Steam Deck鬼ヤバテクニック!パーフォマンスを向上させるFSR編

Steam Deck鬼ヤバテクニック!パーフォマンスを向上させるFSR編

Steam Deckには様々なテクノロジーがあらかじめ導入されていますが、知っているのと知らないのとではゲームプレイにも大きな影響を及ぼすことがあります。そのなかのひとつが「FSR」と呼ばれるものです。

目次

  1. FSRとはなにか?
  2. Steam DeckでFSRを利用する方法
  3. FSR 1とFSR 2の違い
  4. 事例紹介:多忙なお父さんがSteam DeckのFSRは魔法だ! と叫んだ理由は?

FSRとはなにか?

●AMD FidelityFX™ Super Resolution(FSR)の公式サイト
https://www.amd.com/ja/technologies/fidelityfx-super-resolution

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この「FSR」とは、「FidelityFX™ Super Resolution」の略語で、AMDが開発したアップスケーリング・テクノロジーです。同様のものにDSLLと呼ばれるものもありますが、こちらはNividiaが開発したもので、RTXシリーズなど同社のGPUを搭載したマシンでしか利用することができません。

Steam Deckの場合はAMDと共同開発を行ったマシンでもあるため、必然と利用できるのは「FSR」ということになります。

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▲ゲームのグラフィック設定で「DSLL」が選べないのは、NvidaのGPUが搭載されていないため(画像はCOTROL)。

この「FSR」が、ゲームのパフォーマンスにどのような影響を及ぼすのでしょか?

解像度を下げることでパフォーマンスが向上?

たとえば一般的なゲーミングPCの場合、4Kの映像をそのまま出力するにはPC側のパフォーマンスがかなり要求されます。しかし、解像度はそのままにアップスケールした映像を4Kで出力することで、かなりのリソースを節約することができます。

Steam Deckの場合は、デフォルトの1280×800より解像度を下げることでパフォーマンスに余裕ができます。これにより、フレームレート(FPS:1秒間に表示できる映像の枚数)を稼ぐことができるのです。

Steam DeckでFSRを利用する方法

Steam DeckでFSRを有効にするには、ゲーム内の解像度を1280×800より下げます。解像度を下げるほどパフォーマンスは上がりますが、ゲーム内のテキストが読めなくなるなど画質も低下するので気を付けましょう。

次に、Steam Deck本体の「…」ボタンを押して「パフォーマンス」画面を開き、スケーリングフィルターを「FSR」にします。映像がぼやけて感じる場合は「FSRシャープネス」を5段階のいずれかに設定しましょう。「FSRシャープネス」を最高にして画像が乱れる場合は少し下げて調整しましょう。

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FSRが有効になっているかどうかは、「パフォーマンスオーバーレイ」を表示することで確認することができます。

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レトゲ

FSRを利用するときは「ウィンドウモード」または「ボーダーレス」にしなければいけないという話を耳にすることがありますが、必ずしも「フルスクリーン」では有効にならないというわけではありません。

ゲームによっては「フルスクリーン」を選ぶと解像度が1280×800に設定されてしまうものがあり、FSRが有効にならない場合があるからです。

FSR 1とFSR 2の違い

Steam Deckの本体に搭載されている「FSR」は、厳密に言うと少し前の世代の「FSR 1」です。こちらは、現在主流になりつつある「FSR 2」とは異なる手法が採用されています。

FSR 1は、画像の鮮明さを維持しつつ、静止画像をアップスケールするアルゴリズムです。こちらをゲームで使用するときは、テクスチャーをアップスケールしたり出力するイメージを秒間60回アップスケールするために使用することができます。

一方、FSR 2は、ひとつひとつのピクセルに含まれているオブジェクトの層度や前フレームの画像など、様々な追加兵法を考慮に入れた時間フィルタリングアルゴリズムになっています。そのため、FSR はゲームエンジンと深いレベルで統合が必要になっています。

たとえば『Cyberpunk 2077』は、2022年11月8日に配信された「パッチ1.61」でFSR 2.1に対応しました。これにより、ゲーム内でFSRを有効にすることでその効果を得ることができます。

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Steam Deck本体とゲーム内で有効化できるFSR 2との違いは?

