ROMコレクションの照合や整理、変換などを行えるツール「iGIR」の最新版となる「iGIR 5.7.2」が、2026年10月8日にGitHub上で公開されました。
今回のアップデートでは、レトロゲーム向けNAS環境「RetroNAS」に対応した出力トークンが追加されたほか、DATファイルの名前やバージョン、日付などを利用したフォルダー整理が行えるようになっています。また、MAMEやFinalBurn系のROMセットを扱う際の出力設定も拡充されました。
いずれもROMの処理速度を改善するものではありませんが、大量のゲームバックアップを機種や管理環境に合わせて整理したいユーザーにとって、便利な変更となっています。
●iGIR公式サイト
https://igir.io/
RetroNAS向けのフォルダー構成を自動で指定可能に
今回の大きな変更のひとつが、新たな出力トークン「{retronas}」の追加です。
RetroNASは、レトロゲーム機や古いコンピューターなどでROMファイルを共有するためのNAS環境です。ROMを一元的に保管しながら、さまざまな機器やエミュレーター向けのフォルダー構成を利用できる仕組みを備えています。
ただし、RetroNASではメーカー名やゲーム機名に基づいた独自のフォルダー構成が使用されており、ROMを適切な場所に整理する必要があります。
そこで利用できるようになったのが「{retronas}」です。
たとえば、iGIRの出力先を次のように指定することで、RetroNAS向けのフォルダー構成に合わせてROMを整理できます。
--output "/data/retronas/roms/{retronas}"
これはLinux環境における公式ドキュメントの指定例です。実際には、利用している環境に合わせて保存先を変更する必要があります。
RetroNASでは、たとえばゲームボーイのROMを「nintendo/gameboy」といった階層で管理します。今回の対応によって、こうした保存先を個別に指定する手間を減らせるようになりました。
なお、RetroNAS自体に新機能が追加されたわけではなく、iGIRからRetroNASに適したフォルダー構成でファイルを書き出せるようになったという変更です。
DATファイルの名前やバージョンを利用した整理にも対応
もうひとつの変更が、DATファイルの情報を利用する出力トークンの追加です。
DATファイルは、ゲームのファイル名やハッシュ値などの情報を収録したデータベースで、ROMセットの照合や管理などに利用されています。
iGIRでは、こうした情報を参照してROMを整理できますが、今回新たに次の3種類のトークンが追加されました。
- {datFileName}:照合に使用したDATファイルの名前(拡張子を除く)
- {datVersion}:DATファイルに記録されたバージョン情報
- {datDate}:DATファイルに記録された日付情報
これらを出力先の指定に組み込むことで、ROMをDATファイル単位やバージョン単位で分類できるようになります。
たとえば、異なるバージョンのDATを利用してROMセットを管理している場合、バージョン情報をフォルダー名に反映させることで、どのDATを基準に整理したものなのか判別しやすくなります。
とくに大量のROMを保管している場合や、複数のDATを使い分けている場合には、管理作業の効率化につながりそうです。
ただし、「{datVersion}」と「{datDate}」については、使用するDATファイルに対応する情報が含まれている必要があります。すべてのDATファイルで利用できるわけではない点には注意が必要です。
MAMEやFinalBurn系のROM整理にも対応を拡大
さらに、コンソール向けの出力トークンについても対応範囲が拡充されました。
今回新たに対象となったのは、「MAME」「FinalBurn Alpha」「FinalBurn Neo」の3種類です。
iGIRには、利用するエミュレーターやフロントエンドに応じてROMの出力先を振り分ける仕組みがあり、今回の変更では、こうした出力トークンでアーケードゲーム向けのROMセットも扱えるようになっています。
これにより、家庭用ゲーム機とアーケードゲームのROMをまとめて管理する場合にも、出力先の指定を統一しやすくなりました。
ただし、MAMEやFinalBurn系では、使用するエミュレーターのバージョンによって必要なROMセットが異なる場合があります。
iGIRでフォルダーを整理できたとしても、利用するエミュレーターとの互換性が保証されるわけではありません。実際に使用する際は、エミュレーターのバージョンに適したDATファイルを用意する必要があります。
今回はROMの保存先を整理しやすくするアップデート
当サイトでは10月2日に、iGIR 5.7.0で行われたWebAssembly関連の改善について紹介しました。
こちらは、ネイティブアドオンにWebAssembly版を追加することで、特殊なOSやCPU環境でも追加のコンパイル作業なしで利用しやすくするという内容でした。
それに対して今回の5.7.2は、ROMの出力先やフォルダー構成をより柔軟に指定できるようにするアップデートです。
開発者によると、今回追加された機能はいずれもコミュニティーの利用者から寄せられた提案をもとに実装されたものです。
一般的なROM管理では大きな変化を感じにくいかもしれませんが、RetroNASを利用しているユーザーや、複数のDATファイルを使ってROMコレクションを管理しているユーザーにとっては、実用的な改善といえそうです。















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