Anbernicより、日本時間の2023年6月13日午後19時から発売が開始される新型中華エミュ機の『RG nano』。価格は64GBが9199円で、128GBが1万299円。送料は1699円で、6月13日19時から期間限定で900円割引きになります。
リリースに先駆けて、本機をご提供していただきました。今回はそのレビューをお届けします!
●ANBERNIC 保護カバーRG nano用(1399円)
見た目からも分かるように、本機はこれまでいろいろと発売されてきた製品とはひと味違ったベクトルを持つものとなっています。
ここ最近発売されてきた中華エミュ機は、メーカーを問わずどの製品も似たり寄ったりのスペックのものばかりで、金太郎飴感がどうしても拭えないものばかりというのが、全般に感じていたことです。画面のサイズがどうとかボタンがどうとか、そうした細かいポイントを取り上げるぐらいしかポイントがなく、正直ガジェットとしての面白みがないものばかりという印象でした。
しかし、この『RG nano』はかなりエッジが効いた製品で、久々に驚かされました。細かい点はこれから触れていきますが、最初に結論からいうと……
最高だから、そんな細けーことはどうでもいいんだよ!
ということです。そう、欠点もかなりあるのですが、コンセプト自体がそれを凌駕するようなものになっているのです。
『RG nano』の同梱物と外観
『RG nano』の同梱物は、本体のほか、マニュアルと充電用USBケーブル、ヘッドフォンアダプター変換ケーブル、キーチェンといった感じです。同社のなかではそれほど高い部類に入るゲーム機ではありませんが、パッケージは肌色に金でマシンの外観が描かれており、少しだけ豪華な印象を受けます。
本体のサイズは高さ約7.09cm×横4.26cm×奥行き1.59cm。手に持った感じはそれほど厚みがあるというわけではなく、ギリギリのサイズ感といった印象です。ゲーム機として一番近いのは、『テトリスミニ(ミニテトリン)』などでしょうか?
ちなみに『テトリスミニ』の復刻版を持っていたのでそちらと比べてみましたが、少しだけ『RG nano』のほうが大きいサイズ感となっていました。
RG nanoのスペック
カラーバリエーション | パープル、ブルー、レッド |
本体の素材 | CNC加工されたアルミニウム合金 |
CPU | ARM Cortex-A7@1.2GHz |
液晶ディスプレイ | 1.54インチIPSフルフィットスクリーン、解像度240×240 |
OS | Linux |
男の子ってこういうの好きでしょ? といった感じの質感!
本体前面には、1.54インチのIPS液晶ディスプレイを搭載。こちらは240×240ピクセルの正方形のアスペクト比になっています。レトロゲームの多くは240pであることが多いため、一部を除けばある程度理にかなった解像度といえるかもしれません。
本体はCNC加工されたアルミニウムボディになっており、ひんやりとした手触り感があります。ちなみに今回はブルーを選択していますが、他にもパープルとレッドの計3色のカラーバリエーションが用意されています。
本体右側面には、電源ボタンとmicroSDカード用のスロットが用意されています。ちなみに今回提供していただいたものは、たまたま担当者がmicroSDカードを付け忘れていて何も起動しませんでしたが、製品版には付属しています。そちらにシステムも入っているため、microSDカードが刺さっていないとバックライトが点灯するだけのマシンになってしまいます。
少し気になったのが、背面側に付けられた溝。ここに若干指が擦れてしまうことがあります。ただし、本体自体が小さいのである程度グリップ感を持たせるような役割も果たしています。
本体側面表上部は、USB Type-Cのポートが用意されています。こちらで電源の供給が行えるほか、変換アダプターを使用してヘッドフォンも接続が可能です。また、本体側面底部にはスピーカーが設置されていますが、ここからだけ音が出ているというよりは、全体から出ているような感じがします。
また、本体の左下には付属のキーチェーンを取り付けるための溝が設けられています。この辺りはお好みでといったところでしょうか。
ちなみにアルミニウム合金のボディということで、持った感じは少しだけ重みがありますが、重量自体は73.9グラムほどとなっているので、普段持ち歩く分にはほとんど気にならないレベルです。
『RG nano』のパフォーマンスをいろいろとチェックしてみた
一通り外観をチェックした後で、実際にゲーム機としてセットアップを行いパフォーマンスなどもチェックしてみることにしました。まずユニークな点が、持ち歩くことを意識してか時計機能が付けられているところです。最初に起動したときに時計が表示されるので、常に本体の電源をオンにしておく必要もなく利用できるところもポイントです。
ゲームボーイアドバンスとPlayStaionはBiosも必要