Steam Deck本体で設定するFSRは解像度を下げる必要がありますが、ゲーム内で設定出来るFSRは自動で解像度が下げられるため特にユーザーが意識する必要はありません。また、念のため本体側のFSRは切っておいたほうがいいでしょう。

ゲーム内でFSRが設定出来るタイトルも増えてきているので、まずはグラフィックの設定をチェックしてみることをオススメします。

レトゲ

ちなみにゲーム内でFSRを有効にしても、「パフォーマンスオーバーレイ」ではFSRはオフと表示されるようです。

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Cyberpunk 2077でFSR 2.1とSteam Deck本体のFSR 1との比較

Redditに、『Cyberpunk 2077『でFSR 2.1とSteam Deck本体のFSR 1との比較画像がアップされていいました。こちらでもご紹介しておきます。

●Cyberpunk 2077 – FSR 2.1 Steam Deck メガ比較 (Steam Deck設定 + 追加の FSR1 比較)
https://www.reddit.com/r/SteamDeck/comments/yqnp4f/cyberpunk_2077_fsr_21_steam_deck_mega_comparison/

FSR 2.1 の比較 (Steam Deck側の設定:1280×800)

FPS ゲイン: 28 => 36 => 40 => 43 => 50

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▲ネイティブ (FSR 2.1 OFF)
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▲クオリィ
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▲バランス
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▲パフォーマンス
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▲ウルトラパフォーマンス

Steam Deck本体 FSR 1の比較 (Steam Deck側の設定:1152×720、FSRシャープネス4)

FPS ゲイン: 32 => 40 => 44 => 47 => 53

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▲ネイティブ(FSR 1のみ)
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▲クオリィ+FSR 1
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▲バランス+FSR 1
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▲パフォーマンス+ FSR 1
Steam Deck鬼ヤバテクニック!パーフォマンスを向上させるFSR編
▲ウルトラパフォーマンス+FSR 1

事例紹介:多忙なお父さんがSteam DeckのFSRは魔法だ! と叫んだ理由は?

最後に、Redditで拾ったFSR関連のスレッドを事例としてふたつご紹介しておきます。

●元スレ:FSR is magic!

私は多忙なお父さんで、PS2 以降のコンソールも、ゲームボーイ アドバンス以降のハンドヘルドも所有していません。 ここ数年、私が何とかできたゲームは、パワー不足の Windows ラップトップでした。 最近の『スパイダーマン』のゲームが家庭用ゲーム機で最初に出たときからプレイしたかったので、新しいSteam Deckを入手した後、すぐにリマスター版を購入しました。

ロードした後、少しがっかりしました。 プレイは可能ですが安定しておらず、確かに私が期待していたAAA体験だ。 ProtonDB は、革新的な調整やアドバイスを提供しませんでした。 しかし、解像度を 720p にダウングレードし、FSR 2.1 をオンにし、Medium プリセットを実行することを推奨する記事を読んだ後、ゲームが安定して信じられないほど楽しい 40 fps で実行されていることがわかりました。 この単純な微調整は、私にとって完全な魔法のように感じられ、このテクノロジーが存在することがどれほど素晴らしいかを考えずにはいられません。

以前に DLSS と FSR という用語を聞いたことがありますが、それらが何を意味するのか、私のようなゲーマーにとってどれほど影響力があるのかは知りませんでした。 The Deck とその拡張機能セットにより、何年もプレイしたいと思っていたゲームを柔軟に楽しむことができました。

●元スレ:FSRは黒魔術の魔術

私は閉め切ったデスクワークのためドッキングしてプレイすることが多く、1日に数時間しか自由時間がないのですが、特に『デス・ストランディング』を1080pモニターでまともに表示・動作させるのにとても苦労しています。みんなとその母親が、Deckのものよりゲーム内のFSRを使うことを勧めてくれたので、当然ながらそうしました。しかし、「バランス」設定であっても、ゲームはとても泥臭く平坦に見えたので、私はただノーマルに戻って対処しました。

昨日、ある人のデスクトップデッキの設定についてのスレッドで、Steam Deckのドッキング解像度をゲームの解像度より一段階高く設定し、Steam DeckのFSRがその差を埋めるという非常にシンプルな手順をコメントしている人を見かけました。そこで、試してみました。ドッキングシステムの解像度を1080に設定。『デス・ストランディング』を720に設定。デッキのFSRを右いっぱいにして、シャープネスを5に設定。

私は泣きそうになりました。なんじゃこりゃ。今まで試した中で一番いい感じです。なんでこの機械はこんなに魔力があるんだ。私は、これが何であるかを学んでいるただのコンソール馬鹿なので、許してください。ただ、共有したかっただけなんです。

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高島おしゃむ
ライター/編集者。コンピューターホビー雑誌「ログイン」の編集者を経て、1999年よりフリーに。 現在はゲームやホビー、IT、XR系のメディアを中心に、イベント取材やインタビュー、レビュー、コラム記事などを執筆しています。