2026年10月12日(日本時間)、開発者のLoreanXavier氏が、PS4向けホラーゲーム『P.T.』をPCで動作させる非公式移植プロジェクト「P.T. PC Port」の最新版となるv1.0.3をGitHubで公開しました。今回のアップデートでは、新たにMOD機能が追加され、3Dモデルの差し替えや室内に配置されたオブジェクトの変更、照明の調整などが行えるようになっています。
『P.T.』といえば、薄暗い廊下を何度も歩き回る独特の恐怖演出が印象的な作品ですが、今回のMOD対応によって、そのおなじみの光景を自分好みに作り替えることも可能になりました。
●P.T. PC Port プロジェクトページ(GitHub)
https://github.com/LoreanXavier/pt-pc

配信終了から11年が経過した『P.T.』をPCに移植
『P.T.』は、2014年にPS4向けに無料配信された一人称視点のホラーゲームです。小島秀夫氏が手掛けていた『Silent Hills』のプレイアブルティザーとして制作され、限られた空間を繰り返し探索するゲームデザインや、プレイヤーを不安にさせる演出などが大きな話題となりました。
しかし、その後『Silent Hills』の開発が中止されたことに伴い、2015年4月には『P.T.』の配信も終了。現在ではPlayStation Storeから新たにダウンロードすることができず、実際にプレイすることが難しい作品となっています。
そうした中で登場したのが、LoreanXavier氏による非公式移植プロジェクト「P.T. PC Port」です。
本プロジェクトは、PS4のエミュレーターを利用するものではありません。オリジナルのゲームの動作をもとにC++でゲームロジックを再構築し、Vulkanを利用した描画処理によってPC上で動作させる仕組みです。WindowsやLinuxに加えてmacOSにも対応しています。
3Dモデルの差し替えや照明変更など、MOD機能が大幅に拡充
今回公開されたv1.0.3で、特に注目したいのがMODへの対応です。
新たに.glbおよび.gltf形式の3Dモデルを読み込めるようになり、ゲーム内に登場するオブジェクトの差し替えや、新しいモデルの追加が可能になりました。3D制作ソフトのBlenderなどで作成したモデルも利用できます。
また、「level.json」という設定ファイルを使うことで、室内にあるオブジェクトの表示・非表示や位置、向き、大きさなどを変更することもできます。照明についても、色や明るさを変えたり、特定のライトを消灯したりすることが可能です。
たとえば、いつもの廊下を赤い照明で照らしたり、壁に飾られている絵を取り外したり、置かれている家具を別のものに置き換えたりといった変更が行えます。
さらに、ゲーム内に登場する女性の幽霊「リサ」の3Dモデルも差し替え対象となっています。ただし、骨格やアニメーションなどはオリジナルのゲームのものが引き続き利用される仕組みです。
MOD制作を補助する機能として、F8キーを押すことで、視線の先にあるオブジェクトの名前や位置、周辺の照明情報などをログファイルに出力する機能も追加されました。
開発者は、以下のような内容を含む6種類のサンプルMODも用意しています。
- 新しいテーブルを室内に追加
- バスケットを木箱に置き換え
- 廊下の照明を赤く変更
- 壁に飾られた絵を非表示にする
- テクスチャの変更
- 効果音の差し替え
これらは実際に動作を確認できるサンプルとして公開されており、MOD制作ガイドも用意されています。
単にオリジナルの『P.T.』をPCで再現するだけではなく、かつてのPS4版ではできなかった遊び方が生まれている点も、今回のアップデートの興味深いところです。
Mac向けMetalFX対応や不具合修正も実施
v1.0.3では、MOD関連以外にもさまざまな機能追加や不具合修正が行われています。
macOS版にはAppleのMetalFXアップスケーリング機能が追加されました。また、Apple Silicon搭載Macでは、macOS 26以降を条件として、実験的なMetalFXフレーム生成にも対応しています。
そのほか、HDR設定が正しく反映されない問題や、アップスケーリング利用時の表示の不具合、特定の場面で動作が一時的に停止する問題なども修正されました。
オリジナルのPS4版での挙動に近づける調整も行われており、リサの攻撃判定やガラスが割れた際の演出なども見直されています。
なお、すでにv1.0.2を導入している場合は、既存のインストール先にセットアップを実行することでアップデートできます。その際、ゲームデータや設定、セーブデータ、MODなどは保持されると案内されています。
利用にはオリジナルの『P.T.』のゲームデータが必要
注意しておきたいのは、「P.T. PC Port」はコナミなどの権利者が公開した正式なPC版ではなく、個人開発者による非公式プロジェクトだという点です。
また、GitHubで配布されているプログラムにはゲーム本体のデータが含まれていません。動作させるには、ユーザー自身が所有するPS4版『P.T.』から用意したゲームデータが必要です。
プロジェクトの説明によると、主に北米版のゲームデータを利用して開発・テストが行われており、日本版や欧州版についてもインストールには対応しているものの、開発者自身による検証は十分ではないとされています。
すでに配信が終了している作品だけに、誰でも気軽に導入できるものではありませんが、ゲームを保存し、別の環境で動作させる取り組みとしても興味深いプロジェクトといえそうです。
今回のMOD対応によって、オリジナルの恐怖体験を再現するだけでなく、あの印象的な廊下をまったく違った雰囲気に変えることも可能になりました。今後、ユーザーによってどのようなMODが作られていくのかも注目したいところです。















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