1985年に登場したNintendo Entertainment System(NES)の実機を、リアルタイムの航空レーダーとして利用するユニークなプロジェクト『NES Radar』が公開されています。開発しているのはLevi Maaia氏で、GitHubではNES用ROMやPC側で動作するサーバーソフトなどがオープンソースで公開されています。
●GitHub「k6lcm/nes-radar」
https://github.com/k6lcm/nes-radar
●GitHub Releases「k6lcm/nes-radar」
https://github.com/k6lcm/nes-radar/releases
確認できるリリースでは、2026年8月5日のバージョン0.3.1以降も継続してアップデートされており、8月24日には最新版となるバージョン0.4.4が公開されました。
『NES Radar』で表示されるのは、ゲーム内に用意された架空の飛行機ではありません。空港の4文字のICAOコードをNESのコントローラーから入力してスタートボタンを押すと、その空港周辺を実際に飛んでいる航空機がレーダー風の画面に表示されます。
対応する空港は世界各地から指定でき、画面には最大8機までの航空機を表示可能です。近くに置いたMac、Windows、LinuxのPCが「adsb.fi」から現在のADS-B航空交通データを取得し、その情報をNESへ送り込む仕組みになっています。
NES側では、指定した空港を中心とした9海里の範囲をレーダー画面として描画します。つまりNESそのものがインターネットに接続するわけではなく、PCを経由して取得した現在の航空機情報を、40年以上前のゲーム機に送り込んで表示しているというわけです。
コントローラーポート2を9,600 baudの双方向通信ポートとして利用
このプロジェクトで面白いのが、NESとPCの接続方法です。NESのコントローラーポート2に5VのFTDI USB-to-TTLシリアルケーブルを接続し、9,600 baudのUARTによる双方向通信を実現しています。
PCからNESへ航空機情報を送るだけではなく、NES側で入力したICAOコードも同じ接続を使ってPCへ送り返せるようになっています。通常のコントローラーはポート1に接続し、空港コードの入力やメニュー操作に利用します。
必要になるのは実機NES、ROMを起動するためのフラッシュカートリッジ、5VのFTDI USB-to-TTLシリアルケーブル、1kΩ抵抗2本、そしてサーバーを動かすPCです。そのため、ROMをダウンロードして一般的なゲームのように起動するだけで使えるソフトではなく、ある程度のハードウェア工作も必要な実験的プロジェクトとなっています。
NESならではのハードウェア制約への対処も行われています。同じ走査線上に多数のスプライトが並んだ場合に一部が表示できなくなる問題については、スプライトの優先順位を切り替えながら意図的にフリッカーさせることで、複数の航空機を表示できるようにしています。
最新版のバージョン0.4.4では、データ受信中に表示される「LINK RECEIVING」の状態でも、このスプライト表示の切り替えが継続するよう修正されています。

ROMとサーバーソフトはGitHubで配布中
最新版のバージョン0.4.4では、NES用ROMの「nes_radar_0_4_4.nes」に加えて、macOS向けの自己完結型バイナリと、WindowsやLinuxでも利用できるPythonソースが配布されています。
ただし実機での動作確認はmacOS環境を中心に行われており、WindowsとLinuxについては現時点では実験的な利用経路とされています。
また、配線について確認されているのはNTSC版NESです。PAL版については互換性が保証されておらず、日本のファミリーコンピュータでそのまま利用できるとも明記されていません。
開発者側もヴィンテージのNESと現代のPCを直接接続する実験的なプロジェクトとして公開しているため、実際に試す場合はGitHubに掲載されている配線方法や注意事項を確認したうえで作業したほうがよさそうです。
ちなみに『NES Radar』は、Maaia氏が手掛けているCommodore 64向けの航空レーダープロジェクト『C64U Radar』をベースにしたものです。現代のネットワークサービスから得た情報を、40年以上前の8ビットマシンへ送り込んで表示するという発想を、今度はNESの限られたハードウェアとコントローラーポートを利用して実現しています。
単なるレトロゲームの保存やエミュレーションとは少し違った、古いゲーム機の新しい使い道を探るプロジェクトとしても興味深いものとなっています。

via.TechEBlog















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