NINTENDO64に対応した『EM05 – ウルトラモジュール』も利用できるようになり、ますますマシンのパワーが欲しくなってきた感のあるマルチエミュレーター互換機の『POLYMEGA(ポリメガ)』。すでに多くの人がCPUの交換を実践してきていますが、残念ながらしっかりと文章化されたものが存在しないのが実情です。
そこでこちらでは、POLYEMGAのCPUを換装するときの手順を、6つのステップに分けてご紹介していきます。ちなみに、今回CPUを換装したのは初期型のモデルです。その後、細かい変更が入っている可能性もありますので、ご了承ください。
目次
- POLYMEGAに対応したCPU
- あらかじめ用意しておいたほうがいいアイテム
- ステップ1:ゴム足をはがす
- ステップ2:トルクスドライバーでケースのねじをはずしていく
- ステップ3:POLYMEGAのケースを開ける
- ステップ4:CPUのファンをはずす
- ステップ5:CPUを交換する
- ステップ6:ケースやねじなどを締めていく
- パフォーマンスチェック
POLYMEGAに対応したCPU
『POLYMEGA』に搭載されているCPUは、「Intel Celeron G4900T」です。こちらは第8世代のCPUである「Coffee Lake」、対応しているソケットは「LGA1151」。TDP(熱設計電力)は35Wとなっているため、こちらと共通のスペックを持つCPUならば、おそらく問題なく換装することができるのではないかと思われます。
今回は「Pentium Core i3 8100T」に換装していますが、実はこちらは本体が届く前の2021年12月5日に購入しておいたものでした。ずいぶん長い間寝かしていましたが、ようやく今回日の目が当たることになります。
下記のベンチマークを見てみると、「Celeron G4900T」が2156であるのに対して、「Pentium Core i3 8100T」は約3倍の6932となっているため、パフォーマンスの向上も期待出来ます。
CPU | 定格 | TDP(W) | ベンチマーク |
---|---|---|---|
Celeron G4900T | 2.9GHz | 35W | 2156 |
CPU | 定格 | TDP(W) | ベンチマーク |
---|---|---|---|
Pentium Gold G5400T | 3.1GHz | 35W | 4963 |
Pentium Gold G5500T | 3.2GHz | 35W | 4492 |
Pentium Gold G5600T | 3.3GHz | 35W | 5423 |
Pentium Gold G5420T | 3.2GHz | 35W | 5400 |
Pentium Core i3 8100T | 3.1GHz | 35W | 6932 |
Pentium Core i3 8300T | 3.2GHz | 35W | 7948 |
Pentium Core i5 8400T | 1.7GHz | 35W | 9808 |
Pentium Core i5 8600T | 2.3GHz | 35W | 10525 |
Pentium Core i7 8700T | 2.4GHz | 35W | 14185 |
Pentium Core i3 9100T | 3.1GHz | 35W | 7607 |
Pentium Core i3 9300T | 3.2GHz | 35W | 8724 |
あらかじめ用意しておいたほうがいいアイテム
換装用のCPUを用意しただけでは作業を進めることはできません。いくつか専用の工具なども必要になるので、こちらも事前にチェックしておくといいでしょう。ちなみにこの記事は、すでに作業を終わらせた後で書いているためわかっていることなのですが、実は事前に用意した物の中で使わなかったものと、後から追加したものがあったので、そちらも合わせてご紹介しておきます。
事前に用意した道具類
というわけで、事前に用意した道具類がこちら。本体を開けるときなどに使用する特殊ドライバーのトルクスドライバーは、T8とT15、T20を用意していいます。このうちT8とT15は、本体のねじを外すときに使用し、T20はCPUファンのねじを回すときに使用するために購入しています。
ドライバーのねじはゴム足で隠されていますが、そちらは両面テープで接着されたものです。ゴム足を剥がすことでどんな状況になるのか、といった情報はまったくなかったため、念のため両面テープも用意しておきました。残りは、ゴム足を剥がすときに使用するツールと、CPUの伝導グリスです。
結果的に使わなかったアイテムと追加したもの
結論からいうと、今回のCPU交換作業において全く使用しなかったのが、両面テープとT20のトルクスドライバーでした。トルクスドライバーに関しては、もしかしたらモデルによっては必要になってくる可能性もあります。
筆者の所有している初期型では、CPUファンはプラスドライバーで回せるようになっていたため、追加でそちらを用意しています。また、伝導グリスを落とすための道具として、液晶用のウェットティッシュクリーナーを追加で用意しました。なんでも伝導グリスを落とすのに無水エタノールは向かないという情報があったため、今回はこちらを使用しています。
が、まぁそれほど細かい事を気にするほどはないのかも!?