セットアップに関しては、付属のmicroSDカードに用意されている各ゲーム機ごとのフォルダにROMデータを入れるだけですぐに遊ぶことができます。ただし、ゲームボーイアドバンスとPlayStationに関しては別途Biosを用意しておく必要があります。
Biosの設定自体はシンプルで、ROMデータを入れるフォルダ内に「bios」というフォルダを作り入れておくだけでOKです。
ゲームボーイアドバンスのエミュレーターはいまひとつ
とりあえずゲームボーイアドバンスのエミュレーターがどんな性能なのかチェックするために、『AGSエージングカートリッジ』でチェックしてみることに。残念ながらこちらは結構な数のNGが出ており、それほど高いパフォーマンスを持ったエミュレーターを採用しているわけではないようです。
ものによってはかなり気になる正方形のアスペクト比
液晶画面が正方形なのはいいとして、少し気になってしまうのがゲーム機によっては縦にストレッチしているように見えてしまうところです。特にゲームボーイアドバンスやファミコン、スーパーファミコン、PlayStationあたりは違和感をおぼえてしまうほど。
一応オプションでアスペクト比に関する項目も用意されていますが、こちらで選べるのはストレッチまたはクロップのみ。これらを変更しても、正方形のアスペクト比が4:3になったりするわけではありません。
メディアプレイヤーとしての性能も微妙
どうしても重箱の隅をつつくような悪いところばかり触れてしまいがちですが、もうひとつ触れておきたいのがゲームではなくメディアプレイヤーとしての能力です。本機ではMP3やMP4といったフォーマットで音楽ファイルや動画の再生がおこなえるようになっています。
ということでこちらもチェックしてみましたが、MP3はかなり音質が悪く、このゲーム機で音楽を聴きたくなるといった気は全く起きません。そもそも単に音楽を聴くだけならばスマホの方がお手軽なので、わざわざこちらを利用するというシーンはなさそうです。
それとまったく同じような理由で微妙なのが、動画ファイルの再生です。こちらは『ゼルダの伝説ティアーズオブザキングダム』を録画したファイルを再生してみましたが……ほぼ絵が動かず、紙芝居にもなっていないような感じでした。ゲーム機に合わせてファイルを出力するということもできなくはないですが、そこもまでするほどのものではありません。というわけで、これらの機能はオマケ程度に考えておいた方がいいでしょう。
サーカスの小っちゃい自転車を漕いでるかのような小さいボタン
ボタン類ですが、上部のLRボタンはクリック感があり、なかなか押したときのフィーリングが素晴らしいものになっています。しかし、十字キーやその他のボタンは操作する分には問題はないものの、どうしても小さすぎることから長時間遊んでいると指が痛くなりそうな感じがします。
なんというか、サーカスなどでよく見かける小さなチャリンコを漕いでいるような気分になるといった感じでしょうか。
途中でゲームを終了してもレジュームですぐに続きがプレイできる
パフォーマンスチェックをしていて感動したのが、一旦ゲームを終了して違うことを試した後で、ふたたび同じゲームを選ぶとレジューム機能により、前回終了した続きからすぐにプレイすることができるところです。
とくにセーブステートなどの操作を行っていないときでも利用できたので、かなり有用に活用することができるのではないでしょうか。
遊びやすいゲームとそうでないものがある
こちらは個人差も大きく影響する部分ですが、画面が小さいためどうしても視点が定まりにくく、動きが激しいゲームなどは若干遊びにくく感じてしまいました。具体的な例で上げると、スーパーファミコンの『マリオカート』などは、自分の車体をついつい見失ってしまうといった感じです。
また、先ほどアスペクト比のことに触れましたが、その違いもゲームの遊びやすさと遊びにくさに繋がっている部分かもしれません。
その一方で、本機に向いているタイトルもいくつか見つけることができました。『テトリスミニ』と似たようなサイズ感ということで試したゲームボーイの『テトリス』は、まさに本機にぴったりといえるゲームです。また、この『RG nano』に収録されているかはわからないものの、ほかのAnbernicに付属しているファミコン版の『2048』もかなり良い相性でした。
つまり、自分の中でこのゲーム機で遊ぶのに相性のいいものをチョイスするというのが、最適解なのかもしれません。
コレクションアイテムとしても押さえておきたい逸品
ということで、どちらかというと否定的な部分も多く記載してきましたが、最初にも述べたようにそうした些細なところよりも、コンセプト自体が本機の最大限の魅力であり、他のゲーム機とは大きく異なるポイントです。
これまでにあまりなかったスタイルでもあるため、単純にゲーム機のコレクションとして加えておいてもいいのではないでしょうか。また、キーホルダーとしても使えるので、カバンにちょこんと取り付けておくとかなり目立つ存在となりそうです。
すでに人気が出そうな予感もしていますが、入手が困難になる前に、早めに購入しておくことをオススメします。