今後いろいろと予定している企画に備えて、バーチャルボーイのカートリッジからROMデータを吸い出す方法を整えるために、『カートリッジリーダー』用の『VIRTUAL BOYアダプタキット』を購入してみました。このアダプターですが、名前に「キット」と書かれていることからもわかるように完成品ではなく、あくまでも組み立てキットとして売られているものです。ということで実際に自腹で購入して作ってみたのですが……これが、まぁ大変! また、いろいろと注意しなければいけない点もあったので、合わせてご紹介しておきます。
●VIRTUAL BOY adapter DIY Kit set(Save the Hero Builders)
https://savethehero.builders/en-jp/collections/cartridge-adapters/products/virtual-boy-adapter-diy-kit-set
●家電のケンちゃん:【即納】Cartridge Reader専用VIRTUAL BOYアダプタキット【VB-SFC Adapter】
https://www.kadenken.com/view/item/000000001557?category_page_id=doujin
ちなみに、オンラインではSave the Hero Buildersの公式や家電のケンちゃんなどで購入できますが、今回は手っ取り早く欲しかったため、秋葉原にある家電のケンちゃんの店舗で直接購入してきました。
ちなみに、キットの組み立て方については、下記のURLでPDFを入手することができます。英語なので、無理矢理日本語に訳しながら挑戦してみることに。元々こうした記事を作る予定はなかったため、撮影していない部分に関してはこのマニュアルから引用しています。
●VirtualBoy Adapter Assembly(PDF)
https://drive.google.com/file/d/1nIWNE1CN_KtsBTe3kt0WNKd2bMEU4ixO/view
まずは、キットを取り出して、赤いパーツを3つに分けていきます。下記の画像で緑色のラインで書いたところをカッターなどを使って切り離していきましょう。切り離したあとは、少し残ったでっぱりをやすりで削って整えていきます。ただし、水色で囲った丸の部分は残しておきます。
切り離したパーツのうち、メッキの穴が付いたものはメインでピンを挿して基板に取り付けていくためのものです。残りの大きなほうは「PCB SIDE」、小さなほうは「PIN ENDS」と呼びます。このメッキがない方のパーツは、最終的にはすべて取り除きますが、主に組み立て時のサポートで使用するためのものと思えばいいでしょう。
最大の難関は最初のピンの取付け!?
続いて「Harwin M50 ピンヘッダー」をバラしていきます。このキットで使用するのは、長いピンが30個で、短いピンも30個です。キットには3つの束が付属していますが、ひとつにつきそれぞれ15個ずつピンが設置されています。つまり使うのはふた束のみなのですが、残りのひと束はなくしたときのための予備です。
ピンを取り外したら、30本の短いピンを「PCB SIDE」の穴に差し込んでいきます。
このピンを、メッキが付いた穴にさしこんでいくのですが……
これが死ぬほど大変でした!
とにかくなかなか穴に入らない! もはや、全部入ったら奇跡なんじゃないか? と思わせるほどの難易度。とりあえず、ぷらぷら動くと全く穴にはまらないので、メンディングテープで緩く固定しながら、なんとか入れていくことができました。
なんとか穴には通すことはできたものの、次のステップがマニュアルではいまひとつわからず。ここはこの穴に取り付けたピンをハンダ付けして固定していく必要があります。その前に、「PIN ENDS」を「PCB SIDE」にくの字になるように重ねていくことで、安定させることができます。
続いて、ピンを固定するためにハンダ付けをしていきましょう。ハンダ付けをするポイントは、下記の写真の水色の丸で囲った部分の列全部です。
ここまで終わったら、かなりのステップが完了したことになります。「PCB SIDE」と「PIN ENDS」を取り外します。はんだづけしたピンが付いたパーツを、基板の上側に取り付けます。
「PIN ENDS」の向きをひっくり返してガードとして使うのですが、ここで真ん中の出っ張り部分が邪魔になるので、ヤスリで削っておきます。
真ん中の出っ張りを削ることで、アダプターの溝にもピッタリとはまる形になります。これを利用して、ピンの端ギリギリの場所に取り付けて、先ほどはんだづけしたパーツを、アダプターに取り付けます。
残りは長いピンを30本づけていくのですが……筆者の場合は、この状態で無理矢理1本ずつピンセットで穴位置を調整しながらさしこんでいきました。
すべてのピンをさしこんだら、ひっくり返してはんだで固定しましょう。
やや見た目はよくありませんが、とりかえず完成しました。
カートリッジジーダーをアップデート……できず?【※追記あり】
もちろんこのままでは使用することはできないので、『カートリッジリーダー』のファームウェアをアップデートする必要があります。……が、先に問題点を挙げておくと現在の『カートリッジリーダー V3-ALTER』は、最新のファームウェアに上げようとしたところ書き込み時にエラーが出てしまいました。
2023年10月14日追記:ちなみにこの状況をSave the Hero Buildersに確認してもらったところ、問題なくファームウェアのアップデートをすることができました。もしかしら、スイッチがV3になっていたり、あるいはPC側の状況などでこうしたエラーが出てしまっていたのかもしれません。
●最新ファームウェアの入手先
https://github.com/sanni/cartreader/releases
バーチャルボーイ以外の機種はすべてコメントアウトしてもエラーが出たため、このままでは利用することができません。そこで、以前自分で純正のArduinoボードに交換した『カートリッジリーダー』のほうでファームウェアのアップデートをしてみたところ、こちらは問題なく完了。
ちなみに、ファームウェアを書き込む前にコメントアウトされているバーチャルボーイを有効にする必要がありますが、ボード自体の交換やファームウェアの変更方法(現在は若干項目が変わっています)については、下記の記事で紹介しているので興味がある人は参考にしてみてください。
実際に吸いだしたROMデータを、ROMチェッカーで調べてみたところ、こちらも問題ないことがわかりました。かなーり時間はかかったものの、とりあえずはバーチャルボーイの吸い出し環境を作りあげることができました。