ゴム足の両面テープに関しても、粘着力は落ちていなかったため、特に用意する必要はありませんでした。
購入しておいたほうがいいアイテムのリスト
●CPU用の高性能熱伝導グリス『Kryonaut 1g』
1212円
●トルクスドライバー T8
482円
●トルクスドライバー T15
520円
●ウェットティッシュなど、伝導グリスを落とすもの(適当なもの)
●ゴム足を外すためのケースオープナーなど(適当なもの)
ステップ1:ゴム足をはがす
何はともあれPOLYMEGAのケースを開けるためには、底面部分に貼り付けられているゴム足を剥がす必要があります。こちらはケースオープナーを使って剥がしましたが、想像していた以上に簡単にはがすことができました。
また、はがした後も粘着力が残っており、そのまま再利用することができると判断したため、とりあえず横によけておきました。
ステップ2:トルクスドライバーでケースのねじをはずしていく
ゴム足をはずしたら、本体底面側のねじをはずしていきましょう。こちらで使われているねじは特殊な形状をしており、トルクスドライバーという工具を利用する必要があります。はずすねじは全部で7本。オレンジ色の○で囲んだところが、T8のトルクスドライバーを使用します。
黄色で囲んだねじは、T15のトルクスドライバーではずしていきます。ちなみに、背面側の2本のみサイズが長くなっています。ちなみに、SSDのスロットは今回はさわらずに、そのままにしておいて大丈夫です。
ステップ3:POLYMEGAのケースを開ける
ねじをはずし終えたら、POLYMEGAのケースを開けることができるようになります。これは実際に作業しているときに気が付きましたが、内部でケーブルが繋がれており、勢いよく開けると誤って切断してしまう可能性があるので注意が必要です。
どういう状況なのかわかりにくいと思うので、まずはこちらの写真を見てください。
本体のボードから黒いケーブルと赤いケーブルが伸びており、それが上ブタに接続されています。とくに黒いケーブルは細くて短いため、知らずに開けてしまうと切断しかねません。
つまり何が言いたいかというと、ケースを開けるときは背面側を手前にして、手前側から後ろに向けてゆっくりと開けていくのがベストということです。
ステップ4:CPUのファンをはずす
POLYMEGAのケースを開けたら、続いてCPUファンをはずしていきます。事前に聞いていた情報では、T20のトルクスドライバーではずすねじが付けられているという話でした。しかし、実際に見たところプラスドライバーではずすことができるものとなっていました。
ファンの取り外し自体はどうということはありませんが、こちらも細いケーブルが繋がっているので、間違って切断しないように気を付ける必要があります。
ステップ5:CPUを交換する
CPUファンを取りはずすと、中のCPUが見える状態になります。伝導グリスがベットリと付けられているので、はずした後でそちらを落としてから保存しておいた方がいいでしょう。CPUを固定している部分は、緑色で囲んだ金具を引っかけて押さえているような状態になっているので、そちらで緩めてから取り外していきましょう。
CPUファンに付いている伝導グリスを綺麗にする
新しいCPUに交換する前に、CPUファンに付いている伝導グリスを拭き取っておきます。先ほども触れましたが、無水エタノールは伝導グリスを落とすのに向いていないという情報を見たため、今回は手持ちの液晶ディスプレイ用のウェットティッシュクリーナーで拭き取りました。
古い伝導グリスを落としたら、新しい伝導グリスを塗っていきます。今回用意したのは、Thermal Grizzly社製の高性能熱伝導グリス『Kryonaut 1g』です。今回はオーバークロックはしていませんが、そちらでも採用されることが多いぐらい、冷え冷えにしてくれる伝導グリスのようですね。ということで、CPUを取り付けた後で中央にやや多めに伝導グリスを塗ります。後は、付属しているハケを使ってまんべんなく伸ばして塗っていきます。
伝導グリスを塗りおえたら。CPUファンをふたたび取り付けてねじで締めていきましょう。このときも、ケーブルを挟んでしまったりしないように気を付けましょう。
ステップ6:ケースやねじなどを締めていく
CPUファンを取り付けたら、ふたたびPOLYMEGAの上フタを付けてねじを締めていきます。最後にゴム足を付けるのですが……最初に取り付けたときに、なにかもっこりしたポイントがあると思ったのですが、なんとゴム足自体にでっぱりがあり、それを本体側の穴に合わせて位置合わせができるようになっていることに気が付きました。
パフォーマンスチェック
CPUを換装して、フタやねじなどもすべて元通りにした後は、いよいよ動作のチェックです。ここでうまく起動しないなど不具合が発生すると大変! ってことで、ドキドキしながら電源を入れてみたのですが、なかなか起動せず! 編だなと思ったら、直前に変更した『EM05』モジュールが中途半端に刺さっていたことが原因でした。
ということで、とりあえずPOLYMEGAの起動を無事確認することができました。
以前、『EM05 – ウルトラモジュール』の動作チェックをしていたときに、音切れが発生したゲームをメモしておきました。そちらを起動して、CPU換装後のパフォーマンスをチェックしてみることに。
- 実況パワルフプロ野球2000
- 実況パワフルプロ野球5
- ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
- ポケモンスタジアム
- ポケモンスタジアム金銀
- ポケモンスタジアム金2
- LODE RUNNER 3-D
具体的なベンチマークなどはないためあくまでも体感的な感想になりますが、『ポケモンスタジアム』と『実況パワフルプロ野球5』、『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』を起動してみたところ、カットシーンはもちろんのこと、ゲームプレイも含めて音切れなどは発生せず、かなり快適に遊べる印象です。
POLYMEGAをお持ちで、現状パフォーマンス不足を感じているのならば、CPUを換装してみるのもひとつの手といえます。