68000を24MHz相当まで高速化する案になっていました。
しかしレビューの中でJotego氏は、12MHzまたは16MHzでも十分な効果が得られるのであれば、ハードウェアが安定して処理でき、当時の環境としても現実的な速度として、そちらを使用したいという考えを示しています。
Pull Request自体はいったん24MHz相当の設定を含んだ状態でmasterへマージされましたが、その約4分後、Jotego氏によって「grad3: turbo mode set to 16MHz.」という追加コミットが行われました。
このため、現在のmasterブランチにある最終的な仕様は「通常10MHz相当/Turbo 16MHz相当」となっています。同じ追加コミットでは、メインCPUとサブCPUで共通のクロック設定を使用するようにコードも整理されています。
現時点ではソースコードへの実装段階
今回のTurboモードは、Jotego氏の「jtcores」公式リポジトリのmasterブランチにはすでに取り込まれています。一方で、記事執筆時点では、この変更を反映した新しいMiSTer向けコンパイル済みRBFの一般配布は確認できませんでした。
そのため、現状ではupdate_allなどを実行すればすぐにTurboモードが利用できる、という段階ではありません。今回はあくまでも『グラディウスIII』コアのソースコードに新機能が実装されたという開発ニュースになります。
また、Turboによって『グラディウスIII』の処理落ちが完全になくなるわけではありません。Pull Requestの開発中には16MHzや20MHz、24MHzでテストが行われていますが、特に大きな処理落ちが発生する場面では、高速化しても完全には解消されないことが報告されています。
ゲーム全体のタイミングやサウンドなどへの影響についても、現時点では十分な検証結果が公開されていません。
オリジナル基板の挙動を楽しみたい場合はこれまで通りTurboをOffに、処理落ちを減らしたより厳しい『グラディウスIII』を試してみたい場合はTurboをOnにする、といった使い分けができる機能になりそうです。














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