レトロPCなどをWi-Fi経由でネットワークに接続できる「FujiNet」で、NES向けの移植作業が始まっています。開発者のtschak909氏が2026年10月6日、AtariAge Forumsに開発状況を公開しました。
単にNESからインターネットへアクセスできるというだけではありません。すでに『Double Dribble』や『Tecmo Bowl』をネット対戦に対応させた実例が公開されているほか、『Excitebike(エキサイトバイク)』では自分で作成したコースをインターネット上に保存し、ほかのユーザーと共有する仕組みまで実現しています。
●FujiNet for NES bring-up thread(AtariAge Forums)
https://forums.atariage.com/topic/393355-fujinet-for-nes-bring-up-thread/
●FujiNet NES Hardware(GitHub)
https://github.com/FujiNetWIFI/fujinet-hardware/tree/master/NES/FujiNet-NES-Rev0
●FujiNet Firmware NES Bring-up(GitHub)
https://github.com/FujiNetWIFI/fujinet-firmware/tree/nes-bringup/pico/nes
●NES Excitebike with Save(GitHub)
https://github.com/FujiNetWIFI/nes-excitebike-with-save
●FujiNet Go NES Desktop(GitHub)
https://github.com/FujiNetWIFI/fujinet-go-nes-desktop
●FujiNet公式サイト
https://fujinet.org/
『Double Dribble』『Tecmo Bowl』をネット対戦化
FujiNetは、Wi-Fiやネットワーク機能を持たない古いコンピューターなどを、現代のネットワークサービスへ接続するために開発されているハードウェア/ソフトウェア環境です。
今回公開されたNES向けの実装では、FujiNetに対応したゲームとして「Fujitzee」「5 Card Stud」「Texas Hold’Em」「FujiRealm」「Fujirkle」などがすでに移植されています。
さらに興味深いのが、既存のNES用ゲームをネットワーク対応させる試みです。tschak909氏は『Double Dribble』と『Tecmo Bowl』を改変し、FujiNet経由でNetPlayに対応させたデモを公開しています。
TELNETやSSHを利用してLinuxマシンへ接続する「NetCat ANSI terminal」のデモも披露されており、ゲームだけではなく、NESをネットワーク端末として利用する実験も進められています。
『エキサイトバイク』で作ったコースをインターネットに保存
さらに2026年10月7日には、新たな実例として『Excitebike』を使ったデモも公開されました。
『Excitebike』にはオリジナルのコースを作成できるDESIGN MODEが搭載されていますが、今回公開された改変版では、作成したコースデータをFujiNet経由でインターネット上に保存できるようになっています。
保存したコースはほかのユーザーと共有することも想定されており、1980年代のゲームに現代的なオンライン共有機能を追加するという、FujiNetの特徴が非常に分かりやすい実例となっています。GitHubでは、この『Excitebike』向けプロジェクトも公開されています。
そもそも「FujiNet」とは?
FujiNetは、主にビンテージコンピューター向けに開発されている多機能周辺機器兼Wi-Fiネットワークデバイスです。
古いコンピューター側でTCP/IPなどの複雑なネットワーク処理をすべて行うのではなく、FujiNet側がネットワーク通信を担当することで、処理能力の限られたマシンから現代のインターネットサービスへアクセスできるようにするのが大きな特徴です。
TCPやUDPをはじめ、HTTP/HTTPS、FTP、SSH、TELNET、WebDAVなど、さまざまなプロトコルに対応しています。また、ネットワーク機能だけではなく、ディスクドライブやプリンター、モデムなどの周辺機器をエミュレートする機能も用意されています。
NES版FujiNetはまだ開発中
もっとも、今回のNES対応は完成製品が発売されたというニュースではありません。
tschak909氏によれば、RP2354向けファームウェアの一部はすでにmasterへ取り込まれていますが、NES固有のファームウェアについてはBring-upブランチで開発が進められている段階です。
一方、NES向けFujiNetのハードウェア設計はGitHubですでに公開されています。今後、実機で利用できる環境がどのような形で整備されていくのか注目したいところです。
ハードウェアなしでもPC上で試せる
実機用ハードウェアを用意する前にFujiNetのNES環境を試したい人向けには、「FujiNet Go NES Desktop」というプロジェクトも公開されています。
これはNESエミュレーターのMesenCEとFujiNetを組み合わせたデスクトップ環境で、Linux、macOS、Windows向けの実装が進められています。FujiNetのCONFIG画面からネットワーク上のホストを参照し、NESのゲームイメージをネットワーク経由で読み込む仕組みなども組み込まれています。
発売から40年以上が経過したファミコン/NESに、ネット対戦やコース共有といった現代的なネットワーク機能を持ち込む今回の試み。まだ開発段階ではありますが、FujiNetによって昔のゲームの遊び方がどこまで広がっていくのか、今後の展開にも期待したいところです。















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