GitHubユーザーのkandowontu氏は2026年8月21日、河豚だろう氏(X:@fugudaro、GitHub:kathoc)が開発した「BrickBoy DMG」を、MiSTer FPGAへ移植した非公式コアを公開しました。
●BrickBoy DMG for MiSTer
https://github.com/kandowontu/brickboy-dmg-fpgacore/tree/main/MiSTer
●BrickBoy_DMG.rbfの配布ページ
https://github.com/kandowontu/brickboy-dmg-fpgacore/blob/main/MiSTer/RELEASE/BrickBoy_DMG.rbf
初代ゲームボーイの液晶パネルと内蔵スピーカーの特性をFPGA上で再現するもので、すでにコンパイルされた「BrickBoy_DMG.rbf」も配布されています。さらにMiSTer版には、古い液晶のビネガーシンドロームや、故障した電極線のちらつきを模した実験的な経年劣化表現も用意されています。
完了しました – Brickboy が MiSTer に移植されました – 元の Brickboy コード、Analogue Pocket 実装、およびこれを MiSTerFPGA に移植する許可をいただいた @fugudaro に感謝します!
メインレポにも PR が提出されました。
大元は河豚だろう氏のブラウザ用エミュレーター「brickboy」
「BrickBoy DMG」の大元となったのは、河豚だろう氏が開発したブラウザ用ゲームボーイエミュレーター「brickboy」です。
brickboyでは、初代ゲームボーイのゲームを単に緑色の画面で表示するのではなく、パッシブマトリクス液晶の特性や、反射板を通して見える独特の質感まで再現。液晶のクロストークや残像、表示素子と反射板の間に生じる影、反射板の粒状感などをモデル化しています。
河豚だろう氏は、このbrickboyの液晶・スピーカーモデルをAnalogue PocketのopenFPGA向けに移植した「BrickBoy DMG」コアも公開しています。今回のMiSTer版は、そのGitHubリポジトリをkandowontu氏がフォークし、現在の「Gameboy_MiSTer」フレームワークと組み合わせて移植したものです。
つまり、液晶・スピーカー再現技術とAnalogue Pocket版の開発者が河豚だろう氏で、今回のMiSTer移植を手掛けたのがkandowontu氏という関係になります。
液晶の“欠点”までハードウェアで再現
BrickBoy DMGが目指しているのは、初代ゲームボーイの映像を現代のディスプレイで鮮明に表示することではありません。むしろ、当時の液晶が持っていた弱点や癖まで含めて再現することに重点が置かれています。
たとえばパッシブマトリクス液晶のクロストークは、暗い表示が下方向へ強く、上方向へ弱く影響する双方向の現象として処理されます。
残像も単純な映像の重ね合わせではなく、表示が暗くなるときは速く、明るい状態へ戻るときは遅いという非対称の変化をモデル化。液晶素子と反射板の間にある空間によって発生する影や、反射板表面の細かな粒状感、故障した電極線によるライン抜けなども再現されます。
音声についても、初代ゲームボーイに搭載された密閉型スピーカーと筐体による音響特性をシミュレーションしています。MiSTer版ではスピーカーシミュレーションのほか、振動や早送り時のサウンドにも対応しています。
OSDの「BrickBoy Panel」からは、画面の明るさや色温度、反射板の粒状感、彩度、液晶の色を調整可能です。RGBそれぞれのインク色や、液晶素子が点灯していない部分の色、電極線の不具合量なども変更できます。

“酢酸劣化”と電極線のちらつきも選択可能
MiSTer版には、Analogue Pocket版には実装されていないふたつの実験的な経年劣化表現が追加されています。ひとつは、古い液晶の偏光板が劣化した状態を模した「Vinegar Syndrome」です。「Off」「Mild」「Strong」「Ruined」の4段階が用意されており、劣化の程度を切り替えられます。
もうひとつの「Dead-Line Flicker」は、故障した電極線によってライン表示が不安定にちらつく様子を再現するものです。こちらも「Off」「Subtle」「Unstable」「Severe」の4段階から選択できます。ただし、電極線の不具合表示を有効にしていない場合、ちらつきの効果は表示されません。
いずれも初期設定は「Off」です。また、実物の液晶の状態を測定・診断する機能ではなく、劣化した液晶の見え方を映像上で再現するための実験的なエフェクトとなっています。最新のFPGA環境を使いながら、古い液晶の欠点だけでなく、長年使用したことで発生する故障まで再現するという逆説的な機能です。

RBFを「_Console」フォルダーへコピーして導入
MiSTer版を導入するには、公開されている「BrickBoy_DMG.rbf」をMiSTerのSDカードにある「/media/fat/_Console/」へコピーします。その後、コアのメニューから「.gb」または「.gbc」形式のROMを読み込んで起動できます。ROMデータは同梱されていません。
映像は896×627ピクセルのラスタ上に640×576ピクセルのアクティブ領域を描画し、初代ゲームボーイと同じ約59.7275Hzのフレーム周期を維持します。 配布されているRBFはQuartus Prime Lite 17.0でコンパイルされ、タイミング解析を通過。kandowontu氏によって、DE10-NanoのHDMI出力で動作確認されています。
現時点では通常のGitHub Releaseタグは作られておらず、ビルド済みRBFはフォークされたリポジトリ内の「MiSTer/RELEASE」ディレクトリで直接公開されています。
ゲームボーイカラーの表示などには制限あり
本コアでは「.gbc」形式のゲームボーイカラー用ソフトも読み込めますが、ゲームボーイカラー本来のカラー画面を再現するものではありません。
BrickBoyのレンダラーは常にゲームボーイの2ビットDMG液晶ストリームを処理するため、ゲームボーイカラー用ソフトも初代ゲームボーイの液晶モデルを通して表示されます。
また、スーパーゲームボーイの画面枠や、MiSTerに標準搭載されている通常のビデオフィルターは、BrickBoyの映像には合成されません。
初代ゲームボーイのゲームをきれいに見せるのではなく、当時の液晶で遊んだときの見え方や音、さらには経年劣化まで再現したい人に向けた、ユニークなMiSTer用FPGAコアとなっています。















ダンジョンズ&ドラゴンズ ビジュアル大全 半世紀を超えるその歴史とアート









ゲームコンソール2.0