PSP向けに発売された『Grand Theft Auto: Liberty City Stories(GTA: Liberty City Stories)』を、PC上でネイティブ動作させることを目指した非公式プロジェクト「LCS Recomp」のv0.1.0が公開されました。
LCS Recompは、PSPエミュレーターを利用してゲームを動かすものではありません。PSP向けに作られたゲームコードを別の環境向けに変換する「静的再コンパイル」の仕組みを利用し、PC向けのネイティブアプリとして実行するプロジェクトです。
2005年にPSP向けとして登場した『GTA: Liberty City Stories』が、20年以上を経てPC向けネイティブポートとして動き始めたことになります。
●LCS Recomp GitHub
https://github.com/elmasas/lcs-recomp
PSPRecompを利用したPC向けネイティブポート
LCS Recompのベースになっているのが、PSPソフト向けの静的再コンパイルフレームワーク「PSPRecomp」です。
PSPでは「Allegrex」と呼ばれるMIPS系CPUが採用されています。PSPRecompでは、PSP用実行ファイルに含まれるコードを解析し、C++のコードへ変換。さらにPC側のネイティブランタイムと組み合わせることでゲームを動作させます。
一般的なPSPエミュレーターのように、PSP本体のCPU命令を実行時に逐次解釈したりJITコンパイルしたりする方式とは異なり、あらかじめPC向けのコードへ再コンパイルしておくのが特徴です。
PSPRecompでは、先行するゲーム別プロファイルとして同じGTAシリーズの『Grand Theft Auto: Vice City Stories』も扱われており、PSPタイトルを現行PC環境へ移植するための技術として開発が進められています。
US版v1.05「ULUS-10041」が必要
今回公開されたLCS Recomp v0.1.0は、『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』のUS版v1.05、ゲームID「ULUS-10041」を対象としています。
配布ファイルだけでゲームをプレイできるわけではなく、ユーザー側でゲームデータを用意する必要があります。具体的には、自分で用意した復号済みの「EBOOT.ELF」と、ディスク内にある「PSP_GAME」フォルダーをLCS Recompの「game」フォルダーへ配置します。
ゲーム本体の実行ファイルやグラフィック、サウンドなどの商用ゲームデータはLCS Recomp側には含まれていません。
準備が完了した後は「PLAY_LCS.bat」からゲームを起動可能。各種設定については「LCSNative.ini」から変更できるようになっています。
なお、ソースコードから自分でビルドする場合にはVisual Studio 2022とLLVM(clang-cl)が必要です。
2005年発売のPSP版GTAが新たな形で復活
『Grand Theft Auto: Liberty City Stories』は、Rockstar LeedsとRockstar Northが開発し、2005年にPSP向けとして発売されたGTAシリーズの作品です。
『Grand Theft Auto III』でも舞台となったリバティーシティを再び採用し、トニー・シプリアーニを主人公とした物語が描かれています。その後PlayStation 2版やスマートフォン版なども発売されましたが、PC向けとして正式発売された作品ではありません。
今回のLCS RecompはRockstar Gamesによる公式移植ではないものの、PSP版そのものをベースにPC上でネイティブ実行するという、これまでのエミュレーションとは異なるアプローチになっています。
まだv0.1.0という初期バージョンであり、ゲーム全編を通した互換性や安定性が保証されている段階ではありません。そのため、現時点では「完成したPC版」というよりも、PSPタイトルの静的再コンパイルが実際のゲームで動き始めた技術的な初期成果として見るのがよさそうです。
PSPゲームの「再コンパイル移植」が活発化
PSPタイトルのネイティブ移植をめぐっては、近年こうした静的再コンパイルを利用したプロジェクトが少しずつ登場しています。
当サイトでも9月16日に、PSP版『Grand Theft Auto: Vice City Stories』をApple Silicon搭載Macでネイティブ動作させる「VCSNative macOS」を紹介しました。今回のLCS Recompは別作品・別プロジェクトですが、PSP向けGTA作品が相次いで現在のPCやMacへ移植されている点は興味深いところです。
これまで古いゲームを現行環境で動かす方法といえばエミュレーターが中心でしたが、NINTENDO 64など他のプラットフォームでも静的再コンパイルを利用したネイティブ移植が注目を集めています。
PSPについても同様の流れが広がれば、今後さらに多くのタイトルがPC向けネイティブアプリとして蘇る可能性があります。
LCS Recompが今後どこまで互換性や完成度を高めていくのか、引き続き注目したいプロジェクトです。















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